北九州の「街の歴史」はさまざまなところに記されています。その中に私たちの身の回りの個人的なことは記載されていません。しかし、当時を生きた人たちは確かにその場所に身を置き、暮らしていました。それら「個人の歴史」が集まると、それもひとつの「街の歴史」となります。
北九州芸術劇場では、いつかは消え去ってしまう“個人の記憶”を紡ぐために、平成24年度(2012年度)から地域で活動する若手劇作家とともに高齢者の方々へのインタビューを行い、演劇作品「Re:北九州の記憶」として上演してきました。今回11回目を迎えます。
今回のタイトルは「君といつまでも~Re:北九州の記憶~」。これまで本公演に携わってこられた南河内万歳一座の内藤裕敬さんが、今回も脚本・構成・演出を担当します。内藤さんは2003年の北九州芸術劇場こけら落とし公演も手掛けており、北九州とは非常に縁の深い劇作家です。
今回の「君といつまでも~Re:北九州の記憶~」はこれまでに上演された89作の戯曲をモチーフに、内藤さんが興味深い要素をピックアップし1本の作品としてまとめたとのことです。
内藤さんは「Re:北九州の記憶」のオファーを受けたときの気持ちをこう振り返りました。
「公共ホールが行う自主事業の演劇作品としては地域とのかかわりを含めパーフェクトな企画だと感じました。ただ、映像ではなく演劇なので、高齢者の方から聞いたお話を元に、劇作家が自分のフィルターを通してアレンジを加えオリジナルの作品に仕上げるということがとても大事な要素だと気づきました。実現するためには北九州の劇作家のポテンシャルなど未知数な部分も多く、やってみなければ分からない、実現できたらすごいなと思ったのが一番はじめの感想です」
また、今回作家として参加する穴迫信一さん(ブルーエゴナク)は「今回は過去の戯曲をベースにした話が出てきます。『Re:北九州の記憶』は、上演することで鑑賞した高齢者の方から別の話の手掛かりが掘り起こされることもあるので、再演すること自体に価値があると考えています」と話しました。
今回は、「Re:北九州の記憶」10年間の集大成として5年ぶりの本公演を実施。3月には東京での公演も行われます。
北九州の街で暮らす高齢者の「個人の歴史」を紡いだ「Re:北九州の記憶」。ぜひ足をお運びください。
北九州芸術劇場+市民共同創作劇「君といつまでも~Re:北九州の記憶~」
北九州芸術劇場 小劇場
2023年2月23日(木)〜26日(日)
23日(木)14:00開演
24日(金)14:30開演◎
25日(土)14:00開演
25日(土)18:00開演★
26日(日)14:00開演
※開場時間は決定次第お知らせします。
東京芸術劇場 シアターイースト
2023年3月3日(金)〜5日(日)
3日(金)19:00開演
4日(土)14:00開演★
5日(日)14:00開演
◎=学校鑑賞あり ★=アフタートークあり
日時指定・全席自由
一般
3,000円
U24・シニア(65歳以上)
2,500円(要身分証提示)
高校生以下
1,000円(要身分証提示)
脚本・構成・演出
内藤裕敬(南河内万歳一座)
作
穴迫信一(ブルーエゴナク)、鵜飼秋子(さかな公団)、大迫旭洋(不思議少年)、坂井彩(じあまり。)、塩津順子、寺田剛史(block)、藤本瑞樹(二番目の庭)、守田慎之介(演劇関係いすと校舎)、山口大器(劇団言魂)、脇内圭介(飛ぶ劇場)、渡辺明男(バカボンド座)
出演
青野大輔(非・売れ線系ビーナス、音漏れとチラリズム)、有門正太郎(有門正太郎プレゼンツ)、内山ナオミ(飛ぶ劇場)、高野由紀子(演劇関係いすと校舎、KAKUTA)、高山実花、寺田剛史(飛ぶ劇場)、平嶋恵璃香(ブルーエゴナク)、宮村耳々、山口大器(劇団言魂)/荒谷清水(南河内万歳一座)