北九州でカウンターを極める【11】~『コットンダンサー』編~

北九州市に来たばかりで知り合いがいない、などの理由で、いわゆるソロ活を余儀なくされる機会も多々あるかと思いますが、初めてのお店に一人で入るのはなかなか勇気がいるものです。

そこで、一人で行っても馴染みやすい、一人なのに不思議とさみしくない!そんな、北九州市のカウンターのあるお店をご紹介していきたいと思います。

店主さんとおしゃべりしたり、他のお客さんと仲良くなったり。 “一人だからこそできる楽しみ方”をぜひ北九州市で極めてください。

【コットンダンサー】

最初の一歩

小倉駅から徒歩10分ほど。浅香通り沿い、福岡銀行の向かいにあるECプラザビルに【コットンダンサー】はあります。

シャンデリアや集合看板など、大人な雰囲気が漂うエントランス。

コットンダンサーは2階ですが、1階に電飾スタンドの看板が灯っていれば開店の合図です。

階段を上ってすぐ、年月を感じる木枠の扉を開けると、素敵な空間が広がっています。

クラシックで上質な空間

扉を開けて目に入る、この景色。あまりのカッコよさに、惚れ惚れしてしまいます。
薄暗い店内をアンティーク調の照明が淡く照らし、洗練されたクラシカルな印象を受ける店内。奥行きがあるため、カウンター席は10人座れるほどのゆとりがあります。一人でゆっくり楽しみたいときなどは、これくらいのゆとりがあると一人の世界に浸れてうれしい。

壁際にはテーブル席も配置されているので、三人以上で来るときも安心。そして、バーでは珍しく団体席もあるんです!お腹は満たされているけどお酒は飲みたいときや、深い時間に数軒目として行きたいときなど、大人数だとかなり重宝すると思います。

二代目マスター

現在のマスターである澄川さんは、二代目。澄川さんはもともとはコットンダンサーにお客さんとして来ていて、初めてきたときに「カッコいい!」と感動した憧れのお店だったんだそう。当時勤めていたお店のオーナーと先代マスターがご友人だったこともあり、その勤め先が閉店するタイミングでコットンダンサーで働くことになったんだとか。それまではお酒のことをあまり知らなかったという澄川さんは、当時はネットなど情報がない中で、日々飲みに行ったりいろんな本を読み漁ることで勉強を重ね、お酒のつくり方を覚えていきました。そこから一度コットンダンサーを離れましたが、先代のマスターが急逝。お通夜の時に先代マスターの親族の方が「誰かお店を開けてくれる人はいないかな」と言ったときに手を挙げて、澄川さんが引き継ぐことになったんだそうです。

それから27年。お店自体は名前も場所もそのままで41年もの間北九州の人に愛されている、老舗のバーとなりました。先代から引き継いだとは言え、今は澄川さんに会いに来る人も多く、澄川さんの穏やかで温かな人柄が、そのままコットンダンサーの雰囲気をつくり出しています。

コットンダンサー×音楽

コットンダンサーでは様々なジャンルの音楽が流れ、カウンターの上にはDJの機材も並んでいます。澄川さんが音楽好きなので、お酒を味わうだけでなく耳でも楽しむことができるのがコットンダンサーの魅力の一つ。それだけではなく、コットンダンサーでは定期的にライブも行っています。

野外イベントなどで出店した際に知り合ったミュージシャンが「お店でもやりたい」と言ってくれることが多いらしく、南正人さんやLITTLE TEMPOといった有名な方も今までにコットンダンサーでライブを行っています。音楽好きな方はぜひコットンダンサーに訪れてほしいと思います。

雰囲気と共に楽しむお酒とおつまみ

この日いただいたのは、自家製のジンジャーを使ったモスコミュール。モスコミュール専用という、銅製のマグカップで出していただきました。カップがひんやりして美味しさが倍増!ちなみにおつまみにはトンプソン・シードレスという種もなく皮ごとぱくりと食べられる葡萄を。果物とお酒を合わせるなんてオシャレなことは家ではしない私なので(笑)、大人を満喫できているようでうれしくなります。雰囲気も相まってお酒が進むのはご愛敬。

おひとり様も多いそうですが、お客さまの様子を見ながら、ゆっくりしたい人、話したい人を見極めているそうなので、初めての方もマスターに委ねれば間違いありません。以前は知り合いや紹介が多かったそうですが、最近はネットやSNSを通じて知って来られる方が多いそうなので、まったくの一見さんでも気負わず行ってみてください。

どこを見てもカッコいいコットンダンサー

内装は41年間ほぼ変わっていないそうで、壁の棚板も全部に細工が入っているなど、かなり作り込まれた内装となっています。ハイカウンターは当時珍しく、カウンターの高さに合わせてあつらえられた椅子は、倒れないように40キロくらいの重さがあるんだとか!

天井が高かったり配管をそのまま見せたりするのも珍しかったそうで、コットンダンサーが当時の最先端だったことが伺えます。

41年も続いていることもあり、30年ぶりに来た、という人や2代、3代でくることもあるそう。取材の前日には昔からのお客さまが「娘が20歳になったから一緒に来た」と連れ立って来られたそうで、日々歴史が刻まれていて素敵だなぁ、と思いました。

澄川さんは2月で還暦を迎えるそうですが、当日は還暦パーティーも開催されるくらい、お客さまや友人・仲間のみなさんに愛されていることがひしひしと伝わります。コットンダンサーがカッコよく重厚な雰囲気なのにも関わらず、温かく居心地がよくなんだか落ち着くのは、澄川さんが醸し出す穏やかさのおかげ。いつまでも小倉の街に、ほっとする場所としてあり続けてほしいバーです。

詳細情報

小倉北区堺町1丁目10−6 ECプラザビル 3F

営業時間/20:00~2:00

定休日/日曜日・元日

さいごに
もちろんみんなでわいわいするのも楽しいですが、ひとりの楽しみ方は無限大!特に北九州市は人懐っこい人が多いので、店主さんもお客さんも気軽に話しかけてくれてすぐに打ち解けられる、ソロ活にはもってこいの地域です。これからもひとりで行ってもさびしくない、親しみやすいお店を紹介していきますので、お楽しみに!

協力:門司港ゲストハウスポルト

北九州でカウンターを極める

やっぱりおいしい北九州