
北九州下関フェニックスは6月27日、ホーム・北九州で火の国サラマンダーズとの九州アジアリーグ・後期リーグ戦1回戦に臨んだ。6回までホームを踏めず、0-3と敗色濃厚で迎えた7回裏、相手投手の制球難につけこみ、井町爵久のタイムリーツーベースなどで同点に追いついた後、相手投手の暴投でサヨナラ勝ちを収めた。フェニックスのサヨナラ勝ちは今季初。
北九州下関フェニックス 4-3 火の国サラマンダーズ(2026年6月27日・北九州市民球場)
この日のスタメン発表で、平間隼人の名前が最初に呼ばれた。
「1番・ショート、平間」。

2024年まで、それは日常の光景だった。平間隼人がショートを守る。フェニックスの試合を見に来れば、当たり前のようにそこにいた。しかし、今シーズンは開幕からの数試合を除き、「3番・指名打者」が定位置だった。その選手兼任監督が、守備につく。それがどういう意味を持つか、見ている側には伝わっていた。「久々にぶっつけで守りました」と試合後笑いながら話してくれたが、チーム最年長の平間をトップバッターに入れざるを得ない状況が、フェニックスの現状を表している。
後期リーグはここまで2勝4敗。4敗はすべて1点差か2点差の競り負け。前期の9連勝がまるで嘘のように、波に乗り切れない日々が続いていた。この試合を迎えた時点で、リーグ最下位。
この日も、ランナーを塁には出すものの、あと1本が出ない。3番に井町、6番に大豊、そして9番に初スタメンの神谷凱士を入れた新打線は着火する気配がなかった。神谷は高卒1年目。江藤、小川ら同世代の若い力がグラウンドに立つ機会が今季は増えた。勝ちにいきながら、同時に未来も作ろうとしている。
「いつも通りの展開で最終回まで来たので、もう負けるパターンではあったんですけど」
試合後に平間監督が語った通り、今季のフェニックスの負けパターンで試合が進んでいた。繋がりかけては切れる攻撃。今シーズン、何度この感覚を味わっただろう。
しかし、自らを1番に入れる荒療治は、最終的に最高の形で実った。
7回裏。マウンドにはサラマンダーズのクローザー・身長2m5cmのキャメロン・ギブンスが立ちはだかった。
開幕2連戦で2セーブを献上しながらも、攻略に手ごたえありと語ってくれた平間監督の言葉に嘘はなかった。
一死一塁から、マリークがショートへの内野安打を放ったあと、神谷が四球を選び満塁に。平間の四球で1点を奪うも、続く漁野海人がセカンドフライに終わる。二死満塁で打席に立ったのは、今季初めて3番に入った井町。1-3と2点ビハインドの満塁というシチュエーションでは、最も期待できる選手だ。一発で試合を決める力も十分に持っている。昨シーズンも、こういう場面で井町に打席が回ってきた。そしてその度に、何かをやってのけた。持ってる男というのはこういうものだ。
制球に苦しむギブンスの5球目を井町はライト前にはじき返した。マリーク、神谷が生還。フェニックスが土壇場で3-3の同点に追いついた。

昨シーズンまでのフェニックスであれば、サヨナラ勝ちが濃厚なシチュエーションだ。しかし、今シーズン、波に乗り切れないフェニックスにそこまで望むのは少々酷にも感じた。ブルペンでは守護神・谷岡楓太が2イニング目に備えて投球練習を繰り返していた。

一打サヨナラの場面に、サラマンダーズはたまらず投手を新垣にスイッチ。三塁走者の平間監督は、ランナーコーチャーの伊藤諒人とこう話したという。「ヒットで決めるよりはバッテリーエラーで決まっちゃうパターン、結構あるよねって。そうしたら本当にそうなっちゃって。やばい、って思いました(笑)」
直後に、5番・杉森慎太郎への2球目をキャッチャーが後逸(記録はワイルドピッチ)。平間が生還しフェニックスがサヨナラ勝ちを収めた。なかなか勝てずに苦しい日々が続いたが、勝つときはあっさりだ。
今シーズン初のサヨナラ勝ち。勢いがつくと止まらない不死鳥軍団が、復調の兆しを見せた。「今日の勝利で流れがこっちに来ると思います」と監督は言った。明日の試合に勝って勝率を5割に戻したい。
【インタビュー】神谷凱士選手

——今日は初スタメンでした。スタメンを知ったのはいつですか?
昨日の練習中ぐらいから、井町さんに冗談交じりに「スタメンらしいよ」って言われて。そんなことないだろうと思ったんですけど、今日聞いたら本当でした。
——スタメンでの出場はどうでしたか?
最初は緊張したんですけど、2打席目ぐらいから力が抜けてきました。
——監督からはどんな言葉をかけられましたか?
力みすぎず、いつも通りでって言われました。
——結果についてはどのようにとらえていますか?
ヒットは出なかったんですけど、1打席目の当たりは悪くありませんでした。反省するところは反省して、継続するところは継続する、という感じです。
——最終回の攻撃ではチャンスで打席が回ってきました。
めちゃくちゃ緊張しました。ああいう場面で打てるような選手になりたいです。
——今後の意気込みを。
今後はDHではなくても守備にも入って、チームを勝利に導けるように頑張っていくので、応援よろしくお願いします。


