【やっぱりおいしい北九州】 洋食明治堂 （八幡西区）

食を通して北九州市の良さを伝える書籍「おいしい北九州」の著者、東恭子さんが新たに開拓した飲食店を紹介する企画【やっぱりおいしい北九州】。北九州市内の“おいしい”飲食店を素敵な記事と写真で紹介します!!

「明治堂」と聞くと、かつて黒崎井筒屋にあった大正浪漫食堂明治堂を思い浮かべる方もいるだろう。デパートの中にありながら、店名通りのレトロな雰囲気の中で昔ながらの洋食を食べられる店として長年に渡って親しまれていた店である。

メイト黒崎が営業を終了したことにより閉店したが、22年3月に折尾駅から徒歩圏内の現在地に移転。再スタートを切ったのが今回紹介する「洋食明治堂」だ。アイボリーを基調に、ドアや窓枠のグレイがアクセントになった洋館が通りからも目をひく。

「黒崎の店を閉じなければならなかった時は今後どうしようと色々考えましたが、この場所に決まったのもお客様から繋がったご縁。本当に感謝しています」と話すのはオーナーの舩越貴子さん。「お客様の声にお応えしたい一心で」と日々取り組んでいる。

今の店舗での営業を始めて3月で1周年を迎えたが、コロナ禍で大変なことも多かったという。それでも地道に営業を続けてきた結果、今年に入ってからは世の中の空気感が徐々に変化。最近は予想以上に客足が伸びているそうだ。

住宅地でもあり、学生街としても知られる折尾駅周辺なだけあって客層もとても幅広いという。黒崎井筒屋時代からの常連客が3～4割を占めるが、SNSの拡散効果で10代、20代の若い人達がとても増えたという。1000円くらいの価格で食べ応えのある洋食や定食が揃っていることも、学生や若い人が通いやすい理由だろう。

まずおすすめしたいのが1日10食限定のランチメニュー、洋食プレート。ハンバーグにナポリタン、お肉、本日のフライと洋食屋さんで食べたいと思うもの全部乗せのプレートにライスとスープ、更に食後のデザートとドリンクまでセットになった嬉しいメニューだ。

お肉は一口サイズで柔らかく食べやすいステーキで、この日のフライはぷりぷりでエビ本来の美味しさが引き立つエビフライに、程よいなめらかさとカニの風味が効いたクリームコロッケ。どちらもからりと揚がったサクサクの軽い衣で脂っこさを感じない。デミグラスソースのハンバーグは、これだけでもご飯一膳軽く食べてしまえそうである。ちなみにハンバーグには和風おろしやてりマヨなどのランチメニューも揃っている。

食後のデザートにはクリームブリュレとバニラアイス。ドリンクにはアイスティーを合わせたが、いずれもセットデザートやドリンクとは思えないクオリティとボリューム。

黒崎井筒屋の頃から味を変えていないという昔懐かしいナポリタンは、この味を求めて訪れる長年のファンも多いそうで、熱々の石鍋で提供される石焼ナポリタンスペシャルも人気メニューのひとつとのこと。タルタルソースなども含めてすべて手作りという長年のこだわりが、どの料理からも伝わってくる。

「こんなメニューがあれば」という、来店客からの要望を取り入れたInstagram限定メニューも随時提供をしており、ネットだからこそ効く小回りや即時性、影響力の高さを実感していると舩越さんは話す。

昔ながらの洋食や定食メニューに時代に合わせたものをプラスし、変化を加えながら新しいファンも増やしている明治堂。黒崎井筒屋の時代から20年以上が経ち、親子三代で通う人も少なくないのは長い時間の経過の中で愛され続けているからこそだ。

主なメニュー（税込み）

・洋食プレート（ライス・スープ・サラダ・ドリンク・デザート付き）　1680円　※数量限定
・オムライス＆ハンバーグ（サラダ・スープ付き）　980円
・和風おろしハンバーグ＆エビフライ　※ランチ（ライス・スープ・サラダ付き）　1100円
・石焼きナポリタン　900円
・生姜焼き定食（ライス・スープ・サラダ付き）　900円
・ケーキセット　780円
・クリームソーダ　650円
※Instagram限定メニューやテイクアウトメニューあり