ガチサポの私から見た北九州~海ポチャのミクスタがあるわが街【エッセイコンテスト 入選作品】

エッセイコンテスト「第1回 キタキュースタイルカップ」 入選作品

2019年12月1日。
私は、寒風の吹くミクニワールドスタジアム北九州のギラヴァンツ北九州のゴール裏にいた。
サッカー初観戦の息子と一緒に。
もうすぐ自分のもとから巣立つであろう彼に、私たちの住む街のJチームの優勝決定の瞬間を、どうしても見せたくておきたくて。

サッカー初観戦で右も左もわからない彼に対して、優勝の瞬間を心待ちにして、盛り上がり最高潮の黄色に染まったゴール裏。
私は、あえて、いつもの居場所のゴール裏に、彼を連れて行った。
サッカー観戦のお決まりだからと、彼用のタオマフを買って、首に巻いた。

試合の間、海風冷たいゴール裏に、彼は居続けた。
ルールすらわからない中で、ピッチに視線を向けていた。

そして、優勝の決まったあの瞬間。
彼は黙って、ピッチに向かって、拍手を送っていた。
サポがうれし涙を流しているゴール裏に座って、國分伸太郎選手はじめ、優勝の喜びに飛び跳ねるギラ選手を見ていた。

優勝セレモニーを見届けたい私に、最後まで付き合ってもくれた。

育った町のチームが優勝する瞬間を、自分の目の前で見られるなんて、そうあることやない。そう思いながら、息子を誘ったサッカー馬鹿な母。

すごかろ?
自分の街のチームが、目の前で優勝するところなんて、そうそう見れるもんやないばい。

あの瞬間、彼は、何を感じてくれたんだろう。
今でも、まだ聞けてない。

自分の生まれ故郷で母になり、北九州市に移り住んで約15年。
出身地から近いので、とても身近に感じてはいたが、住むのは初めて。
涙を流しながら地元を離れ、北九州に住んでみて、まず感じたのは、なんて便利なところなんだろうって。

生活するにも、子育てするにも、仕事を探すにも、遊ぶにも、公共交通機関の利用も、ほんとに便利で住みやすい。

それに加えて、知人すらいない土地で、地元の多くの人たちには、親切でおせっかいなくらいで、いろんな意味で、たくさん助けてもらった。今でも、たくさんの人たちには、感謝しかない。

だからこそ、ホントの北九州を知らない人たちから、過去の映画などのイメージから、「怖いところ」といわれることは、とても残念。どこにも怖い人もいるんだろうけど、少なくても、私のまわりの人たちは、優しい人が多い。
安くておいしいものも多いし、自然豊かで、公共交通機関もいろんな選択肢があるし、観光名所も多いんじゃないかな。仲良くなると、つい遊びにおいで…って言ってしまうくらい。ホント、一度遊びに来てほしい。

今では、すっかりガチサポの私だけど、こんなになったのは、ここ3年弱。

チケットを買っての初観戦は、意外と古く、本城陸上競技場でのニューウェーブ北九州VS福岡ブルックス。
のちのギラヴァンツ北九州とアビスパ福岡なわけだけど、ここではまだサッカー沼にははまってない。残念なことに、試合の内容も、誰がいたのかも、全く覚えてない。

どっぷりはまったのは、もっとずっと後の2017年夏のレノファ山口VS大分トリニータ戦。
アウェイ山口で観た大分トリニータのトリサポさんの熱量にやられた。
チャント・ユニ・旗…青く染まったあの景色に、トリニータブルーの沼に落ちた。

大分に通い始めてからは…

片野坂サッカーの面白さに…
青のゴール裏の熱量に…
大分銀行ドームのきれいさに…
ファンサービスをするトリニータの選手の笑顔に
トレーニングマッチで出会った美人スポンサーさんの優しさに…
さらにふかいトリニータの沼に落ちた。

その結果…

2018年春に、大分から遠く離れた北九州市八幡西区黒崎で、たった一人で、北九州トリサポ観戦会を始めるまでになってしまった。

トリニータを愛する人たちと繋がれたらいいな…その思いだけで。

開催前の不安は、初回開催で、すでに驚きへと変わった。

ありがとう。
自分も、大分から離れた地で、こういうことがしたかった。
でも、できずにいた。
大分に何のゆかりもないのに、ありがとう。

そんな言葉をたくさんかけられた。

北九州はもちろん、福岡県南、大分はじめ九州一円、山口、関東…
ありがとうと言いながら、いろんなサポさんが来てくれた。
大分トリニータやサッカーを愛するたくさんの仲間と、繋がれた。
観戦会の後の飲み会、祝勝会、アウェイ遠征で、仲間同士もつながった。
告知に活用したTwitterやinstagramを通じて、さらに仲間の輪が広がった。

私、なんかすごいことやっちゃった?

最初に協力してくれた北九州のお店は、見かねた店長さんの恩情から。
今観戦会をやっている二つのお店は、店長もガチでサッカーが好き。
各店の店長さんたちには、もう感謝の一言しかない。

一人で始めるのは、大変なこともあったけど、振り返ってみると、楽しかったことのほうが圧倒的に多かった。

サッカーって、すごいな。
肩書も、年齢も、性別も超えて、こんなに人と繋がれるのか?
楽しすぎる。

3年目の今、そんな風に思っている。
ただ、コロナ禍で、今のところ、未開催。
スタジアムに、サポさんが集まるころには、開催できるかな。
今年も、たくさんの人と繋がれたらいいな。

あっ、福岡県民なのに、北九州市民なのに、トリサポでごめんなさい。

そんな私のギラヴァンツ北九州とミクスタとの出会いは、2018年の冬。

初ミクスタへは、2018年2月の北海道コンサドーレ札幌とのトレーニングマッチ。
本山と小野と稲本がミクスタのピッチにそろってるとこ、どうしても見たくって、ひとりで見に行った。スマホのカメラ機能で、にやにやしながら一枚パシャリ。

同じ年の4月のザツパクサツ群馬戦は、初ミクスタのアビサポの友人とギラヴァンツ北九州初観戦。
あのスタジアムに大興奮だったけど…半面ゲーム内容は期待外れで…ピッチに立っている選手からは、サッカーを楽しんでるようには見えなかったのが、とても不思議だった。

大分トリニータの次に、ガチで応援するようになったのは、2019年シーズンの大分トリニータからギラヴァンツ北九州への國分伸太郎選手の期限付き移籍。
彼は、大分時代から、にこにこ笑顔でサポに接してくれた。
出場機会はそれほど多くはなかったけど、大分銀行ドームでの惜しくもJ初ゴールを逃して、両ひざをついて天を仰ぐ姿は、今でも忘れない。

ユニの色が違うのは、正直少し寂しいけれど、すっかり北九州になじんでいる彼の笑顔を見てると、素直にうれしい。
この北九州を大好きだと言ってくれてる。
だからこそ、ギラヴァンツ北九州での彼の活躍・初ゴールは、何よりうれしかった。

それをきっかけに、2019年は、大分だけでなく、ミクスタにもよく通った。

片さんトリニータも、小林監督に変わったギラヴァンツも、選手がそれぞれのチームのサッカーを心から楽しんでいるように見えて、このシーズンは、試合のある週末が楽しくて仕方なかった。

ちなみに、私の居場所は、チームが違えど、決まってゴール裏。
応援しているサポの熱量を身近で感じられるあの感覚は、たまんない。
チャントわかんなくても、もうワクワクしかない。
冒頭に書いた優勝の瞬間も、昇格の瞬間も、いつもの場所で見届けたのは、そういう理由。

こないだのコロナ禍からの再開のV.ファーレン長崎戦、ひとり北九州トリサポ観戦会してた黒崎のお店で、國分選手のあのゴール、よっしゃー!!!と、ガッツポーズしてた。

当たり前にあったサッカーのある日常が、やっと戻ってきた。
なんて幸せなんだろう。

片さんのいる大分トリニータのサッカーが好き。
伸太郎くんのいるギラヴァンツ北九州のサッカーが好き。

いろんな年代の人がいて、車いすのままで応援できて、屋根の開閉する昭和電工ドーム大分のゴール裏の景色が好き。
ふらっと小倉駅でハイボールを飲んでから、足を運べる海ポチャのあるミクスタのあるこの街が好き。

大分も、北九州も、いつかヨーロッパのように、サッカーが当たり前に市民生活に溶け込んだ街になるといいな。
住んでいるみんなが、わが街のチームとして、それぞれを応援してくれて、選手が地域で当たり前に暮らしてる。

いつか…そんな街で、サッカーを愛する仲間が集まれて、チャント歌えるようなお店、私、作るんだ。

作者:海トリさん

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