北九州市には、ぜひとも行ってほしいこだわりのお店、個性的なお店がたくさんあります。
一緒に行く人がいない、となるとなかなか行くタイミングもむずかしいものですが、ひとりで行ってこそ、ゆっくりとその雰囲気を味わい、お店の良さを堪能することができるはずです。
“初めてのお店に一人で入る”というハードルを飛び越えてでも、「行ってよかった!」と思ってもらえるような、そんなお店をご紹介していきたいと思います。
【そらあるき】
最初の一歩
南小倉駅からは徒歩15分ほど、バスだと『金田陸橋西』から徒歩2分。東筑紫短期大学の向かいの細い路地を入ったところに、【そらあるき】はあります。
ややわかりにくい場所ではありますが、その隠れ家感がよりそらあるきの魅力を引き立たせていると言っても過言ではありません。
路地を入ると見えてくる外観は、観葉植物で囲まれていたりベランダのようなところに席があったりと、隠れ家と言うより秘密基地のような雰囲気で入る前からわくわくします。
行ったことがない方は、この外観を見て「中はどうなっているんだろう…?」と興味を掻き立てられたのではないでしょうか。
さっそく入ってみましょう!
秘密基地感満載のドキドキする店内
店内はとても広く、テーブル席がいくつかあるのですがそのどれもがゆとりを持って配置されているので、ゆっくりと過ごすことができます。壁際にはカウンター席も。
店内にはアンティーク品や雑貨、アート作品や水槽まであり、隅々まで眺めたくなります。
インテリアだけでなく、隅々まで見たくなるのはその内装も。
入口入って右手にはギャラリースペースと、サンルームのような小部屋があります。そして2階も広々としており、団体さんでも良さそうな大きなテーブルも。
さらに2階には、ベランダが!こちらはまさに秘密基地のような雰囲気で、非日常を味わえること間違いなし。
お話を伺うと、内装はすべてオーナー・松村さんの手作り!なんと雑貨も手作り、飾られている絵もオーナーさんが描かれたものなんだそう。そして店内の物はほぼほぼ売り物というから驚きです。
他のお店にはない唯一無二の雰囲気を持つそらあるき、どうやって誕生したのか、聞いてみました。
人が集まる場所をつくりたかった
松村さんはそらあるきの隣にある【そらのワイン屋】をそらあるきよりも先にオープンしていました。カフェがやりたい、というわけではなかったそうですが、そらのワイン屋を開いて1年ほどして今のそらあるきの場所がたまたま空き、人が集まる場所をつくりたい、と考えた松村さん。そのためには飲食店かな、という理由でカフェとして改築を始めました。
もともとは倉庫のような場所で、建物自体はあったそうですが、床も壁も自分たちでつくったのだそう。当初はメンバーが四人いましたが、みな建築や内装の知識があるわけではありません。それでも、人が歩けるような状態ではなかった2階を補強したり、天井を張ったり。
「経験もないのにそんなことできますか?」と思わず私は聞いてしまったのですが、松村さんは「やればできる。やるかやらないか、それだけ」と一言。かっこいい!
さて、そんな風に自分たちでつくり上げたそらあるきは2008年にオープン。
お昼から夜遅くまで開いているとあって、ランチからお茶、夜ごはんに夜カフェとしての利用もでき、今も長く愛される老舗のカフェになったのです。
料理もスイーツもお酒も!豊富なメニュー
そらあるき、お店の雰囲気も素敵なのですが、料理が美味しい!と評判です。
お食事メニューは人気の定食やオムライス、カレー、パスタなど。カレーやパスタだけでも種類が豊富で、目移りする人も多いのでは。
私はこの日スイーツの焼き芋のタルトをいただいたのですが、ほっくりとしたサツマイモがぎっしりと詰まっていて、芋好きにはたまらない美味しさでした。スイーツはセットでお得にもなります。
メニューは他にも多種多様なドリンクやお酒、おつまみに最適な単品料理も。そんな中でもアルコールメニューは特におすすめ。
なぜかというと、実は松村さんは過去に長くバーをやっていたバーテンダーでもあるから!
バーというと、大人っぽい雰囲気で慣れていないと扉を開けるのも勇気がいる、という人もいるかと思いますが、そらあるきなら夜ご飯を食べた後にそのままバー利用したり、店内も広いので複数人で行っても気兼ねがいらない、という利点もあります。
そらあるきは気軽に行けるバーとしてもおすすめです。
そらあるきは借りることもできます!
先ほどギャラリースペースがあるとご紹介しましたが、そらあるきは作品展示などのレンタルはもちろん、2階を使って音楽ライブや演劇など、様々なイベントをすることも可能です。
去年は古着やアクセサリーの販売、占いなど、そらあるきを丸ごと使ったイベントも開催されたそう。
イベントを持ち込みでやってくれる人を大募集しているそうなので、個性的なそらあるきの空間を利用してご自身を表現してみてはいかがでしょうか?
音楽や演劇などオールジャンルOKで、もちろん販売もできるそうですよ。
オーナーの野望とは?
自分でお店をつくるだけでなく、テーブルもつくるし、飾ってある絵も描いているし、雑貨もつくっている。
そんな松村さんがこれから何を企んでいるか、気になりすぎて聞いてみました。
松村さん曰く、「絵が描きたい、雑貨がつくりたい、料理がしたい、とかではなく、要はこの空間自体をつくりたい」。
できれば、そらあるきのような空間をこれからもいっぱいつくっていきたいのだそう。
そして、「今は美術館がつくりたい」と松村さん。び、美術館!?
松村さんは石川県のご出身で、店名の【そらあるき】も金沢の方言なのだそうですが、北九州市に移り住んで30年、慣れない土地で色々あったけれど、今は北九州市のまちに合う美術館がつくりたいと考えています。
松村さんはよそ者だからこそ、北九州市の良さが活かされていないと感じているそう。
北九州市らしい建物も残っているのに、うまく活用されていない。世界遺産になるほどの鉄のまちなのに、市民にとっては当たり前の景色になってしまっている。
だからこそ、鉄工所跡のようなところを探して鉄骨をそのまま生かせるような美術館がつくれたら。
まちおこしの一環として、観光スポットになるくらいのものをつくりたい!と語ってくださいました。
つい長居してしまうそらあるき
目に映るものすべてが興味深いし、内装も秘密基地みたいで気になるし、店内にはかわいらしい猫ちゃんもいたりして、一度入ってしまうといつまででも居れてしまう、帰りがたい居心地の良さがある、そらあるき。
松村さんとしても、「長居してほしい、すぐ帰ってしまうと不安になる」とのことですので(笑)、ゆっくり過ごすつもりで行ってみては。現在は基本的には松村さんお一人で切り盛りされていることもあり、ぜひ時間に余裕を持ってお出かけください。
そらあるきは「特別な空間というよりも、日常からちょっと一歩横に出たくらいの場所」と松村さん。「これからも常に面白いなと思ってもらえるような空間にしたい」とのことですので、今後もどんな空間に変化していくのか、とても楽しみです。
詳細情報
北九州市小倉北区清水1丁目14−16
営業時間/12:00~23:00
定休日/不定休
※臨時休業などの情報はInstagramをご確認ください
これからも一人でも初めてでも行く価値のある、そんなお店をご紹介していきますので、お楽しみに!
協力:門司港ゲストハウスポルト