株式会社ベガホールディングス 竹森 広樹代表インタビュー

2022年よりプロ野球独立リーグ・九州アジアリーグに参入しているプロ野球チーム「北九州下関フェニックス」の竹森 広樹代表にお話をうかがいました。竹森代表は株式会社ベガホールディングスの代表として、北九州市内でさまざまな事業を展開しています。第1回目のインタビューでは、竹森代表が経営者を目指すきっかけや市内で展開する事業など、野球事業以外のお話を紹介いたします。

ーー竹森さんは経営者としてさまざまな事業展開をされています。昔から経営者を目指していたんでしょうか?

近くに住む祖父がボーリング業を営んでいました。祖父は経営者として多忙な日々を送りつつ、仕事の合間に趣味の魚釣りをするなど、自分の裁量で働く時間を決めていました。一方、自衛官の父と看護師の母は、会社員に近い働き方でした。

どちらかというと、祖父のような働き方に憧れを持ち、将来は経営者になりたいと思うようになりました。

父が長男、母が長女ということもあり、いとこたちの中では私が一番の年上でリーダー的な存在だったことも、経営者を目指したことに関係しているかもしれません。

でも、まさかパチンコ店の社長になるとは思っていませんでした。

ーーパチンコ業界を選んだ理由をお聞かせいただけますか?

若い頃からパチンコにハマっていたこともあり、多額のお金が動いているこの業界に強い興味を持っていました。
大学では地質について学び、卒業後は祖父の事業の跡を継ぐという道もあったのですが、法改正の関係などでそれも難しくなり、興味を持っていたパチンコ業界への就職を目指すことにしました。

そのころは業界が生まれ変わろうと、大手のパチンコ店が新卒で大卒を採用し始めた時期で、自分の代が1期生、2期生にあたるような時代でした。給与面は申し分なかったんですが、偏見も強くあまり人が集まらなかったようなんです。

私も大手のパチンコ店を3社ほど受けました。面接で、「3年後にはベンツに乗せてやる、社員の慰安旅行はハワイだ」と言われ、3~5年後に店長になったときの年収を教えてもらったところ、それはもう驚きの金額でした。

これは夢があると思い、パチンコ店への就職を熱望しました。子どものころに憧れていた「社長」にはなれなくても、店長でも一国一城の主だし、10年ほど経ちブロック長になればそこら辺の大手企業に負けない給料をもらうし、何より自分の好きなことが職業になるって最高だ、と思ったんです。

ところが親の猛反対に遭いました。

泣く泣くパチンコ店への就職をあきらめ、大学卒業後は、地質関連の大手企業に就職しました。公務員的な仕事にあまり興味を持てず、結局一年足らずで退職して東京でパチプロになりました。

さすがに田舎の旧家を継ぐような存在が東京でパチプロをやっているというのが親にはよく映らなかったようで、北九州近郊に帰ってくることを条件にパチンコ店で働くことを許してくれました。

ーー念願のパチンコ業界ですね。

念願の業界で働けることになったのですが、なんと数年後にそのパチンコ店が倒産してしまったんです。その後の進路について悩んだのですが、親族や多くの方に助けていただき、そのパチンコ店を購入し、34歳でパチンコ店の経営者になりました。倒産してしまった会社で人事採用責任者をしていたときに採用した社員たちにも、新しい会社に入ってもらいました。

ーー現在、幅広く事業展開をしていますが、もともと多角経営を目指していたんでしょうか?

経営者としては、パチンコ業はもう長くないと感じているので、他の事業に転化していかないと難しいと思っています。今後、事業を多角化していき、仮にパチンコ業界が縮小したとしても、これまでに自分を支えてくれた店長たちの雇用を守りたいと思っています。

お好み焼 なにわ ホームページ

ーー北九州では有名な「お好み焼 なにわ」も経営されているんですよね。

あるとき、銀行さんから飲食業をやってみないかというお話をいただきました。詳しく話を聞いてみると、高校生のときによく通っていた有名な「お好み焼 なにわ」でした。

「なにわ」は最大で北九州市内外に20店舗以上あったそうなんですが、私のところに話がきたときには8店舗になっており倒産寸前の状態でした。私が経営するようになってからは銀行と協議しながら不採算店の計画的閉店などを実施し4店舗に減らしましたが、単店としては順調に業績を回復させ黒字化しています。(編注:現在は3店舗)

ーー他の事業についても教えてください。

ザックザクカレーパンが看板商品の「小麦の奴隷」、格安スマホの「エックスモバイル」の代理店を経営しています。

ーー会社を経営する上で心に留めていることはありますか?

「人間はみんなそれぞれ違う」ということを心に留めています。
育った環境が異なるから考え方も違うし、自分が良かれと思ってやったことが相手にとって良くないということもよくありますよね。

得意なことも人それぞれです。他人の苦手なところを補ってくれる社員を高く評価をしてきました。そのおかげなのか、パチンコ店の中では離職率が低いんです。事務員さんも結婚以外で辞めることはまずありません。
生産性がいいかと問われると、そんなにいい会社ではないと思うんですが、社員の入れ替わりが少ないので全体の能力が急に下がったりすることがありません。ですので、業績も安定しており、余裕を持って色々なことに取り組むことができています。

ーー先ほどからお話を聞いていると従業員さんのことを大切にしていると感じます。普段はどんなコミュニケーションを取っていますか?

無駄話ばかりしていますね。
あとはひたすら質問です。「なぜなぜ坊や」なんですよ(笑)

ーー今後の事業展開はどのようにお考えですか?

サービス業を中心にした展開を考えています。
いまはスポーツチームに携わっているので、スポーツクラブなどが親和性が高いのかなと思っています。