【インタビュー】北九州下関フェニックス 松本直晃監督

松本直晃監督 インタビュー

松本直晃監督プロフィール

生年月日:1990年11月14日
身長:180cm
体重:87kg
右投げ右打ち

兵庫県出身
東海大翔洋高校ー環太平洋大学ー医療法人養和会ー香川オリーブガイナーズー埼玉西武ライオンズー琉球ブルーオーシャンズ

●監督のオファーが来たときにどのように感じましたか?

前任の西岡(剛)さんとは、野球選手としてのステータスが違いすぎるため、僕でいいのかなと思いました。その中で、どうしてオファーをいただけたのか考えてみました。
今までの経験から、西岡さんにできて僕にできないことってたくさんあると思うんです。逆に、西岡さんにできなくて僕ができることって何があるんだろうと考えたところ、僕が歩んできた特殊な経歴から得られた経験値があるなと思いました。
独立リーグには様々な経歴を持つ選手がたくさん所属しています。そのため、似た境遇を経験しているからこそ理解できる部分があるのではないかと考えました。監督という立場は簡単にできるものではないと思い、オファーを受けることにしました。

●2022年にフェニックスに入団したときには想像できない出来事ですね。

元々は、フェニックスで野球生活に整理をつけて1年で辞めようと思っていたんです。
1年目にセーブ王のタイトルを取って、来年どうしようかと思っていたときに、選手兼任でのピッチングコーチの打診がありました。年齢も年齢だしコーチも面白いかなと思ってもう1年現役を続けて、その後監督のオファーがありました。予想だにしないことが2年続いていて、とてもいい経験ができていると思います。

●現役に対する未練はありませんか?

もちろんありますし、自分ではまだ投げられると思っています。
去年もクローザーをやっていてプライドも持っていたんですが、ある時期から、自分自身のことよりも、僕がチームに対してどれだけ貢献できるかと考えることが増えました。
昔お世話になったライオンズの先輩に岡本篤志さんって方がいます。篤志さんが引退された年に僕がルーキーイヤーで、年齢もかなり離れていたんですが、すごく気にかけてくれていました。
篤志さんが引退発表をする前に2軍の試合で「若い選手が2軍で結果出す姿を見て、昔だったら悔しがったはずなのに、今は若い選手を応援していることに気づいた。野球選手としてはここまでだなと思ってもう今年引退しようと思う」って話をされたんです。

実は僕にも去年全く同じことがありました。

初めは、終盤に大江(海透・現オリックス)が抑えたら、何くそと思っていたんです。でもある時期から、頑張れって思うようになりました。大江や橋爪(海人・現ショウワコーポレーション)、荒巻(千尋)、タバちゃん(タバーレス)らピッチャー陣に対して、ピッチングコーチとしての自覚が徐々に出てきて、若いピッチャーもっと頑張れ、と思うようになった途端、自分の成績よりも他のピッチャーが良い成績を残すことの方が、優先順位が高くなったんです。そのときに「プレーヤーとしてはここまでかもしれない」って正直思いました。
それ以降は気持ちが楽になり、若いピッチャーを無理に使わないようにさまざまな場面で登板しましたが、全く苦ではありませんでした。

●イメージしている監督像はありますか?

誰かをモデルにしているわけではありませんが、フェニックスらしさは常に出し続けたいと思っています。(中村)道大郎兼任ヘッドコーチや平間(隼人)兼任コーチはまだ若いので、若い人間たちだからこそできるエネルギッシュさを重視したいと思っています。

●今シーズンのチーム作りはオープン戦を見ながら、という感じでしょうか?

選手たちが全員集まったときに言ったんですが、準備期間が短い中で、開幕戦から100%に仕上げてシーズンを戦い抜くのは難しいと思っています。
開幕戦はもちろん勝ちに行きますが、長い目で見たときに3月4月で勝ちにこだわりすぎるのはどうかな、と僕は感じています。
ここ2年間は大事なところで追い上げる力が残ってなかったように感じているので、そこまでにしっかり力を蓄える意味でも、前半戦は基礎的なところから始めて、徐々にチームとしての形を作っていく方がいいと思っています。

●今回は新入団選手が13名と大幅に入れ替わりました。どの選手にも期待をされているとは思いますが、特にこの選手に期待しているというものはありますか?

昨年も在籍している荒巻やタバーレスに関してはある程度活躍をしてくれるだろうと見込んでいます。2人には、チームを去年から知っているメンバーという意味でも自覚を持ってプレーしてほしいと話をしています。
新入団選手は未知数ですが、みんなそれなりにいい球を投げるんで、オープン戦を見ながら適性を見ていきたいと思います。
ここ数年、ピッチャーが150キロ投げるのが驚かない時代になり、パワーや出力は絶対に昔より上がっているはずです。でもそれだけのものを持っていても、NPBのドラフトにかからなかったということは、球速以外で修正しないといけない部分があると思うので、そのあたりをしっかり見極めたいと思います。

●主力が抜けた打撃陣はいかがでしょうか?

監督のオファーを受けたときに、そこが一番気になっていました。大河やモタが火の国サラマンダーズに行き、宇土が引退した穴は結構大きいんですが、吉岡も平間も残りましたし、個人的には去年さほど打席数の多くなかった中田や和希が今年どれだけ活躍してくれるか、そこに期待しています。

●フェニックスといえば打のチームというイメージが強かったですが今季はそのあたりが変わりそうですか?

点の取り方が変わるかもしれなません。ここ2年間のフェニックスは、個人の高い能力を存分に発揮してきたチームでしたが、そこにチーム力を加えて、得点力を補えればと考えています。そのためにはチームプレーも必要ですし、走塁も重要になってきます。

●改めて今季の目標をお願いします。

まずはリーグ優勝です。

独立リーグのグランドチャンピオンシップで、同じリーグのサラマンダーズが2年連続で優勝しているので、九州アジアリーグは他のリーグから見てレベルが高いと思われているんじゃないでしょうか。
仮に僕らがリーグ優勝して、グランドチャンピオンシップで簡単に負けるようなことがあったら九州アジアリーグの価値を落とすことにもなりかねないので、グランドチャンピオンシップでも勝たなければならないと思っています。
まずはリーグ優勝してからですね。サラマンダーズとどれだけ戦えるかというのが鍵になってくると思いますが、もちろん、大分B-リングスも宮崎サンシャインズも侮れない相手だと思っています。