九州工業大学の創立110周年記念事業として作られたコワーキングスペース「GYMLABO」。2022年5月のオープン以来、産学官の共創活動の拠点として九工大生を中心に多くの利用者でにぎわっています。
「GYMLABO」は、築50年を超す体育館をリノベーションして作られました。「体育館」を意味する「GYM」に、研究室を意味する「LABO」を組み合わせた施設名は、さまざまな人が集まってアイデアを生み出す場所をイメージして名づけられたそうです。
今回は、「GYMLABO」のスタッフとして利用者をサポートしている、阿部陽帆さんと宮良有紀菜さんにお話を伺ってきました。
ーーおふたりがGYMLABOで働くきっかけを教えてください
宮良さん:今年(2022年)の4月に夫の異動で北九州に転居してきました。
元々はスポーツ系の仕事に携わっていたのですが、初めて住む場所で新しいことをやってみたいなと考えて仕事を探していたところ、GYMLABOの求人を見つけました。求人ページから(GYMLABOを運営する)ATOMicaのホームページにたどり着き、ファーストインプレッションでワクワクして、面白そうな会社だと思って応募しました。
阿部さん:私は福岡市で総務や人事の仕事をしていました。夫の職場が北九州なので、ゆくゆくは私も北九州で働きたいと思っていたんです。一企業の人事ではなく、もっと幅広く学生の就職支援の仕事ができればと考えて仕事を探しているときに、ATOMicaの求人を見つけました。北九州市の移住者支援のホームページに載っていたATOMicaの社員のインタビュー記事を読んで、面白そうな会社だと思い、応募しました。
ーーATOMicaさんのどの辺が一番面白そうだと思いましたか
宮良さん:ATOMicaのホームページを見て、ただ場所を貸してるだけではなく人と人の繋がりをすごく大事にしている会社だということが分かり、心を打たれました。ホームページなどもクリエイティブで、私も新しいスキルが得られるんじゃないかなと感じました。
阿部さん:仕事を通して、社内や社外でもっと多くの人とコミュニケーションを取りたいと考えていたんですが、前の職場ではそれが叶わずにモヤモヤしていたんです。ATOMicaのホームページに「人と人とを繋げるのがお仕事です」といったことが書かれていて、それが職業として成り立ってるんことに衝撃を受けました(笑)。私がやりたいことにも近いので、思い切って飛び込んでみました。
ーー実際に仕事を始めてみてどう感じていますか?
宮良さん:4カ月ほど(取材当時)経ってある程度は慣れましたが、初めてのことだらけなので2人で協力しながら対応しています。慣れたようで慣れてないのかもしれませんね。
阿部さん:お客様からのお願いごとや悩みを聞いて、それを叶えてあげるのがすごく楽しいです。毎日違うことが起こっていて、一日として同じ日はないですね。
ーーオープン以降、大変なことって何かありましたか?
阿部さん:オープン直後が、登録しにきた学生の数が予想をはるかに超えていました。そのときはまだアルバイトも雇っていなかったので、宮良さんとふたりで1日100人以上登録の対応をしていました。
宮良さん:ずっと立ちっぱなしで、同じことを何度も説明した記憶があります(笑)。
阿部さん:この時期は毎日バタバタしていて、体力的にはちょっときつかったのですが、楽しかったですね。
ーー逆に嬉しい出来事とかはありましたか?
阿部さん:学生が学校で頑張ったことなどを報告しに来てくれるんです。先日、院試の勉強にずっとここを使ってくれていた学生が第1目標に合格できたことを報告するためだけに来てくれました。
宮良さん:学生が話しかけてきてくれるようになったことがとても嬉しかったですね。オープン当初は登録の受付ばかりで、学生とのコミュニケーションを取る間もなかったのですが、その後少しずつ話すようになり、信頼関係ができてきたように感じます。
阿部さん:ATOMicaでは「ウィッシュを集める」と呼んでいるんですが、お客様の悩みや相談事を集めて、それを解決する人とつなぐっことをやっているんです。学生からも「こういうのを解決できる人いないですか?」といった相談を受けることが増えましたね。
ーー利用者の割合としてはやはり学生が多いですか?
阿部さん:学生が圧倒的に多く、9割程度を占めています。
宮良さん:ほぼ勉強をしに来ていますね、
阿部さん:開放的な空間で飲食も自由なので、憩いの場として利用している学生も少なくありません。体育館だった場所を活用しているのでスペースはかなり広いんですが、それでもテスト期間中は満員になります。
宮良さん:図書館にも勉強できるスペースがあるようなんですが、そちらは静かにしないといけないルールがあるらしいんです。
GYMLABOはおしゃべりがOKでBGMもかかっているので、かえって集中力が保てるみたいで、GYMLABOの方が勉強しやすいって感想をよく聞きます。
阿部さん:学生が多く利用する期間は、一般の方にご案内できる席が少なくなってしまうのが悩みどころです。
ーー今後、利用者向けのイベントなどを予定されていますか?
宮良さん:今は研究室や学部学科の小さなコミュニティで動いてる学生が多いのですが、GYMLABOでみんながもっと打ち解けて、新しいアイデアなどを生み出せるようなイベントをやっていきたいと考えています。
既に始めているのが、テレビ番組の「アメトーーク!」風に、ある課題に対して高い熱量を持っている学生や一般の方同士であれこれ語り合い、結果として友達作りにつながる「ジムトーーク」というイベントです。
あとは、GYMLABO館内でラジオを始めようとしています。(注:取材後にスタートしました)
学生と私たちとで話す機会は多いんですが、それをもっと他の人にも聞いてほしいなと思って。学生たちがいつも私たちに話してくれる情報を、他の人にも聞いてもらおうという目的です。
イベントを企画する際、私たちだけの力でどうにもならないことは九工大の職員さんが優しくサポートしてくれるので、とても助かっています。