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北九州人の地元愛に関する一考察【エッセイコンテスト 入賞作品】

エッセイコンテスト「第1回 キタキュースタイルカップ」 入賞作品

【あの素晴らしい地元愛をもう一度】

 私が思うに、北九州人は、地元愛が強い。

 こんな会話を耳にしたことはないだろうか。
 「北九州と福岡を一緒にすんなちゃ!(笑)」
 「北九州と北部九州は全然違うんやけ!」
 北九州を他と混同されたくないという気持ちが、方言も相まって強く表れている。いわゆる”北九州あるある”の一つだ。
 出身地を答える際も、「福岡県の“北九州出身”」と、敢えてアピールをする人も多いらしい。
 なるほど。私自身も生まれてこの方30年、北九州で暮らしているが、”福岡出身”よりも”北九州出身”のほうがしっくりくる。
 このような定番の“あるある”から、北九州に対する地元愛を垣間見ることが出来る。

 とある企業が発表した『全国21都市プライド・ランキング』なるものがある。
 日本全国の主要都市を対象に、様々な項目において、地元をどう思ってるかをランキングにしたものだ。
 この結果によると、北九州市は“愛着”の項目で全国第5位にランクインしていた。
 やはり、北九州人は、地元愛が強いのだ。
 余談だが、これを体現するかのように、北九州市役所公式ツイッターの名前も「好きっちゃ北九州」である。

 多くの人々に地元が愛されていると考えると、非常に嬉しくなるところだが、実はこのランキングには続きがあった。
 “愛着”でランキング上位に入り込んだ一方、“誇り”では第11位、“お勧め度合い”は第16位と、軒並み低い順位となっていたのだ。
 確かに、世間一般の北九州へのイメージを考えると、あまり誇らしいと思えないという方は、少なくないかもしれない。
 福岡市に比べたら買い物や遊びに行く場所が少ないし・・・という理由でお勧め度合いが低いのかもしれない。

 しかし、私はこの結果を見て、あることに気がついた。
 もしかすると、多くの北九州人は、北九州のことをあまりよく知らないのかもしれない。
 いや、実際そういう人は多いに違いない。
 「地元最高!」とは思いつつも、ついつい福岡市が羨ましくなってしまう北九州人にこそ、メッセージを送りたい。
 北九州は、誇れる街でもあれば、人に勧めたい場所もたくさんあるのだ。

 限られた文字数の中、多くの情報を伝えることは難しいが、北九州市の魅力を、私の地元である北九州市若松区を例に挙げて紹介したい。

【世界はそれを地元愛と呼ぶんだぜ】

〜日常生活の中に見つける北九州の誇り〜

“北九州工業地帯”というワードはほとんどの人が耳にしたことがあるだろう
北九州は工業を中心にして栄えた街だ。
若戸大橋の上を車で走ると、まるで歴戦の戦士の如く、海沿いに立ち並ぶ工場の勇姿を望むことが出来る。
近年では、工場夜景ツアーなども開催され、新たな角度から再注目されている北九州の繁栄の象徴だ。

しかし、光あるところに影ありと言わんばかりに、過去に暗い歴史があったことはご存知だろうか。
1960年代、北九州は激しい公害に苛まれていた。
工場から轟々と立ち昇る煙は空を多い、人々を喘息で苦しめた。
工場から排出された汚水は、洞海湾を死の海へと変貌させ、棲息する生き物を死滅させた。

このような出来事があったにもかかわらず、現在の姿はどうだろうか。
晴れた日には冴え渡る青空を眺めることが出来るし、若松駅周辺では真っ赤な若戸大橋と濃青の洞海湾のコントラストを楽しむことが出来る。
これらは全て、公害の対策に向けて、街と市民が一丸となって取り組んだ素晴らしき結果なのだ。
若松区民の原風景とも言える若戸大橋を眺めると、この風景を取り戻すべく活動してきた北九州人の地元愛の強さに想いを馳せることが出来る。

かつて公害に苛まれていた北九州は、今や“環境モデル都市”として認定されている。
暗い歴史があったからこそ、市の環境に対する意識も高く、現在も様々な取り組みが盛んに行われている。
私たちの日常生活において、それらを実感出来る最たる例が、「ごみの分別」ではないだろうか。
北九州では、かねてよりごみの出し方を品目ごとに非常に細かく分別しており、近年では“ごみ分別アプリ”も配信されているほどだ。
面倒だと思いつつ、毎日ごみを分別している方も多いかもしれない。
だが、その何気ない活動こそが、確実に、私たちの地元である北九州を美しくしているのだ。

一度は公害に苛まれながらも、不死鳥のように美しく生まれ変わった北九州とその歴史は“誇り”であり、そしてまた、その美しさを守り、更に美しくしていく私たちこそ“誇り”である。

〜“新発見”と“再発見”を楽しめる街〜

若松区と聞くと、どのような場所を思い浮かべるだろうか。
海岸?工場?グリーンパーク? もしくは・・・なかなか思い浮かばない?
そんな北九州人に、週末にふらっと出かけたい2つのお勧めスポットをご紹介したい。

1つ目は、若松区響町の直売所内にある、『白ねこ』というお店だ。

入口の看板のキャッチーなロゴとともに書かれている“若松かき氷”の文字。
白ねこのかき氷は、縁日などのそれとは全く違う、まるで東京の若者が集う店で出てくるような、まさに“インスタ映え”も狙えるかき氷だ。
「こんなお店が若松に?!」と驚く方もいたのではないだろうか。
こんなお店が、若松に、あるのだ。

一推しメニューは、色々なフルーツが乗った“白ねこ”だが、他にもミルク氷とイチゴソースの相性が抜群のイチゴミルクや、老若男女問わず人気のミルク宇治抹茶金時なども揃っている。

「どこかに出掛けたいな・・・」と思っている方は、若松北海岸周辺を散策した後、白ねこでかき氷を食べて楽しんでみてはいかがだろうか。
「鹿児島の白くま?こちとら若松の白ねこよ。」と、自慢したくなること請け合いである。

2つ目は、ちょうど若戸大橋の真下に位置している、『若松恵比寿神社』だ。
若松恵比寿神社では、その名の通り、七福神の恵比寿様、そして大黒様が御祭神として敬われている。

拝殿の左手にある授与所でお守りを頂いたりおみくじを引くことが出来るが、私がお勧めしたいのは御朱印帳だ。
若松恵比寿神社オリジナルの御朱印帳には、若戸大橋とくきのうみ花火大会の風景が刺繍でデザインされており、まさにこの地でしか手に入れることの出来ないオリジナルの良さと味わいを感じることが出来る。

もちろん若松恵比寿神社だけでなく、各地に様々な寺社仏閣があり、その一つ一つに深い歴史や語り継がれてきた逸話が残っている。
近くを通りかかったことはあるけど・・・という場所に実際に足を運んでみると、新たな発見や思わぬ出会いがきっとあるはずだ。

【地元愛を込めて北九州を】

北九州が世間でどのようなイメージであろうと、北九州人の地元愛が強いことはとても素晴らしいことだ。
そして、これから多くの北九州人自身が、北九州の魅力にたくさん触れ、誇りに思う気持ちや人に勧めたい気持ちがどんどん芽生えると、より多くの人々に北九州の魅力やイメージとは違う本当の姿が伝わり拡っていくのではないか。
そうすると、北九州に住んでみたい!と思うようになる方も増えるかもしれない。
人が増え、街として更に発展していくと、地元愛は一層強くなっていくだろう。
地元愛が街を発展させ、街が地元愛を育むのだ。
“わっしょい百万夏祭り”なのに百万人いない・・・という自虐ネタが封印される日が将来やってくるかもしれない。

これまでの北九州の再生と発展の根底には、北九州人の地元愛があった。
そしてこれからの北九州もまた、そうであって欲しいと願う。

10年後、20年後、北九州がどのような街になっているのか楽しみである。

作者:生活野 知恵さん