北九州でカウンターを極める~『Banbi 喫茶と小さなギャラリー』編~

北九州市に来たばかりで知り合いがいない、などの理由で、いわゆるソロ活を余儀なくされる機会も多々あるかと思いますが、初めてのお店に一人で入るのはなかなか勇気がいるものです。

そこで、一人で行っても馴染みやすい、一人なのに不思議とさみしくない!そんな、北九州市のカウンターのあるお店をご紹介していきたいと思います。

店主さんとおしゃべりしたり、他のお客さんと仲良くなったり。 “一人だからこそできる楽しみ方”をぜひ北九州市で極めてください。

【Banbi 喫茶と小さなギャラリー】

最初の一歩

小倉高校のすぐ近く、板櫃川を越えた先に【Banbi】は2023年9月、移転リニューアルオープンしました。移転前は小倉北区井堀で『イエンカンブロカンテ』という名前だった、と聞けばピンと来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

移転後の場所は、バスで『日明1丁目』もしくは『小倉高校下』からどちらも徒歩2分程度。電車でも、西小倉駅から徒歩15分ほどなので十分徒歩圏内です。そして専用駐車場も2台完備。どんな交通手段でも行きやすいのは嬉しいですね。

周囲に飲食店がたくさんある場所ではないので、そのお洒落な外観がすぐに目にとまるはずです。さっそく入ってみましょう。

バンビのギャラリーはハードルが低い!?

中に入ると、可愛らしい器が並ぶカウンター、壁一面のアート作品などわくわくする空間が。そして吹き抜けのような高い天井になっているため、こぢんまりとした空間ながらとても開放感があります。

飾ってある器はもちろん購入可能。アンティークならではの色使いやデザイン、形がどれも個性的で可愛らしいものばかり。

そして“小さなギャラリー”とある通り、壁にも作品が飾られています。私が取材に伺った日は店主・ユキミさんが所蔵している作品を飾っていましたが、ギャラリーはレンタルもしており、写真や絵画など、その時々でガラッと雰囲気が異なるそうです。来るたびにお店の雰囲気が変わり、違うお店にいるようで毎回新鮮な気持ちで過ごせるというのは、面白いなぁと思いました。

そしてもう一つ、面白い!と思ったこと。バンビのレンタルギャラリーは『ハードルが低い』んだそうです。どういうことか、ユキミさんに伺うと、「うちの子ども絵がうまいから見て!とかでもOK」なんだそう。

実際、昨年にはペンギン好きの方がいつの間にか集まったというペンギングッズのコレクション展を開催したそうで、かなり好評だったとか。家に眠っているコレクションって自分で愛でるだけでも楽しいのですが、誰かに見てもらったり、同じ趣味の人と知り合えたり話せたりしたら何倍も楽しめますよね。

「場所貸しというと、ハンドメイドなど販売会になりがちですが、写真や絵、イラストなどの展示にもどんどん使ってほしい」とユキミさん。こんなのやってみたい!というものがあれば、どんな風に展示するか、どんなイベントにするか一緒に考えてもくれるそうです。

自分が集めているコレクションを飾ったりと、他のギャラリーでは敷居が高くてできないようなこともできるのが、バンビのギャラリー。現在、5月の半ば以降はスケジュールも空いているそうなので、「見てほしいものがある!」という方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

自由奔放な営業時間

ユニークなギャラリーがあるバンビですが、その営業形態もちょっと変わっています。私が取材に伺ったのは午前中でしたが、日によって朝営業があったり、スナック的な夜営業がある日も!さらに夜営業は、場合によっては延長アリ、だそう。

以前からモーニングの需要に興味があったことからリニューアル後から朝営業を始めたそうですが、お客さまからは「朝に時間をつくって珈琲を飲むのって、逆に気持ちにゆとりができるね」「朝活が良いっていうのがわかった」と評判は上々。

朝、気分をリフレッシュしてからその日の活動を始めたり、夜は一日の締めとしてほっと一息つくためにふらりと寄ったり。そんな風に受け入れてくれる場所があるって、生活の中でとても大事だよな、と思います。特にバンビは不思議と居心地がいいので、ぼーっとしたり気持ちをリセットしたりと忙しい日々の合間にふ、っと心を落ち着けるのに向いています。

以前のお店からのお客さまも多いそうですが、移転後はご近所需要も増えたそう。「この辺何もなかったから嬉しい」との声があったり、近くの板櫃川を散歩する方も多い、ということで抱っこしたりリードを繋いでいればワンちゃんとの同伴もOKにしたそうです。ますますご近所需要が高まりそうですね。

まだ移転して一年経っていないということもあり、営業時間は今後変更する可能性もあるそうです。夜営業延長アリ、ナシの情報なども載っていますので、ぜひ事前にInstagramをチェックしてみてください。

ホットビスケットが看板メニュー

先ほどもご紹介した、可愛らしいアンティークの器たち。バンビでは、ドリンクを注文するとカウンターにずらっと並ぶ器の中から一つ選ばせてもらえます。好みの器が選べてそれで飲むことができるなんて、テンション上がりますよね。私もバンビコーヒーを注文し、ひとつひとつの器とにらめっこしながらあれもかわいい、こっちも素敵・・・と悩みつつ、こちらの器に決めました!

添えてあるものは、ホットビスケット。バンビの一押しメニューです。表面はサクっと、中はふわっとした食感でなんだか安心するやさしい甘さ。そして嬉しいことに、中に何を挟むか三つから選べます。王道のメープルシロップ、はちみつも捨てがたかったですが、私は珍しいヘーゼルナッツクリームをチョイス。クリーミーかつナッツの香ばしさも感じられてとても美味しかったです。ホットビスケットは朝営業、その名も『Maple time』から終日、楽しむことができますよ。テイクアウトもできるので、コーヒーと一緒に散歩のお供や、気分を変えて公園のベンチで食べたり、なんてのもおすすめです。

カレーやパスタなどフードメニューも準備している他、季節によって変わるデザートメニューや食事系クレープも。お客さまの「ごはんが食べたい」という要望でフードを始めたりと、喫茶に関してはお客さんの希望を少しずつ取り入れてメニューを変更していっているそうです。他の飲食店さんの出張販売などもあり、行く時々によってメニューに変化があるのもバンビの魅力のひとつ。狙いを定めていくのも、その日のお楽しみで行くのも、どちらもわくわくしますね。

これまでのあゆみ

さて、リニューアルしてどんどん進化していっているバンビですが、どのような経緯で今に至ったのか、伺ってみました。

始まりは小倉北区室町。ご友人がモノづくりをしており、当時は今のようにハンドメイドものが一般的に売られている場所がなかったので、「こんなにいいものをつくってるんだからそれを売り込んでいきたい!いいものを売りたい!」という思いから、お店をオープン。もともと3年くらいで軌道に乗らなければリセットしようと決めていたそうで、一度はお店を畳みますがその後七年ほどの空白期間を経て、井堀で『イエンカンブロカンテ』を再オープンさせます。

喫茶は井堀時代にお客さまから「ここでコーヒーが飲めたらいいのに」と言われたことがきっかけとのことで、居心地の良さは当時から受け継がれているようです。ヴィンテージや作家さんの器を扱っていたので、喫茶でそれを使えば「いいな」というのを実際に体感していただけるな、という思いもあり、そちらも今のバンビに引き継がれています。

ヴィンテージと喫茶でじわじわと人気が根付いた『イエンカンブロカンテ』でしたが、もともと建物が古く、井堀での営業は「10年」と決めていました。そして10年が経った頃、移転先を探していたユキミさんにオーナーさんが声をかけてくれて出会ったのが今のお店。タイミングも良く、話が来てすぐに飛びついたというユキミさん。こうしてまたここから、新しい物語が始まりました。

懐の深いお店、バンビ

幾度かの移転を経て、また新たなスタートを切ったバンビ。“喫茶と小さなギャラリー”には原風景のようなものがあるそう。それは昔絵を描いていたユキミさんがお世話になったという画廊喫茶。おじいちゃんとおばあちゃんが営んでいるその画廊喫茶ではいつも絵や作品が飾ってあって、コーヒーを淹れてもらって、そんな雰囲気がとても好きだったというユキミさん。最初は「友人のハンドメイドを売りたい」という思いから始まりましたが、「時間をかけてその画廊喫茶に近づいている感じ」と語ってくれました。

ちなみに店名の【バンビ】ですが、室町でお店を始めたときに、フランスのアンティークを輸入した際に仕入れた、一番初めの荷物の中にいた人形が由来、とのこと。かわいすぎて売りたくなくなり、それ以来売らずにお店のキャラクターのようになったそうで、今も店内をしっかりと見守っています。お店のどこかにひそんでいますので、ぜひ見つけてみてくださいね。

「気軽に来ていただけたらいいな」とユキミさん。喫茶だけのご利用でも、お買い物のみの利用でもOK!時間も曜日によっては朝から夜まで開いていますので、まさに気軽に、ふらっと訪れやすい懐の深いお店です。そして「面白い展示をしていただけたら」とのことですので、自慢のコレクションがある方、見てほしい作品がある方はギャラリーで披露されてみてはいかがでしょうか?新しいギャラリーの在り方を提供するバンビが今後どんな世界観で埋め尽くされるのか、私も楽しみです。

詳細情報

北九州市小倉北区日明2丁目1−5

営業時間/

水曜日・日曜日 10:00~19:00

木曜日 12:00~19:00

金曜日 12:00~21:00

土曜日 10:00~21:00

定休日/不定休

※臨時休業などの情報はInstagramをご確認ください

さいごに
初めてのお店に一人で入る、というのはなかなかハードルが高いですが、北九州市はそもそも人懐っこい人が多いので、店主さんもお客さんも距離が近く、おひとり様に向いている土地と言えます。もちろん、ひとりでゆったりとした時間を過ごすもよし、ひとりの楽しみ方は無限大!
これからも一人でも初めてでも行く価値のある、そんなお店をご紹介していきますので、お楽しみに!

協力:門司港ゲストハウスポルト

北九州でカウンターを極める

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