九州アジアリーグ参戦3年目の北九州下関フェニックスは、今季序盤から首位を快走しています。9月1日時点で48勝17敗、勝率7割3分8厘という好成績を収め、優勝へのマジックナンバーは「3」となりました。(9月4日現在)
9月6日(金)、7日(土)、8日(日)には、北九州市民球場で宮崎サンシャインズとの試合が行われ、優勝をかけた大一番に挑みます。
そこで、北九州下関フェニックスの2024年シーズン、ここまでの戦いを振り返ってみたいと思います。(数字は全て9月1日の試合終了時のものです)
北九州下関フェニックスは、2021年に実業家の堀江貴文氏が設立したチームです。2022年シーズンから「福岡北九州フェニックス」として、ヤマエ久野・九州アジアリーグ(当時)に参戦しました。初年度の成績は39勝35敗で、3チーム中2位となりました。
2023年シーズンからは、本拠地に山口県下関市を加え、チーム名を「北九州下関フェニックス」と改称しました。このシーズンは43勝28敗と健闘しましたが、昨年に続いて2位(4チーム中)に終わりました。
一昨年、昨年と連続してリーグ2位という成績に終わったフェニックス。2年連続でリーグ優勝を果たした火の国サラマンダーズが、全国の独立リーグの優勝チームが参加する「日本独立リーググランドチャンピオンシップ」を連覇していることもあり、今年こそ、の思いで3年目のシーズンを迎えました。
しかし、前年までチームを率いた西岡剛スキッパーが総監督へ就任し、前年の主力選手である元NPBの大河選手とイスラエル・モタ選手がともに火の国サラマンダーズに移籍、さらに過去2年、チームの主力として活躍した宇土憲伸郎選手、武蔵選手が退団(引退)するなど、これまでと大きく異なる戦力での船出となりました。
新たにチームを率いたのは、松本直晃監督。埼玉西武ライオンズに在籍経験を持ち、昨年までの2年間はフェニックスの抑え投手としてプレーしていました。監督就任のオファーに「独立リーグにはさまざまな経歴を持つ選手がたくさん所属しており、似た境遇を経験している自分だからこそ理解できる部分があるのではないか」と考え受諾。中村道大郎選手が兼任ヘッドコーチ、平間隼人選手が兼任守備コーチとして両脇を固め、新キャプテンには吉岡翼選手が就任。新生・フェニックスがスタートしました。
北九州下関フェニックスが新体制発表 松本直晃新監督の就任を発表 西岡剛前監督は総監督へ
今年の北九州下関フェニックスは北九州市で開幕戦を迎えました。
開幕投手を務めたのはエースの荒巻千尋投手。2年連続の大役です。
しかしオープン戦でも調子が上がらなかった荒巻投手はこの日も投球が安定せず、2回3分の1で降板します。
4-5と1点ビハインドで迎えた4回裏、平間選手に2ランが飛び出し6-5と逆転に成功。その後点を取りあうも、最終回を新守護神・中村総一郎投手が締め、8-6でフェニックスが開幕戦を勝利で飾りました。
3度目の開幕を迎えた北九州下関フェニックスが大分に競り勝つ 松本直晃監督初勝利(2024年3月16日)
開幕前に、「3月4月は勝ちにこだわりすぎずにチーム作りに取り組む」と松本監督が話していたとおり、フェニックスは今季の序盤をチーム作りに充てていました。それでも3月を3勝1敗、4月を4勝3敗1分けで乗り切ったフェニックスは、5月に10勝2敗と大幅に勝ち越し。首位の座をしっかりと固めました。
前半戦のフェニックスをけん引したのは、投手陣ではルーキーの川﨑大輝投手。佐賀北高校在籍時には甲子園に出場し、北九州市立大学では左腕エースとして活躍した川﨑投手の姿を昨年秋のトライアウトで見かけたときには目を疑いました。
北九州下関フェニックスがトライアウト合格者を発表 #北九州下関フェニックス
川﨑投手は期待に違わぬ好投を続け、5月までの10試合で7勝0敗と好成績を残し、不調気味の荒巻投手に代わって投手陣の中心を担いました。
打撃陣で目立ったのは入団2年目を迎えた中田航大選手。今季は「1番・ライト」の座をしっかりとつかみ、開幕直後から打撃でチームを引っ張りました。シーズン中盤までは打率5割をキープするなど、シーズンオフの増量の効果を十二分に発揮しました。
昨シーズン開幕前に入団した和希選手も前半戦を引っ張ったひとりです。昨季は起用法が安定せず、実力を十分発揮することはできませんでしたが、今季は早々に松本監督が4番に指名。開幕から4番の座を守り続け、巧みなバットコントロールで4番打者の役割を果たしています。
【インタビュー】北九州下関フェニックス 和希(中村和希)選手
前半戦の殊勲者をもうひとり挙げるとしたら、宮本貴章選手でしょう。入団3年目の宮本選手は、今季から捕手に再転向し、投手陣を力強くリードしました。持ち味の打撃でも、新フォームから柔らかいバッティングで右方向への安打を増やすなど、これまでとは違う魅力を発揮しました。
6月を7勝4敗、7月を10勝4敗2分けと、フェニックスは首位の座をガッチリとキープ。このころになると、選手に疲れも見えてくるようになりましたが、一番苦しい8月を13勝3敗と8割超の勝率で乗り切りました。
この時期は、エース・荒巻投手も復調。気づけばリーグ2位の13勝を挙げていました。7月1日の宮崎サンシャインズ戦ではノーヒットノーランを達成。
#北九州下関フェニックス 荒巻千尋投手がノーヒットノーラン達成 チームの大黒柱が快挙
4月にノーヒットノーラン(5回参考)を達成した西垣彰太投手も、シーズン中盤には若干苦しみましたが、「マダックス」を含み9勝を挙げています。
【#北九州下関フェニックス】ホークス四軍を投打に圧倒 西垣彰太「マダックス」達成(2024年7月27日)
守護神・中村総一郎投手もリーグトップの13セーブを挙げるなど好調を持続。元広島の行木俊投手も力のあるストレートを披露しています。
打撃陣では河野颯太選手が打率3割台中盤をキープ。小技も発揮するなど器用なプレーでチームを支えます。
道産子・横山晴人選手の活躍も目立ちます。シーズン序盤は3番、5番などでの起用が目立ちましたが、夏ごろからは「2番・レフト」での起用がメインに。昨年は九州の暑さに参っていた横山選手も、暑さとうまく付き合えるようになり、成績も安定してきました。
「北九州のお祭り男」中村道大郎選手もチャンスに強いところを見せつけています。チーム野手最年長とは思えない元気なプレーを攻守ともに披露。初代キャプテンとして、今季に賭ける思いも強いことでしょう。
【インタビュー】北九州下関フェニックス 中村道大郎選手兼任ヘッドコーチ
今年のフェニックスの特徴のひとつとして挙げられるのが、控え選手のモチベーションアップです。
昨シーズンはレギュラーがほぼ固定されており、チーム内でもモチベーションの差があったそうですが、今年は一味違いました。
メンバーが大幅に入れ替わったこともありますが、チーム首脳陣は開幕前に口を揃えて「控え選手も含めたチーム全体の底上げ」を強調していました。
今シーズンも中盤ごろからスタメンが固定されつつありましたが、出番の少ない選手も出場時にはしっかりと結果を出すなど、チームマネジメントもうまくいっていたように思います。
8月11日の宮崎サンシャインズ戦では、一打出ればコールドゲームという場面で、ルーキーの宮原滉希選手を起用。宮原選手は期待に応え、コールドゲームを決める一打を放ちました。
【#北九州下関フェニックス】7回コールドで宮崎に圧勝!川﨑大輝9勝目(2024年8月11日)
順調にいけば、9月7日(土)または8日(日)に北九州下関フェニックスのリーグ優勝が決まります。
「北九州」を冠したプロスポーツチームがリーグ優勝を決める瞬間をぜひ北九州市民球場に見に来てください。7日は14時、8日は13時プレイボールです。
北九州下関フェニックス 選手インタビュー一覧→ https://kitaq.style/player_interview_2024/
北九州下関フェニックス 公式ホームページ → https://phoenix2022.co.jp/