【#北九州下関フェニックス】執念の逆転サヨナラ勝ちで2位に6ゲーム差(2024年8月10日)

野球に「流れ」はない、などと言われるが、本当にそうだろうか。少なくともこの試合に限っては、中村道大郎ヘッドコーチのプレーが試合の流れを大きく左右した。

◎【北九州下関フェニックス 6x-5 宮崎サンシャインズ(2024年8月10日) 北九州市民球場】

リーグ戦も約3分の2を終え、首位を快走するフェニックス。しかし、松本直晃監督以下コーチ、選手は誰も浮かれていない。それもそのはず、昨年、一昨年と一時は首位に立ちながらも最終的には火の国サラマンダーズの後塵を拝している。勝負は下駄を履くまで分からない。

フェニックスの先発は西垣彰太。先発に復帰し現在4連勝中と完全に復調。7月27日のホークス四軍戦の「マダックス」も記憶に新しい。

先発の西垣彰太

しかし今日はボールが甘めに入り、宮崎サンシャインズ打線に先制を許した。初回に3連打などで2点を失うと3回と6回に1点ずつ与え、6イニングを投げ被安打11、4失点という投球内容だった。

打線もエンジンがかかるまでに時間を要した。3回に平間隼人の内野安打で1点を返したが、4回、5回と得点に走者を送るもあと1本が出ずにサンシャインズとの差を詰められないでいた。

こういう展開で本領を発揮するのが、今季ヘッドコーチを兼任している中村道大郎だ。6回、先頭打者の中村が遊ゴロをヘッドスライディングでセーフに。ここからフェニックス打線に火が付いた。

流れを変えたのはやはりこの選手、中村道大郎

河野颯太がこの日2本目の安打をレフト前にはじき返すと、続く宮本貴章が三塁線に自らも生きんとするセーフティバントを敢行。惜しくもアウトとなったが一死二、三塁とした。9番の漁野海人が四球を選んで一死満塁とすると、打率リーグトップの中田航大がタイムリーヒットを放ち、3-4と1点差に迫った。横山晴人三振の後、平間がこの日2打点となるタイムリーヒットを放ち4-4と追いついた。

7回表に2番手としてマウンドに上がったのは、なんと松本直晃監督。6月9日のサンシャインズ以来、今季2試合目の登板となった。元々登板予定はなかったとのことだが、今後の過密日程を控えて登板を決意したという。松本は一死から3連打を浴び1点を失うも、力のあるボールを披露。元NPBという「格」を見せつけた。

140キロ台を連発した松本直晃

そのまま4-5とサンシャインズがリードして迎えた9回裏。先頭の平間が三振に倒れるも、続く和希が四球を選び、同点のランナーを出した。今日無安打の吉岡翼が二塁打を放ち、一死二、三塁と一打サヨナラの場面を作った。続く中村道は申告敬遠で一死満塁に。打撃好調の河野が打席に入る。河野はボールをしっかりと見極め、四球を選び同点に追いついた。

同点の四球を選んだ河野颯太

打席に入るのは宮本。今季はリラックスしたバッティングで結果を残しており期待が持てる。宮本が2球目を打つと、打球はファーストに。本塁に転送され二死となった後、サンシャインズのキャッチャーが一塁に投げ、ダブルプレーを狙った。しかし送球は大きく逸れ、その間に二塁走者の中村道が生還。フェニックスが相手守備の乱れでサヨナラ勝ちを決めた。

サヨナラ勝ちに喜ぶ北九州下関フェニックスの選手たち

この日の試合で火の国サラマンダーズが大分B-リングスを破ったことで、火の国が2位に上昇。フェニックスの「因縁の相手」が順位を上げてきた。

試合後コメント

松本直晃監督

ーー今日の試合の振り返りをお願いします。

宮崎さんは今シーズン全体的にバットが振れていて、去年のように勝てるとは思っていません。

今日はスキを見せるプレーや、満塁でのゲッツーなど、うちが今年やろうとしてる野球っていうのができなかったことが反省点です。

ピッチャーとしては、先発が6回4失点、リリーフ3人で失点1なので、及第点かもしれませんが、点を取られるべくして取られたとも感じたので、そのあたりを反省し、明日のゲームに繋げたいなと思います。

ーー今日は登板する予定はあったんでしょうか?

登板する予定はなかったのですが、今後試合が続くので、僕が投げることによって投手陣の負担が軽減できるなと考えて投げました。

中村道大郎選手

ーー今日の試合を振り返っていかがですか?

バント失敗などのミスをチームのみんながカバーしてくれたところが頼もしいと思いました。

今日はクリーンヒットは少なかったですが、フォアボールを多くとれた(編注:10個)ことが大きかったと思います。

ーー6回のヘッドスライディングで流れが変わったように思います。

先行されて雰囲気的も苦しかったので、先頭打者で仕事をしたいと思い頭から滑りました。

河野颯太選手

ーー最終打席、一打サヨナラの場面で打席に立ちました。

今日の状態ならサヨナラを決められる、決めてやろうと思って打席に入りました。

ーー今シーズンここまでを振り返っていかがでしょうか?

やれることは今のところやれています。もっとチームを助けるプレーをもっと増やしていけたらなと思ってます。バッティングは今のところ、結構できていると思いますが、あとはNPBに近づくために、盗塁の数を増やしたいなと思ってます。

ーー暑い日が続いてますが体調管理で気をつけてること、心がけていることはありますか?

睡眠を大事にしているので、できるだけ早く寝るようにしています。

ーー残りのシーズンに向けての意気込みをお願いします。

リーグ優勝と日本一を目指しているので、1戦ずつ大事に戦っていきたいなと思ってます。個人では、NPB入りをかなえる気持ちで臨んでいきたいと思います。

宮 崎 201001100 │5
北九州 001003002X│6

【宮崎】 中島駿、竹内優真、力丸泰地、松村章也、阿部真也ー豊浦治臣
【北九州】 西垣彰太、松本直晃、行木俊、中村総一郎ー宮本貴章
[二塁打]藤川 嵩平(宮) 吉岡 翼(北)