【やっぱりおいしい北九州】 THE GOOD MOOD （小倉北区）

食を通して北九州市の良さを伝える書籍「おいしい北九州」の著者、東恭子さんが新たに開拓した飲食店を紹介する企画【やっぱりおいしい北九州】。北九州市内の“おいしい”飲食店を素敵な記事と写真で紹介します!!

シフォンケーキがブームになってから久しい。多くの洒落たレシピ本が書店に並び、シフォンケーキ作りにはまった経験がある人もいるのではないだろうか。シフォンケーキといえば、今では販売する店や専門店の数も増え、幅広い層に好まれる定番スイーツ的存在。そんなシフォンケーキの人気店のひとつが小倉北区大畠のTHE GOOD MOOD。メディアドームからも徒歩圏内にある店だ。

オーナーの村田奈々美さんがTHE GOOD MOODを開いたのは2018年6月。小倉北区魚町のシェアカフェで、シフォンケーキとコーヒーを提供する週末カフェとして営業をスタート。約1年後に現在地に販売専門の店舗を構えた。

学生時代は自分で店を出すことになるとは全く考えていなかったという村田さん。北九州市立大学地域創生学群を卒業し、不動産中央情報センターに入社。約3年間営業として働いた。

元々お菓子作りが好きだったこともあり、しばしば自作のシフォンケーキを職場に差し入れしていたことが、仲間との「ごきげん（GOOD MOOD）な一日」作りに繋がった経験などから自身の店を出そうと決意したそうだ。店を構えるようになった今、学生時代に携わったビアガーデンや移動販売などの経験と、「初めてのお客様を一生のお客様に」という会社で学んだ言葉が自分の中で生きているという。

THE GOOD MOODのシフォンケーキは少し大きめのサイズが特徴。ふんわりと軽く、更にしっとりと絹のような食感を表現する上でのこだわりだ。

使用している材料は至ってシンプル。保存料や膨張剤などは使わず、「自分が家で手作りしていた時の作り方」を続けているのは「家族や身近な人達と同じように、お客さまにも安心しておいしく食べていただきたい」という村田さんの思いから。小麦粉も出来上がりに影響しないギリギリまで使用量を減らし、メレンゲの仕上げは必ず手作業でしめている。この手作業というのも実際はかなりの力仕事でもあり、経験と技術も必要。まさに職人の世界である。

シンプルな材料だからこそ、素材一つ一つにはこだわっており、卵も二種類のものを合わせる素材の特徴に合わせてブレンドを変えながら使用。フルーツもその時期で一番のものを卸しの青果店、生産者とでコミュニケーションをとりながら仕入れているという。

店内にはプレーンやチョコレートといった定番と、キャラメル、チョコバナナ等の日替わり、季節限定商品が10種類ほど並び、シフォンサンドやスコップケーキ、シフォンラスクなどのアレンジした商品も揃っている。
「お客様の近くまで自ら足を運びたい」ということで、イベントや商業施設での出張販売も積極的に行っており、店舗まではなかなか行けないという人にも好評だ。北九州市のふるさと納税返礼品にも選ばれており、こちらも利用者が増えているそうだ。

店の知名度が上がり得意客が増えた今、「地域の中でやっていく上で更に気を引き締めなければ。緊張感を持って、これからもシフォンケーキと向き合っていきたいと思っています」と言う村田さん。
スイーツで日常の中にちょっとした癒しを作ったり、季節の変化を感じたり。THE GOOD MOODのシフォンケーキはそんなひとときを演出してくれる存在だ。