【やっぱりおいしい北九州】 ごはん屋TAMANOYA（小倉北区）

食を通して北九州市の良さを伝える書籍「おいしい北九州」の著者、東恭子さんが新たに開拓した飲食店を紹介する企画【やっぱりおいしい北九州】。北九州市内の“おいしい”飲食店を素敵な記事と写真で紹介します!!

北九州市で市場といえばまず名前があがるのは旦過市場だろう。だが北九州市には規模は違えどまだまだ頑張っている市場が他にもある。小倉北区の黄金市場もそのひとつ。今回紹介するのは黄金市場のそばにあるごはん屋TAMANOYA（たまのや）。オープンは2021年10月。昼は定食屋として、夜はお酒も食事も楽しめる店だ。

元々板前をしていた店主の金嶽健太郎さん。長年飲食に関わったのち、県外から地元の北九州に戻ってくる際にそれまで抱いていた「北九州の市場を盛り上げるために何かしたい」という思いを実現するべく、自ら飲食店を開業することに。

当初は夜の居酒屋営業をメインにしていたが、たまのやが営業を始めた当時はまだコロナによる制限の影響を受けていた時期。夜の飲食だけでは厳しい状況を乗り切るため、昼の定食屋営業を始めたことから現在の営業形態に落ち着いたそうだ。

たまのやのメニューにはポイントになる二つの「タレ」が存在する。ひとつは天丼のタレ。濃厚で甘みのある関東風のタレのファンが多く、このタレの味を求めて天丼を食べに通う客も多いそうだ。イチオシメニューのタルタルチキンにも同じ天丼のタレを使用。これが「チキン南蛮」ではなく「タルタルチキン」な理由だ。さくっとしたとり天の衣に濃厚なタレが絡み、たっぷりとかかったタルタルソースの酸味も丁度いいバランスで七味のアクセントが効いている。タレかつ定食にも天丼のタレが使われていて、天丼のタレ推しにはこちらも人気だ。

もうひとつの「タレ」はごまダレ。鮮魚のゴマだれ定食に使われている特製ごまダレは、ごまだけでなくカシューナッツやクルミといったナッツ類も使用されており、独特のコクと旨味がある。このゴマだれと刻みねぎでいただく新鮮な刺身は間違いなくご飯に合う。

特製ごまダレは持ち帰り用に販売もされているので、自宅でお好きな刺身にかけてもいいし、冷奴や冷しゃぶの他、肉にも野菜にも合うので色々と試してみるのもいい。ちょっとした手土産用に買い求める人もいるそうだ。ごまダレ活用法は店のInstagramでも紹介されている。

また、定食についている豚汁には色んな野菜がゴロゴロと入っており、食べ応えに満足するだけでなく、栄養のバランスもとれるのが更によい。

昼は定食屋、夜は食事をしながらお酒も楽しめる店として幅広い層の人達が利用するたまのや。黄金市場周辺は古くからの戸建て住宅や新しいマンションが混在するという地域性も反映されているようだ。単身赴任中の客同士がたまのやで意気投合し、新しいコミュニティが生まれたりもしているらしい。

カフェ風の内装や雰囲気で女性も利用しやすいということもあり、夜もひとりで利用する女性客も珍しくないそうだ。ビールや日本酒、ハイボールなど各種アルコール類が揃う中で、特に焼酎はプラス30円でソーダ割にも出来るのでおすすめとのこと。

北九州に戻り店を始めてからは同級生たちと会う機会も増え、様々な分野でまちを盛り上げようと活動している姿に刺激を受けているという金嶽さん。今後は様々なマルシェに積極的に出店し、色々な地域や人と繋がりを増やしていきたいという。黄金町の店舗だけでなく、みなさんの住むまちや身近な場所でもたまのやと出会える機会が増えていきそうだ。