119作品の頂点が決定。初開催「商店街PR動画コンテスト」最終審査会・表彰式レポート【北九州市】

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北九州芸術劇場 中劇場のスクリーンに流れる、北九州市内の商店街の魅力がたっぷりと詰まった1分間の動画の数々から目が離せませんでした。

商店街には、店主の高齢化や後継者不足、大型商業施設やECサイトとの競争、若い世代で「商店街に行く」という習慣が薄れつつあることなど、さまざまな課題があります。

そんな中で開催されたのが、「北九州市商店街PR動画コンテスト」です。

2月11日(水・祝)、J:COM北九州芸術劇場 中劇場で最終審査会・表彰式が行われました。北九州市が初めて実施したこの取り組みに寄せられた応募作品は119点。「北九州市の商店街に行ってみたくなる動画」というテーマのもと、市民やクリエイターたちが自らの視点で切り撮った商店街の姿が、次々とスクリーンに映し出されていきました。

このコンテストは、動画を通じて商店街の魅力を広く発信し、新たな来街者の獲得につなげることを目的に、北九州市が企画したものです。

募集されたのは、北九州市内の商店街をメインテーマとした60秒以内の動画です。審査基準は「テーマ性」「インパクト」「独創性」「構成力」「的確性」の5項目で、商店街の魅力をどれだけ捉えているかが問われます。

昨年11月4日から12月25日までの応募期間に集まった作品は、専用サイトでのWeb投票と審査員推薦による一次審査を経て、上位20作品に絞られました。当初は10作品を選出する予定でしたが、応募作品の質が高かったため、Web投票上位10作品と審査員推薦10作品の計20作品が最終審査に進みました。

最終審査会では、7名の審査員による採点や来場者による人気投票のによって、各賞を決定しました。審査員には、西日本工業大学デザイン学部の宝珠山徹准教授(審査委員長)、SNSクリエイティブディレクターの日吉友珠さん、北九州市商業総連合会の小松良明会長、西日本新聞社の甲木正子さん、映像プロデューサーの平田武志さん、株式会社三角形代表取締役の福岡佐知子さん、そしてシンガーソングライターの池端克章さんが名を連ねました。

審査委員長の宝珠山徹さん

審査委員長の宝珠山徹氏は、結果発表に先立つ総評でこう語りました。

「北九州の商店街に注ぐ皆さんの多くの視線、そしてその温かい気持ちが、ここに119点の作品となって集結しました。このこと自体が非常に我々にとって財産であり、宝です」

119という数字は、単なる応募数ではありません。119人の視点が、北九州の商店街に向けられたということ。その事実そのものに価値がある、という言葉でした。


五市合併という歴史を持つ北九州市では、商店街も多いだろうとは思っていましたが、全部で91ヶ所という数字は想像をはるかに超えていました。

とはいえ、高齢化の進む北九州市。実際、「シャッター商店街」に見えるところも少なくありません。一方で、商店街は「まちづくり」の舞台にもなります。

課題と可能性の両方を抱えた北九州の商店街に、119人がカメラを向けました。そんな119作品の中から、頂点に立った作品が発表されました。

最優秀賞に輝いたのは、永遠に0Studioさんの『聞こえる宝』でした。

宝珠山審査委員長は選評で、「商店街の1日の流れをクリアな視点で捉え、音に注目して表現した点が高く評価された」と述べました。永遠に0Studioさんは「今日はこのような賞をいただきありがとうございます。今回は栄町商店街を撮影しましたが、皆さんの動画を見て、行ってみたいなという商店街がたくさんありました」とコメントしました。

最優秀賞の永遠に0Studioさん

優秀賞には、門司港いんすたさんの『路地裏っぽい昭和レトロな門司中央市場』と、マコトーンさんの『My hood street N’9』の2作品が選ばれました。登壇した、門司港いんすたさんの出演者は「これからも門司港の商店街を盛り上げていきたいのでぜひ来てください」とコメント。マコトーンさんは「グルメのYouTube動画を配信しているので、今後もいろんな商店街を巡って、たくさんのいい動画を作っていきたい」と意気込みを語りました。

来場者の投票で決まるオーディエンス賞は、山本早月さんの『門司のつながりフェスで見つけた魅力』が受賞。山本さんは受賞の喜びとともに「でも(最優秀賞賞金の)20万円が欲しかった」と笑いを誘い、会場を沸かせました。

審査員特別賞には、宇留嶋遼翔さんの『ーうおまちさんぽー』が選ばれました。宇留嶋さんは「こんな素敵な賞をいただいて本当に嬉しいです」と喜びを語りました。

最優秀賞・永遠に0Studioさんインタビュー

永遠に0Studioさん

表彰式の後、最優秀賞を受賞した「永遠に0Studio」さんにお話を伺いました。

――受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

自分の作品がここまで残っているとも、こういう賞をいただけるとも思っていませんでした。他の人の作品を見て、とても勉強になることが多かったです。そういう作品の中で選んでいただけたことを非常に嬉しく思っています」

――今回の作品のアイデアはどこから生まれたのですか。

「知り合いから、このコンテストがあるので商店街を撮ってくれないかという話をいただいたのがきっかけです。他の作品とどう違いを出していこうか、というのをまず着眼点として考えました。商店街に「行く」ことではなく、「買って楽しい」をゴールにしたいと考え、そのときに聞こえてくる音をBGMで消すのはもったいないと感じたんです。それで今回、BGMを使わずに、実際の現場のリアルな音をメインにしました」

――撮影で印象的だったことは。

「商店街の方が本当に協力的でした。特に写真館では実際に店内に入って、昔のフィルムとレンズだけのカメラについて説明を受けるなど、僕自身もとても楽しく撮影させてもらいました」

――今後の活動について教えてください。

「今回こうして評価をいただいたことで、これからは主体的に発信できるような活動もやっていきたいなと思っています」


「商店街の魅力は『人』である」という言葉をよく耳にします。『聞こえる宝』は、BGMを消してまで拾い上げた「音」を通して、大型商業施設やECにはない商店街の「体温」がしっかりと伝わる作品でした。

最終審査に進んだ20作品は、門司中央市場や魚町銀天街、若松区商店街、戸畑中本町商店街、祇園町商店街、旦過市場、八幡中央区商店街、萩原・青山商店街、柳町商店会など、北九州市内の幅広いエリアの商店街を題材としたものでした。「熊手はこれから熱くなる」「高校生の寄り道」「女子大生がおすすめする小倉朝活」など、タイトルだけでも作り手一人ひとりの視点の多彩さが伝わってきます。

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♬ Let’s Go! – FASSounds

このコンテストの先にある話として、商店街に限らず、市民一人ひとりが自分の視点で街の魅力を発信するようになれば、北九州市の魅力は「点」ではなく「面」で伝わるようになります。行政によるPRではなく、個人の発信が重なることで、多極都市・北九州の本当の姿が浮かび上がる。コンテストが終わった後の「発信の日常化」こそが、このイベントの真の意義ではないかと考えます。

初開催となった「商店街PR動画コンテスト」。119の視点で切り撮られた商店街の姿は、専用サイト(https://kitaq-shotengai.com/)で視聴できます。そしてもし、あなた自身が「ここ、いいな」と思う場所を見つけたら、ぜひその魅力を発信してみてください。

最終審査結果

最優秀賞(賞金20万円) 『聞こえる宝』(永遠に0Studio)

優秀賞(賞金5万円) 『路地裏っぽい昭和レトロな門司中央市場』(門司港いんすた) 『My hood street N’9』(マコトーン)

オーディエンス賞(小倉牛1万円分) 『門司のつながりフェスで見つけた魅力』(山本早月)

審査員特別賞(北九州の特産品等1万円分) 『ーうおまちさんぽー』(宇留嶋遼翔)

◆商店街PR動画コンテスト専用サイト https://kitaq-shotengai.com/