北九州市に来たばかりで知り合いがいない、などの理由で、いわゆるソロ活を余儀なくされる機会も多々あるかと思いますが、初めてのお店に一人で入るのはなかなか勇気がいるものです。
そこで、一人で行っても馴染みやすい、一人なのに不思議とさみしくない!そんな、北九州市のカウンターのあるお店をご紹介していきたいと思います。
店主さんとおしゃべりしたり、他のお客さんと仲良くなったり。 “一人だからこそできる楽しみ方”をぜひ北九州市で極めてください。
【Little O coffee & donut】
最初の一歩
小倉駅から徒歩10分弱、平和通りのモノレール駅やバス停の目の前にあるビルの地下に、今年2月、ドーナツとコーヒーのお店がオープン!入り口では、かわいらしいドーナツのキャラクターが迎えてくれます。
・・・と、前回の記事も読んでくださった方はこの時点で「おや?」と思っているかもしれません。実は昼と夜という違いだけで、前回も同じ場所の写真を載せていました。今回ご紹介する『Little O』は、前回ご紹介したバー『Peace Ave.』と同じ場所で、お昼の時間帯に営業しているのです。夜とはまったく違う顔を持つ『Little O』にも潜入してみたいと思います!
こだわりのドーナツとコーヒー
店内ももちろん『Peace Ave.』と同じ内装なのですが、明るいからかバーというよりはカフェっぽく、カジュアルな雰囲気。入って左手にテーブル席、右手にはカウンター席もあります。
そしてそのカウンターには、見ただけでテンションが上がるドーナツたちが整然と並んでいます!同じようでいてひとつひとつ違った表情をしているドーナツたち。なんだかずっと愛でていられそう。
そんなドーナツ、サイズはやや小さめ。そして薄力粉100%なのでふわっとしていて食べたあともまったく重くありません。このサイズ感と軽さがオーナー・小川さんのこだわり。女性でも2つくらいはパクパクっと食べれちゃいます。こんなに美味しそうなドーナツが並んでいるので、ひとつに絞るなんて不可避!そんなお客さまの想いを汲んでくれているかのような嬉しいこだわりですよね。
フレーバーは常時5種類ほど。クラシックな味わいを提供したいと定番は「ザ・シンプル」なもので見た目も素朴なものをそろえています。懐かしいようなほっとする味で、美味しい上に、なんだか心がぽっ、とあったかくなるんです。一種類は季節ものをラインナップし、「少し派手でもいいかな」との思いで遊び心も感じるようなわくわくした一品にしているそうで、こちらはこちらでイマドキのテイストも味わいたい欲を満たしてくれます。
ちなみにあんドーナツは、イートインでのみバタークリームを乗せて提供してくれます!見た目にもかわいらしいですが、あんこの甘さとバタークリームのほんのりとした塩っけが合わさって最強のハーモニー…。店内だけの味、ぜひ召し上がってほしい。
ドーナツと最強の相性であるコーヒーも、「おいしいものをしっかり出したい」とこだわっています。ドーナツに合うように現在はブレンドの深煎りがメインですが、スペシャリティコーヒーがまだ小倉では根付いてないので、今後はコーヒーのメニューも増やし、地道に築いていきたいと語ってくれました。もちろんコーヒーだけ飲みに来てもOKだそうです!
コーヒーとの出会い
小川さんがコーヒーと出会ったのは、学生時代タバコを吸う場所を求めて喫茶店に行くようになったのが始まり。自然とコーヒーを飲むようになり、その美味しさに目覚めたと同時に、喫茶店の雰囲気やお店の空気感など、「コーヒーのある空間が好きだ」と思うように。
大学卒業後、「コーヒーに関わる仕事がしたい」と考えていたときに、親御さんから北九州市でバリスタが来るイベントがあると教えてもらい、足を運んだ小川さん。そこで前職である下関市のコーヒー専門店『クラフツマン』と出会います。「ここだ」と直感で思ったという小川さんは、何度かお店に通うなどして熱意を伝え、無事働くことになります。
そこからしっかりとコーヒーに触れ、勉強し、自分で豆を焙煎したりいろんなイベントに出店するなどして経験を積んだ小川さんは、次の道を考えるように。
そこで大きなきっかけとなったのが、前回の記事でご紹介した『Peace Ave.』のオーナーである純平さんでした。純平さんの一店舗目『coffee bar J』にクラフツマンの豆を卸していたことから、つながりがあった二人。純平さんが二店舗目を開くタイミングで、「昼間の時間よかったらやってみない?」と打診を受けたのだそう。
30代も目前に迫り、「今ここでやらなかったらこのままずっと変わらないかも」と考えた小川さんは、一念発起してこの場所で『Little O』を開くことになりました。
なぜドーナツ?
独立するなら絶対にコーヒーは扱おうと決めていた小川さんですが、コーヒーだけのお店は今の時代では厳しい。「コーヒーと、何か」を見つけるためずっと何がいいか考えていたある休みの日に、奥さまと何気なくコーヒーとドーナツをテイクアウトして、青空のもと公園で食べることに。そんなささやかなひとときが、「幸せだなぁ、いい時間だなぁ」とじんわり感じた小川さん。
そこで閃きます。「身近すぎて気にしたことがなかったけれど、ドーナツとコーヒーの相性は抜群。ずっと昔からあって普遍的でみんな知っていて、何よりその形や見た目など、アイコンとしてのキャッチ―さがいい!」
そこから試行錯誤をくり返して現在のドーナツが誕生。いろんなドーナツをつくるのが楽しくてハマったそうで、小川さんとドーナツには運命的な相性の良さがあるのかもしれません。
根っこにある「喫茶店が好き」
「寝ちゃうくらい居心地がいいのが一番の理想」と語ってくれた小川さん。『Little O』でも、お客さまとの関係性を常にフランクでありたいと考え、かしこまりすぎずに、お互いにとってすごく居心地のいい場所がつくれたらいいな、と考えているそうです。すでにそんなお客さまは多く、仕事着のまま仕事の合間に来てくれたり仕事終わりに来てくれたり。一人のお客さまも本を読んだり書き物したり自由に過ごしているようです。本来はバーという場所だからこそ、カウンターからお客さんがゆっくりしている姿も見れる、というメリットもあるんだとか。
「メインの時間としてではなくて、仕事の合間やちょっとした空き時間でも、日々の隙間が自分の好きなもので埋まるとその人にとって良い日々になっていく。その一つとして選んでもらえたらうれしいですね。日々のルーティンの一つになれれば最高です。みなさんにとってささやかないい時間になればいいな、そういう時間を提供出来たらな、と思います。なんだかんだよく行くお店は限られますが、そういうお店に出会えるのは素敵なことだし、誰かにとってそういう場所でありたいですね」
『Little O』に込めた想い
最後に、『Little O』に込めた想いについてお聞きしました。
「ドーナツの〇でもあるし、上から見たコーヒーカップでもある。リトルはドーナツのサイズ感でもあり、“ちょっとした幸せ”というニュアンスもあります。日々の中の彩りになればな、という想いを込めました。テイクアウトでも店内でも場所はどこでだって、ドーナツとコーヒーがある空間なら一息つけるし、幸せを感じられる時間になれたら、と。
仕事帰りに寄ったりテイクアウトしてお土産にしたり、ほっとできたりちょっとしたご褒美になったり、心が安らぐような、ひと休みできるお店でありたいなと思っています。」
詳細情報
小倉北区魚町3-4-6 ワタナベビルB1
営業時間/12:00~18:00
定休日/月曜日
※臨時休業などの情報はInstagramをご確認ください
協力:門司港ゲストハウスポルト