北九州を拠点に活躍を続ける演劇ユニット・大体2mmが10周年記念公演「水曜日の男」を上演

2022年5月28日（土）、29日（日）の2日間、北九州芸術劇場小劇場にて、北九州を拠点に活躍を続ける演劇ユニット・「大体2mm」が10周年記念公演『⽔曜⽇の男』を上演します。

2012年に発足した「大体2mm」は約2年に1回のペースで本公演を開催。
結成10周年にして、今回が北九州芸術劇場に初登場となります。
今回上演する『⽔曜⽇の男』は、2021年8月末に上演を予定するも、新型コロナウイルス感染症拡⼤を受け中⽌となった作品です。

『⽔曜⽇の男』は、寂れた公園に集まる6⼈の男⼥の会話劇で、公園を通りがかっただけの男が「⽔曜⽇の男」「居酒屋の店員」「⼟⽤の丑」などのさまざまなコードネームのようなもので呼ばれる、⼀種の不条理劇です。不条理なやりとりを通して、⾃⾝の⾃覚とは別に、社会からさまざまな役割を与えられるさまを描いています。今回の上演にあたって、この物語にもうひとつ、もはや新型コロナと切り離せない現代社会において演劇の上演を⾏う自分たちを隠喩的に重ね合わせた新演出に取り組みたいと考えているそうです。

10周年を迎えるにあたり、代表の藤原達郎さんは次のようにコメントをしています。

　１０周年です。「１０年経ったな」ということ以外、特に思う所はないのですが、時の流れは感じます。うちの⼦は中学⽣になりました。
　太⽥カツキという⼈物がいまして、彼は北九州市の劇団「⾶ぶ劇場」の劇団員なのですが、仕事が忙しくてほとんど演劇活動をしていません。そして約束をしても寝坊する。約束⾃体を忘れている。電話に出ない（出ろよ）。バイクを買ったら事故る。病院に⾏かない（⾏けよ）。と、⾝近にいたら⾯倒なタイプの⼈間であることに違いないのですが、私は彼から創作の刺激を得ることが多く、今作「⽔曜⽇の男」も、彼をモチーフとしてできた作品です。ちなみに太⽥カツキは出演しません。仕事が忙しいので。

　作品が⾯⽩くなるための労⼒は惜しみませんが、昨今の状況では⾯⽩がること⾃体がままならず、２年連続で公演を中⽌しました。今年こそは、と、再度動き始めた次第です。そういう意味で、１０年という節⽬は、少なくとも前を向く推進⼒にはなってくれています。どうぞよろしくお願いします。

「水曜日の男」あらすじ

　寂れた公園で、⾚い傘を持った⼥がベンチに座っている。⼥は「⽔曜⽇の男」に、「写真」を頼んでいたらしい。そこを、奇抜な格好をした男が通りがかる。男は⼥に、あなたが「⽔曜⽇の男」なのではないかと⾔われる。
　公園には「居酒屋の店員」を探す男、「⼟⽤の丑」を探す男、さらには「婚約者」を名乗る⼥などが次々とやってきて、みな、その奇抜な格好の男こそが、⾃分が探し求めていた⼈間なのではないかと⾔う。
　混乱する男の前に、さらに警察とおぼしき男も現れ、事態は急展開していく……。

大体2mm　団体概要

　脚本の藤原達郎、舞台監督の飯野智⼦、演出の藤本瑞樹からなる演劇ユニット。
　2012年設⽴。北九州を拠点に、2年に1回程度のペースで本公演をおこなっている。
　2013 年7 ⽉に『ゆかいな夜』、2015 年2 ⽉にリーディング公演『悪い天気』、2016 年9 ⽉に『退屈という名の電⾞の駅のホーム』、2018年9⽉に『荷物はどこから来たのか中⾝は何かあとどこへ置くのか』を上演。静かで淡々とした⽇常において、ボタンの掛け違いから⽣まれるやりとりを起点に、不条理な世界へとコミカルに展開される過程を丁寧に描く。
　『悪い天気』は2014年北海道戯曲賞⼤賞を受賞、2016年1⽉に⼤賞受賞公演として、かでる2.7（北海道⽴道⺠活動センター）で上演された。また、藤原は外部団体への短編作品提供、Webサイトでの⼩説連載など、精⼒的に執筆活動をおこなっている。