北九州市小倉北区、小倉駅近くの「ちゅうぎん通り」に新しくオープンした、クリエイター向けコワーキングスペース「Future Studio」。
代表の岡浩平さんにお話を伺ってきました。
※「ちゅうぎん通り」は行列をつくるソフトクリーム専門店「dotto milk stand(ドットミルクスタンド)」やジェラートで人気の「ViTO」、そして肉焼きめしが評判の「娘娘(にゃんにゃん)」や「林田酒店」など、個性的な店舗が揃っている、今勢いのある通りです。(小倉の井筒屋の近くにあるみずほ銀行のところからから北に向かう通りです)
クリエイター向けコワーキングスペース「Future Studio」
ご利用時間 | 24h 365Days |
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入口鍵 | アプリ制御 |
法人登記 | 可能 |
荷物受け取り | 可能 |
利用可能スペース | 1F/2F/屋上 |
ネット速度(最大) | 下り85.2Mbps 上り143Mbps |
利用人数 | 1名 |
料金 | 月額15,000円+税 |
実は2009年くらいに、このFuture Studioみたいなものを作ろうと考えていたことがあるんです。でもその頃はまだ、コワーキングという言葉は日本語として一般的ではありませんでした。レンタルオフィスとか、カフェとかそれぐらいしか一般的な言葉がなかったように思います。人が交流する場で、昼間から堂々と行くことができて、仕事ができる場所。そんな場所を作りたかった。でもまだそれが具体的にどんな物でどう事業として成り立っていくのかぜんぜん見えていませんでした。
それからしばらくして、いろいろ考えているうちに、たまたま兄とタイミングがうまく合い、コワーキングスペース秘密基地を立ち上げることができました。それから丸6年間運営してきた中でわかってきたことがありまして、ついにこの度Future Studioを立ち上げることができました。
「未来」を意識するように
子どもを寝かしつけていたときにあることを発見して、まるで雷に打たれたような衝撃がはしりました。何を発見したかというと「子どもの可能性」です。それも無限の。
ミュージシャンでも宇宙飛行士でもこれから何にだってなれる。僕なんかがいくら努力したところで、たかが知れていますが、子どもにはまだまだたくさんチャンスがある。この子たちが自由に羽ばたいていくために自分がなにか役立たなければと自覚しました。
先日「人生の目的は自分で宣言するものではなく、突きつけられるものである」という記事を読んだのですが、まさに突きつけられた瞬間でした。
それから「未来」というものをすごく意識するようになりました。今考えると子どもが生まれる前の僕はすごくダサかったですね。自分の価値観だけで世間を眺めていました。
誰かが作ってくれる未来。それは僕たちにとって都合の良いものか、悪いものかわかりません。僕たちに必要な未来は、僕たちでなければ作ることができない。子どもや、そのまた子どもたちへと繋がる、僕たちにとって本当に必要なものを生み出していく、Future Studioはそんな場にしていきたいと考えています。
誰かに与えられるもので満足することはない
10代の頃は、北九州は何もなくてつまらない街、いつか出ていく所だと思っていました。でも、自分の意志でいろんなところに顔を出して、コミュニケーションしたり、知らなかった人と仲良くなったりすると、少しずつ街のことが面白くなってきました。
何もなくてつまらなかったのは、自分が何もやっていないからだったと気がつきました。
結局、自分で面白くしないと面白くはならない。誰かに与えられるもので満足するなんてことは絶対にないんです。
2000年、父親の会社でインテリアデザインの仕事に従事し、2014年に新規事業部としてコワーキングスペース 秘密基地を立ち上げました。その後各種企画運営・イベントプロデュース、映像制作などをやってきて、現在はそれらが繋がりクリエイティブディレクターとして活動しています。
一つの職業だけをやっていたときには気がつかなかったのですが、クライアントにとっては、店舗の建築を発注するのも、WEBサイトやショップカードの制作、広告の出稿も、同じように「集客し収入を得るための投資」です。
たとえば、料理人がいざ投資しようと思ったときに、建築や広報など、自分の専門業務ではないことで時間や頭を使わなければいけない。それにはすごくエネルギーが必要になります。どこにコストをかけるべきか、もっとも成果の出る効率の良いお金の使い方を相談する人が必要です。
僕は、建築にかかる費用やイベントや広報にかかる費用など、さまざまな観点から、どのクリエイティブにコストをかけるべきなのかをクライアントといっしょに考え、実行までをやっています。お店をつくってもお客さんが来なかったら意味がないので。
「Future Studio」3つのコンセプト
未来につながることを選択する
若いとき、僕は「誰も持っていない凄い才能を持っていて、いつか爆発するかもしれない」と思っていたのですが、残念ながらそんなことはありませんでした。
結婚して家族が増え、子どもたちの無限の可能性に気づいてから、未来を支えるために自分がいるんだと自覚しました。僕がやるべきことは、未来の世代に役に立つなにかを少しでも生み出すこと、そして彼らが僕らの世代よりも自由に活躍できるように、少しでも障害を取り除くことです。僕にとってそれが自分の命の正しい使い道です。
仕事においても、今日僕がいくら儲かったかということよりも、長期的な時間軸をクライアントの事業に組み込んだとか、社会的価値の向上をビジョンに盛り込んだかとか、僕よりも若い人に活躍の機会を作ることができたか、などということの方が価値が高いと思っています。だからどんな仕事でも、単純なお金の取引で終わらせない、縁の広がりを大切にしています。
関わる人の幸福を大切にする
どこまでを関わる人とするか、範囲の選択はそれぞれ自由だと思いますが、たとえば、僕にとっての幸福とは「家族の幸せ」です。しかし僕の子どもの幸福を考えると、きっと子どもの友達も幸福でなければ成立しません。一緒に遊ぶ人がいないとつまらないですよね。
コミュニティは人それぞれの幸福を尊重し、それを支え合うような仲間でありたいと思っています。
人間関係を大切にするもよし、ビジネスの成功を目標にするもよし。他人の関心に目を向けてみると発見があるかもしれません。他者を尊重することを大切にしたいと考えています。
多様性を楽しむ
コミュニティはクローズになっていくほど居心地は良くなります。
なぜなら、狭い範囲だと共感が生まれやすいからです。
ところが気がつけばいつも同じ話をしていて、魅力はなくなり価値もだんだん色褪せてしまいます。
魅力的なコミュニティは、常に新陳代謝が起こり拡大したり分裂したりしながら成長します。
都市も同様だといえるでしょう。整備された街では、価値を守るために住民は活動します。
そしてそれを邪魔する人を排除しようとします。これまでにない発想を持つクリエイターのような人は、生活の時間やコミュニケーションの方法が異なるかもしれません。そのクリエイターはやがて居心地が悪くなり、比較的地価の安い郊外へその拠点を求めるようになる。
しかしそこではクリエイターの才能は歓迎され、その郊外に新たな魅力が生まれる。やがてその魅力を高めるため整備され、結果的に地価が上がる、それを求めてお金持ちが集まってくる。その循環です。
多様性と、それに対する寛容性があるとコミュニティは発展します。
もしかしたら、予期せぬ方向に向かうかもしれません。でもそれを受け入れたい。ここFuture Studioから様々なコミュニティが生まれ、さらにブランチのように広がっていくことをイメージしていて、僕はそれを楽しみにしています。
「Future Studio」4つのサービス
せっかく小倉のまちなかで物件を借りたので、お店が街の資産となるものにならなくてはいけないと考えています。「Future Studioがあったから街が発展した」そんな風に言われるようになりたいです。
そこで、Future Studioでは、4つのサービスを行います。
はじめにコワーキングスペースの運営。
つぎにカフェの運営。
それからクリエイティブの制作業務。
最後に中小企業・フリーランス向けの事業・開業相談窓口です。
コワーキングスペースの運営
まずはコワーキング。それもクリエイター向けコワーキングスペースと銘打っています。
クリエイター向けコワーキングスペースとしていますが、ここでいうクリエイターとは、いわゆるクリエイティブ系の職業の人だけではなく、なにかをやりたいとか、なにかをつくりたいとか、自分の中に創作意欲の湧き出る泉をもっている人のことです。僕みたいにひとりじゃなにもできない人でも、アイデアの湧き出る泉を持っているんです。そんな人が集まる場にしていきたい。
なぜクリエイター向けとしているかというと、何より僕がクリエイティブのファンであるからです。
北九州の街がいけてるデザインやコンテンツにあふれる、活気のある街であってほしいと思っています。そんな街に住みたいし、年取ってからあれに関わったと言いたい。若い人が憧れる街、何か創るなら北九州がいい。そんな街にしたい。
クリエイターの作品展示や販売をしたり、イベントを開催したいと考えています。
カフェの運営
つぎにカフェの運営です。実はカフェ運営については、開店当初は考えていませんでした。ところが、いざ店舗をつくってみると、思ったより僕がお店にいられる時間がなかったんですよ。これでは人が集まらないからコワーキングスペースとしてもダメだなと気づきました。
そもそも街の資産でありたいと思っていたのに、閉まっていてはむしろ負の資産。「お前じゃない人が借りたほうが良かった」なんて言われかねない。そこで毎日開けておくためには、僕がいなくても集客する仕組みが必要だと考え、カフェを本格的にやることにしました。
考えてみたら僕は、建築をベースにした店舗プロデュースについてはプロであり、映像やグラフィックなどのデザインを活用した広報ツールの作成は日常的にやっていますし、SNSを活用したブランディングについてはこの分野で実績をあげてきた創生塾の講師陣が身近にいるので、これは自分がやらなきゃダメなヤツだと確信しました。
そこでどんなカフェにするか考えたところ、いまさら僕がコーヒーの味を追求したところで、もはやその土俵では競合も多いし戦えないと思いました。やるからには何かで一番になることが、とても重要です。そこで僕が好きなクリエイティブの分野で戦おうと思っています。
要するに自分のお店を自分でプロデュースする。うまくいかなかったら、僕のクリエイティブやマーケティングスキルは役に立たないことが証明されてしまいますから、かなり頑張らないといけないですね。小倉でもっともいけてるカフェをめざします。
テイクアウトコーヒーをメディアだと考えれば、いろいろとやれることがあるんではないかと思っていて、試行錯誤中です。いろんなクリエイターとコラボしたいですね。
クリエイティブの制作業務
3つ目はクリエイティブの制作業務。いわゆる広告代理店のような仕事です。これは僕の本業で、この分野で仕事をやっています。この度カフェを営業することで、実践のフィールドを手に入れることができるようになりました。
これがはじめのコワーキングとつながっていて、さまざまなジャンルのクリエイターが集まることで、みなさんと共働で新しい仕事にチャレンジできます。パッケージのデザインや、メディアに合わせた広告素材の作り方、伝わりやすいデザインなど、いろんなことにトライして最も成果の出るやり方を探りだします。
クリエイターが持ってるスキルを掛け合わせ、ソリューションの幅が広がることでどんどん強力なチームになっていけると思います。そしてお互いに仕事を共有することができてWin-Winになれると考えています。
中小企業・フリーランス向けの事業・開業相談窓口
そして最後に中小企業・フリーランス向けの事業・開業相談窓口です。
これはある不動産屋さんから教えていただいたのがきっかけなのですが、開業される方の多くは、これまでに身に着けたスキルを使って事業を始めようとします。
融資の関係もあって、まず物件探しに不動産屋さんに行くのですが、駅から近いとか、近くに駐車場があるとか、隠れ家的な物件など自分の中のイメージから物件を探します。
しかし残念なことに事業コンセプトが明確でない人がいます。どのような人をターゲットにするか明確でない。虜になってくれるお客さんが、車で移動するのか、電車で移動するのかなどわからないまま、物件を見つけようとします。
僕は建築の設計をする時には、お店のコンセプトシートを作成します。なぜお店をやるのか、何のためのお店なのか、誰に来てほしいかなどを明確にします。それではじめて平面レイアウトや素材や色が決められる。
でも、考えてみたらこれと同じようなことをチラシやロゴをつくったりするグラフィックデザイナーもやっています。ところが建築デザイナーとグラフィックデザイナーの間で共有されていない。あえて他人の業種のためにコンセプトシートなんてつくりませんからね。
なので、僕は建築・マーケティング・ブランディングについて知識はあるし、周りに専門家がたくさんいるので、開業する人からヒアリングすることで、事業コンセプトを明確にするお手伝いができます。まずは無料相談から。
Future Studio Share Member
「街を間取りとして捉える」という考え方があって、例えば自宅は家族とゆっくり過ごすところ、美味しいものを食べる時はあそこのレストラン、作業をする時は図書館やコワーキングスペース、銭湯が自分の大浴場みたいに。
もし小倉という街が僕の街だったとしたらと考えると全てが大切なものになるし、なんでもできて発想がすごく豊かになると思います。
Future Studioの不動産契約をするにあたって、この場所はどのような価値が提供できるだろうかと考えました。
街なかにあって小倉駅から5分の距離、歩道幅もそれなりにあるし、車も目の前を走る。駐車場が近くにたくさんあり、街なかだけどコインパーキングの料金は比較的安い。商店街の中にあって1階の店舗だから、視認性が高く、いろんな人が通り過ぎる。最近では、スイーツ店が増えおしゃれな若者をたくさん見かけるようになった。でもこんな場所なのに、夜はちょっと静かでまだまだ活用の余地がある。
もしここを個人で借りようとすると、それなりにコストがかかります。僕がコストに対しての責任を負うことで、関わる人が自由にこの場を活用して、もっと成長していけるような仕組みが作れないかと考えました。ギャラリーとして活用してもいいし、何か作って売ってもいい。それらが街の価値が上がるようなものであれば協力する人も増えるし、情報発信の拠点になる。
僕はここをクリエイティブ創出の現場にしたいと考えています。やっているプロジェクトをシェアしたり、やりたいことを語ったりする場。仲間を集めたり、情報交換したり。
だからいろんな人に来て欲しいと思っています。そこで常にオープンなマインドでいるためにカフェとして営業することにしました。昼も夜も。これから何かを始める人も来られるように。
シェアメンバー募集中
この場を使って、仲間を見つけたり、作業をしたりする人のことを、お客さまと呼ぶのではなく、シェアメンバーと呼んでみることにしました。サービスに対して対価をもらうというよりも、目的はそれぞれであっても、この場を活用して、共に成長していけるような人たちと一緒にいて仕事がしたい。そのために目標を作りました。それが先ほどお伝えした
・未来へ繋がることを選ぶこと
・関わる人たちの幸福を考えること
・多様性を楽しむこと
の3つです。
僕もいろいろやりたいことはあるんですが、ひとりではできないことが多くていつも仲間を必要としています。
シェアメンバーは、月単位の契約で15000円。
1Fのカフェスペース、2Fのフリーアドレスのデスクを24時間活用でき、会社の登記もできます。
今後やりたいこと
そして今後やろうと思っていることがいくつかあります。もう5年くらい温めている「北九州チップス」をそろそろスタートしようと思っています。これは小学生の時に食べてた「プロ野球チップス」のローカル版です。
「プロ野球チップス」はプロ野球選手のカードがついてくるポテトチップスなのですが、僕がやろうと思っているのは北九州の人のカードがついてくるポテトチップスです。全然知らない立ち飲み屋のおばさんのカードが出てきて、その人のストーリーや趣味を知ることができます。
そして一番面白いのはそのカードが2枚ダブってしまったりすることです。すごく残念な気持ちになりますが、そうするとおばさんはその2枚のカードを持ってお店にくる人にビールを1杯サービスみたいな、新しいサービスを勝手に始めたりできるわけです。
ポテトチップスを通じて新たな経済活動が生まれるのです。それをめっちゃかっこいいパッケージデザインで提供したい。北九州でポテトチップスを作ってくださる会社があれば、是非お願いしたいと思っています。娘娘の肉焼き飯味とかにしたいですね
他にもいろいろあるんですが、まずは人にきていただかないと話が始まらないのでシェアメンバーを募集します。僕も人のつながりや知見を持ってますし、なにより助けてくれる仲間がいますので、興味があればご連絡をいただきたいなと思います。
Future Studio
福岡県北九州市小倉北区京町1-6-25
TEL : 050-3551-0100(11時~20時)
WEB : https://hellofuture.studio
MAIL : info@hellofuture.studio