NPO法人KID‘s work代表 大久保大助さんインタビュー【KitaQ Style 1000Project No.14】

「北九州市の“人”をもっと知る」がコンセプトのインタビュー企画・KitaQ Style 1000Project。
第14回に登場していただくのは、NPO法人KID‘s workの代表を務める大久保大助さんです。NPO法人を立ち上げたきっかけや活動内容、将来の目標についてお話をうかがいました。

NPO法人KID‘s work代表 大久保大助さん

ーー大久保さんが運営しているNPO法人「KID‘s work」について教えてください

「KID‘s work」は、子ども・若者の「未来を創る力」=「考える力」「決める力」「行動する力」を、体験活動を通じて育むことをミッションに、2009年に立ち上げました。北九州を歩きながらキャンプする「あるキャン」や、鶏をさばいて食べるプロセスを体験する「にわとりキャンプ」などを展開しています。団体とは別に、個人としては北九州市の「未来の種事業」のコーディネートや単発の講演、ワークショップ、短大の非常勤講師など、幅広く活動しています。

ーー今のご活動をやるようになったきっかけをお聞かせください

中学3年生のときに、北九州市が募集した10泊11日の藍島でのキャンプに参加したことと、大学浪人中にかぐめよし少年自然の家のボランティアに参加したことが影響していると思います。

九州工業大学に入学した後も、週末はかぐめよし少年自然の家で「少年自然の家のお兄さん」として、子どもたちの引率やレクレーション、野外活動の補助的なこと子どもに関するボランティア活動 をしていました。

卒業後も仕事としてこの活動を続けられないかと思ったのですが、そうすると公務員になるしかないことが分かりました。3年程度で部署が異動する公務員では自分のやりたいことができないと考えました。また、当時は就職氷河期といわれており自分に合った仕事に就けそうになかったこともあり、北アイルランドに渡り2年間を過ごしました。

在学中に一度休学し、福岡県青年の家で香港、深圳、広州に行きました。そのときに「世界には面白いことがたくさんある」と感じ、いろんな国に行ってみたいと思ったのも海外に渡った理由のひとつです。

帰国後は家業を手伝ったのですが、畑違いの業種でとても苦労しました。そこで、子どもたちに関する活動を再開しようと思い、北九州市立大学文学部に社会人枠で入学しました。卒業後の2009年に、仲間と「KID‘s work」を立ち上げました。

活動を始めるようになったターニングポイントが特にあったわけではなく、行きつ戻りつしているうちに今の状態になったように思います。

ーー北九州を歩きながらキャンプする「あるキャン」について教えてください

以前は馬島で4泊5日で羽釜でご飯を炊いたり薪でお風呂を沸かしたりしながら学校に通うといった内容の「くらしまるごと体験宿 」をやっていました。しかしコロナ禍で、テントに6人入って雑魚寝する、などといったこれまでやっていたことが一切できなくなりました。

そこで今後の活動を考えたときに、これまでの定住型キャンプとは異なる「移動型のキャンプ」をやってみてはどうだろうかという案が出ました。

歩くルートや開催時期を話し合う中で、8月に小倉城から皿倉山まで実際に歩いてみたのですが、夏場ということもありかなりバテました。

そのことを踏まえ、第1回目の「あるキャン」を比較的過ごしやすい5月の連休に設定しました。コースは小倉城~玄海少年自然の家~皿倉山~小倉城と歩く約50キロのルートです。

ーーこのコースを選んだ理由はありますか?

皿倉山って北九州の人なら必ず登るような山ですよね。子どもたちが大人になったときに皿倉山から小倉城を見て、自分の子どもに「あそこまで歩いたんだよ」って言えると物語になるかなと思いました。

それに、自分で歩くと街のサイズを体で知ることもできますよね。北九州っていろんなものがごちゃごちゃと混じっていて、決して洗練された街ではないんですが、とても良い街だと思うんです。このコースを歩くことで、街の良さを理屈ではなく体で覚えてほしいな、という願いもありました。

ーー50キロを歩くのは大変そうです

子どもがひとりで50キロを歩くのは無理だと思うんですが、仲間と一緒だと歩けるんですよね。

自分はここまでしかできないって勝手に決めがちですが、実は限界って自分が思うより少し先にあるんです。ひとりでは限界を超えられなくても、誰かに引っ張られることで超えることができますし、一度限界を超えると、自分で可能性を狭めることもなくなります。自分で勝手に限界を決め付けないことが大切だということを子どもたちに伝えたいなと思っています。

ーー2022年に始めた「にわとりキャンプ」についてお聞かせください

「にわとりキャンプ」は大学生の発案なんです。

自分で鶏をさばいて食べるってどう思う?とうちの子(当時小学6年生)に聞いてみると、怖いから行きたくないって言ったんです。そこで、こういう子が鶏をさばいてみたいと思えるようなプログラムを一生懸命考えました。7割ぐらいの完成度で一度リリースし、あとは動かしながら修正していきました。

ーー今後やりたいことがあればお聞かせください

高校生や大学生が毎年自分なりのキャンプ を1本発案し、その企画を形にするということを今後も続けたいと思っています。自分のアイデアをどうやって形にしていくのか身につけてもらえるといいなと思っているんですよ。

2023年夏に玄海青年の家で4泊5日のキャンプを計画しています。現在ミーティングを重ね、どんなキャンプにするのか?どうしたら子どもたちがおもしろいって言ってくれるか?自分たちもやっていて楽しいもの…そうした想いを込めてプログラムを企画しています。

今回は、高校生がプログラムの中心になってくれています。
プログラムの立て方については、正直まだまだ未熟さが見えます。しかし、ミーティングでのやりとりを通じて、基本的な考え方や構成の仕方を伝え、学んでもらっています。

大きな組織だと、広報や経理、営業など分業制で行いますが、私たちはそんな大きな組織ではないので自分たちで何でもやらなきゃいけないんです。

「何でもしなきゃいけないということは、最初から最後まで全部を見られるということだから、プロジェクトの全体感をつかむには小さい団体のほうがいいぞ」と若いスタッフには話しています。企画からチラシ作り、助成金の書類作成まで、全部のプロセスを高校生や大学生と一緒にやっています。

おこがましいですけど、こういった活動を継続することで「後進を育てたい」と考えているんです。
自分の思っていることを社会に働きかけることによって、実現できるという感覚や、自分で世の中を動かすことができるという実感を小さくても持つことで、次の世代の人たちに「社会に対する信頼」「自分に対する信頼」を身に付けてもらいたいんです。

ただ、まずは自分が楽しく活動できることが一番だと考えていますし、子どもたちが面白がってくれる活動を続けたいと思っています。

まちの良さや面白さは、自分たちが見ていないだけで本当はもっとたくさんあるんです。子どもたちにそのことを知ってもらいたいし、そういう場に身を投じて自分から面白いことを作ってもらいたいなと思っています。
楽しさって、頭で楽しいと思うだけではなく、“手足がしびれるような楽しさ”もあると思うんです。将来は子どもたちと一緒に「しびれるほど楽しいこと」を作るのが目標です。(取材:2022年6月)

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