–北九州フィルム・コミッションさんとのご縁をお聞かせください
田中さん「ご一緒したのは、2021年の『北九州国際映画祭』のポスター用の撮影が初めてでした。お付き合いのある広告代理店さんが、うちが人物写真も撮れることを知ってくださっていて、『高倉健さんみたいな感じでエキストラのみなさんの写真を撮ってくれませんか?』というリクエストをいただきました。
試しに社内で撮影してみたのですが、全員を高倉健さん風に撮るのはちょっと難しい感じがしたので、モノクロでその人の個性を活かした感じで撮りましょう、と提案しました。
宗さん「撮影のとき、カメラを向けると、みなさん役者さんのようにコロっと変わるんです。プロだなと思いました」
田中さん「撮影をしながら、みなさん演じることが本当に好きな方たちなんだなって思いました。みなさんすごく個性的で面白かったです」
宗さん「(写真を見ながら)この方を撮るときは「的場浩司でいきましょうか」みたいな話をしたんですが、そうすると、こういう(的場浩司風の)目つきをしてくれるんです」
田中さん「撮影のときに、宗がエキストラの方にたくさん言葉をかけているんですよ。被写体の方を上手にリラックスさせていました」
宗さん「実は撮影のときのことをぜんぜん覚えていないんです(笑)」
田中さん「あと、勝山タクシーさんの『北九州市内ロケ地めぐり!映画観光タクシー』という企画で、映像とスチール写真を撮影しました。普段は室内での撮影などが多いので、いつもの仕事よりもワクワクしながら仕事させていただきました。この度の経験がうちの事務所に新しい風を運んでくれました。北九州フィルム・コミッションの方々に本当に感謝しています」
–おふたりが現在の仕事に就いたきっかけをお聞かせください
宗さん「小学校の頃プロレスが好きで、プロレス雑誌の写真をよく見ていました。『カメラを覚えたら仕事でプロレスを見られるんじゃないか」と思い、写真の専門学校に進学したんです。
でもその学校は、そういうスポーツカメラマンを育成する学校ではなく、写真作家さんを育てるような学校だったんです。ちょっと違うな、と思ったんですが、親に高いお金を出してもらって入学したので、そのまま通学しました。学校では、モノクロで撮って、現像まで全部自分でやっていました。
当時は人物写真を撮るのが好きだったので、将来はそっちの道に進むんだろうなとぼんやり思っていたのですが、担任の先生に勧められた印刷会社にカメラマンとして就職しました。印刷会社のカメラマンの仕事は、まさに今やっているような広告用の撮影がメインです。そのときは全く勝手が分からずに、怒られながら仕事をしていたんですが、何年かやっていくうちに広告の写真にハマってしまい、現在に至っています。学校を卒業してからもう広告1本で、もう25年くらいやっている計算になりますね。
元々モノクロ写真を撮っていたのと、学生時代に人物写真の撮影をしていたので、『北九州国際映画祭』のポスター用撮影はすごくテンションが上がりました。とても楽しかったです。
田中さん「私は小さなころからデザイナー(絵を描く仕事)になりたくて、学校の卒業文集にも『デザイナーになりたい』と書くほどでした。
小1から小6まで水彩画、中1から中3まで油絵をやっていました。将来は美術系の学校に行こうと思っていて、夢が叶って今があります」