北九州芸術劇場で「子どもの劇場体験2022~職場体験編~」

2022年12月24日(土)から12月28日(水)の5日間、北九州芸術劇場で「子どもの劇場体験2022~職場体験編~」が開催されました。

「子どもの劇場体験」は小学4年生~6年生を対象に2014年夏にスタート。年に1回夏休みに実施されていましたが、コロナ禍により2019年の開催が最後となっていました。

このたび、開催時期を夏から冬に移行して3年半ぶりの実施となりました。

10回目の開催となる今回は、4年生:4名、5年生:6名、6年生:8名の計18名が参加。「職場体験編」として、舞台裏で働く技術スタッフ(舞台・照明・音響)それぞれの役割にフォーカスし、実際の機材などを使用して仕事内容を体験しました。

学年や学校が異なる、初めて出会う仲間との5日間のプログラムとなっているため、スタッフや子どもたちは、“バビロン”、“あさみん”、“さわわ”など「みんなから呼ばれたい名前」を呼び合うことでスムーズなコミュニケーションを図っていました。

普段は入ることのない舞台の裏側へ

ここからは26日(3日目)の「照明仕込み」の様子を紹介します。
2つのグループに分かれ、コーディネーターを務める劇団「有門正太郎プレゼンツ」主宰の有門正太郎さんや北九州芸術劇場のスタッフの指導を受けながら照明の仕事を体験しました。

照明を取りつけています!
青い光を出すには……
ケーブルの整理も重要です

最終日にはゲネプロ(最終の通し稽古)と発表会が行われました。

発表会は「小学校の学習発表会」という設定で行われました。保護者や劇場スタッフが見守る中、18名の参加者が歌やダンス、短い芝居を見せながら舞台・照明・音響それぞれの学びの成果を披露しました。

カウントダウン!箱から何が出てきたのでしょうか
すっかりプロっぽいしぐさでした
劇場スタッフが見守る中「子どもの劇場体験」はエンディングを迎えました

5日間の「子どもの劇場体験」を終えた参加者にお話しをうかがいました。

のん<5年生女子>
のん<5年生女子>

以前、舞台の写真などを見て、舞台を作ったりすることが楽しそうだなと思い「劇場体験」に応募しました。チームで協力して大きな看板などを作ることができてよかったです。今まで音響・舞台・照明は全部機械などで連動しているのかなと思っていましたが、いろんな人が協力してつくっていることを知りました。

あさみん<4年生女子>
あさみん<4年生女子>

はじめは友だちもいないので話すのが恥ずかしくて、質問されても首を横に振るだけでした。みんなの前で歌を歌うことができたのは、音響さんや照明さん、舞台さんのサポートのおかげです。照明オペレーターをやってみて照明さんの難しさと面白さを知ることができました。

くら<6年生男子>
くら<6年生男子>

「劇場体験」に参加しようとした理由は、主役を支える仕事をしたかったからです。初日は緊張してそんなに話せなかったけど、最終的にはみんなとたくさん話したり、協力したりして仲を深めることができました。僕は照明チームでしたが、舞台さんや音響さんと協力してとてもいいものを作り上げることができました。

あっくん<6年生男子>
あっくん<6年生男子>

いろいろな舞台を観に行っていて、裏方のお仕事にも興味があったので「劇場体験」に応募しました。以前、姉も参加していたので自分も行ってみたいと思っていました。はじめは友だちも少なかったけど、だんだんみんなと仲良くなりました。音響チームでは、話し合いのときに言い合いになってしまい、意見がまとまらず機材を触る時間が短くなってしまうこともありました。でもみんなが一生懸命になった結果、自分の意見を言ったり聞いたりしていていたのでチームワークって本当に大切なんだなと思いました。照明チームも舞台チームも協力してくれたので裏方の仕事は三位一体だなと思いました。

バビロン<6年生男子>
バビロン<6年生男子>

僕は将来バンド活動がしたいので、音響を学べば今後のヒントになるのではないかと思って応募しました。劇場の音響スタッフのお二人がすごくカッコ良くて、自分が音楽の道に進んだときにはこういう人たちに音響の操作を任せたいなと思うようになりました。この5日間でたくさんのことを得ることができ、これまでの12年の間でものすごく良い経験でした。またどこかで出会えたら恩返ししたいと思っています。本当に楽しかったです。ありがとうございました。

「子どもの劇場体験」を終え、北九州芸術劇場のスタッフの挨拶も紹介します。

がっちゃん<舞台担当者/緒方さん>
がっちゃん<舞台担当者/緒方さん>

今までこの「子どもの劇場体験」を何度も実施しているんですが、内容は毎回違っているので、今回の子どもの劇場体験ができたのはこのみんなだけです。みんなに聞いてもらった舞台・音響・照明の講座は、何度もリハーサルや仕込みを行い、練習を重ね、準備から頑張ってきました。みんなの様子を見て、伝えたかったことがちゃんと伝えられたと感じました。

みんなが感じたように、劇場では1つの作品をつくるのにさまざまな人が協力をして、息を合わせて作っています。劇場だけでなく、世の中の色々な仕事はそうやって協力してつくっているので、それを忘れないでほしいです。劇場はこの「子どもの劇場体験」だけでなく色々な舞台作品を作っているのでまた遊びに来てください。今回みんなに出会って劇場体験に一緒に参加できて本当に良かったです。

さわわ<照明担当者/田中さん>
さわわ<照明担当者/田中さん>

本番のときはお互い「次はこれじゃない?」と声をかけあうなど、とても楽しそうにしている姿を見て嬉しく思いました。みんなと一緒にこの劇場体験ができて良かったです。最初はみんな緊張している様子でしたが、日に日に積極的に取り組むようになりよかったです。

やなぴー<音響担当者/柳川さん>
やなぴー<音響担当者/柳川さん>

最初はみんなと話せる子と恥ずかしくて話せない子、さまざまでしたが、5日間を通して全員が全員と話せるようになってとても良かったと思います。音響チームでは実際に機材を触る時間がなかなか取れなかったのですが、みんな短時間ですごく上達して、本番ではスタッフの助けなしで成功できたのですごく感動しました。チーム内だけでなく、照明さんや舞台さんとも連携を取りあったりするのを見てすごいなと思いました。この劇場体験にみんなと一緒に参加できてすごく楽しかったです。

取材後記

26日(月)と28日(水)の2日間、取材にうかがいました。参加した小学生たちが、初めての体験にも好奇心を持って取り組む姿が印象的でした。大人に囲まれても物おじせず、より面白い作品にするために本番当日までアイデアを出し合う光景を見て、ただ体験するだけでなくこの機会をしっかりと楽しもうと考えているのだと思いました。

小劇場の(物理的な)裏側を見ることもでき、個人的にも印象に残る取材となりました。