北九州市に来たばかりで知り合いがいない、などの理由で、いわゆるソロ活を余儀なくされる機会も多々あるかと思いますが、初めてのお店に一人で入るのはなかなか勇気がいるものです。
そこで、一人で行っても馴染みやすい、一人なのに不思議とさみしくない!そんな、北九州市のカウンターのあるお店をご紹介していきたいと思います。
店主さんとおしゃべりしたり、他のお客さんと仲良くなったり、一人きりの時間を思う存分堪能したり。 “一人だからこそできる楽しみ方”をぜひ北九州市で極めてください。
【カフェアターブル】
最初の一歩
今回ご紹介するのは、『沢見一丁目』バス停の目の前に約18年前に誕生した【カフェアターブル】。夜宮公園もほど近く、高校や小学校などに囲まれた閑静な環境に、深緑色の落ち着く色合いの外観が溶け込んでいます。
木の枝でできたドアノブに触れ扉を開けると、店内は白と木目を基調としたやさしくあたたかい雰囲気に包まれていました。色とりどりのジャムやいい香りが鼻をくすぐる焼き菓子、そして店内のあちこちに置かれている本たちにわくわくしながら、まずは座る席を選びます。テーブル席、カウンターに加え、壁に向かった席があるのも嬉しいポイント。誰かと来るのも、そして一人時間を楽しむのにも適しているカフェです。
今回はカウンター席に座り、ゆったりと美味しいデザートをいただきながら、18年の歩みについて伺いました。
“モーニング”と”お茶とお菓子”のお店
10月でオープンして18年を迎えるカフェアターブルですが、コロナを機に、営業形態を大幅に変更しました。
新しくメインメニューとなったのが、焼き立てのスコーンやバゲットをメインに添えた”モーニング”。一皿に季節のジャム、クリームと発酵バター、サラダ、ヨーグルトが盛られているので見た目にも華やかで朝からテンションが上がります。さらに生絞りジュースと選べるドリンクも付いていて満足感があり、丁寧につくられた朝食を採ることで自分を労い、また、その日一日の活力にするのにも、カフェアターブルのモーニングはおすすめです。
モーニングは9時から12時までの提供ですが、9時からクローズの16時まで終日楽しめるのが”お茶とお菓子”。
私はこの日、ケーキ2種とアイスクリームに飲み物が付いた贅沢なセットをいただきました。ケーキはブランマンジェやファーブルトンと言ったフランスのケーキをはじめ、スコーンや季節のデザートから選ぶことができます。私はどれもおいしそうでなかなか決めきれなかったのですが、スタッフさんに丁寧に説明していただき、ケーキはガトーバスクとファーブルトン、アイスクリームはレモンバジルを選びました。
ファーブルトンはしっかりとした焼き目でありながら中はしっとりと柔らかく、卵の風味とバニラの香りが広がる優しい甘さの生地にジューシーなプルーンが合わさり、とっても美味しかったです!
ガトーバスクはざくざくしたバター豊かな生地と甘酸っぱいダークチェリーのジャムがバランスよく調和し、一緒にいただいた紅茶との相性も抜群でした。
アターブルはアイスクリームも一押し!
そして、コロナを境に営業形態を変えたと同時に、より力を入れるようになったのが、アイスクリーム。
そもそも店主の高浪さん、コロナ禍になったことをきっかけに、自分の暮らしについても考えるようになったそう。これまでお店でいろんなものを提供してきたそうですが、コロナを機に「もうやりたいことだけやろう!」とガクンとやることを減らしたことで、スッキリと再構築ができたんだとか。
そんな中で選ばれたアイス。その理由は…?
「自分が一番好きなのがアイスなんです」と高浪さん。シンプルイズベスト!
もちろんそれだけではなく、アイスクリームは具合が悪くなって何も食べれなくなったときでも、子どももおじいちゃんおばあちゃんも、ちょっと口にすることができるもの。甘いイメージのアイスクリームですが、砂糖はまったく入れなくてもよいそうで、現にカフェアターブルのアイスフレーバーは『フェンネル』や『レモンバジル』といったハーブを使ったものもあり、デザートとしてだけでなくさっぱりとした味と豊かな風味を楽しむこともできるんです。
私はレモンバジルのアイスをいただいたのですが、レモンの爽やかな酸味をバジルの香りが包み込み、暑い夏にぴったりな爽快さがあるアイスでした。
他にも、卵なしで素材そのものの味を活かしたもの、シャリシャリの食感も楽しいソルベ(シャーベット)など本当にフレーバーの種類が豊富で、色んな味を試したくなります。
アイスは、イートインはもちろん、お持ち帰りもできます。お店の外から、小窓越しに買うこともできるので、気軽に立ち寄れるのが嬉しいですね。カップかコーンかも選べるので、すぐ食べたいときも持って帰っておうちでゆっくり食べたいときも安心。
季節によってメニューは変わるそうなので、いつ行ってもそのときの気分でいろんな味が楽しめそうです。
ジャムとアイスクリームはオンラインショップでも購入が可能ですので、すぐには行けないという方もぜひオンラインで注文してみてくださいね。
カフェアターブルの原点
フランスに住んでいたこともあるという高浪さん。おもてなしされることもすることも上手だというフランスでは、食を通して楽しむことが根本にあるんだそう。お手本にしているのはそんなフランスの地方菓子やおうちでお母さんがつくるようなお菓子で、カフェアターブルで提供しているメニューも、そういうものが基本になっています。
ただ、お店を始めたばかりの頃は”フランスでつくってないものは出したくない”と思っていたそうですが、最近では抹茶やわらび餅などを取り入れたりと、柔軟になってきたんだとか。わらび餅にシナモンを入れたり、自分なりのアレンジをして”アターブルらしさ”を出せるようになってきたとのこと。これから、どんなアターブルならではのメニューに出会えるのか、楽しみです。
18年、成人を迎えるアターブル
お店をオープンした当初は「長くすることは目標にはしていなかった」という高浪さんですが、今年10月で18年!カフェアターブルとの18年について伺いました。
「自分がお店にとっての”お母さん”みたいな感じ」と高浪さん。”お母さん業”と似てると感じているそう。
「お店が出来たときはみんなおめでとうと言って祝ってくれるし、3つくらいになったらイベントなどで外に出て友達がほしくなる。そして今年、お店が18年なので、一応成人なんですよね。大学行ってもいいし働いてもいいし留学してもいい、いろんな選択肢がある年。」とのこと。なるほど。
そして高浪さん曰く、自分の子どもも自分が産んだけれどいろんな人との関わりの中で育てていただいているように、お店もつくりはしたけれど、お客さまに育ててもらっているという思いが強いのだそうです。
カウンターの奥から食事をしたり、おしゃべりをしたり、読書をしたりといろんなお客さまを眺めるのは、高浪さんにとって「ショートフィルムを見ているよう」だと言います。いろんなお客さまがアターブルに関わり、育ててもらっている。だから18年はあっという間だった。
そして小さかった子が大人になったり、お母さんと一緒に来てた子がデートで来るようになったり、そういうことが増えてくると「できるだけここで長くできたらいいなと思うようになった」という高浪さん。
18年という成人と同じ年月を経て、今年はある意味節目の年。イメージチェンジを繰り返して素敵な姿を見せてくれそうなアターブル、どんな大人になっていくのか、目が離せません。
よい一日を!
高浪さんにお話を伺っていて印象的だったのは、「毎日”ありがたいな”と思って生きている」という言葉。
アターブルにいらっしゃるお客さまは「いい人が多い」と高浪さんとスタッフさんが口を揃えておっしゃっていたのですが、18年続いてきたのも、「すべてがお客様ありき」と高浪さん。
でもそれはお客さまがいい人なだけではなく、アターブルがお客さまに喜んでほしいという思いが伝わり、気持ちよく心地よく過ごせるからこそ、良い循環が起こっているのではないかとお話を伺っていて思いました。
「その日来ていただいた方が、来る前よりも何かしらの形で、いい気持ちになって帰っていただきたいと思っています。例えばお腹が空いてたら満たされる。ゆっくりしたい人はゆっくりして、友達とおしゃべりがしたい人は思う存分おしゃべりする。来る前よりも、扉を出ていくときの方がいい気持ちになって帰っていただきたい、それだけです」
そんな高浪さんの思いは、お客さまが帰るときに必ず「よい一日を!」と声をかけてくれる、その言葉に集約されています。
たった一言で「誰かが自分の幸せを祈ってくれている」という安心感を与えてくれる魔法のような言葉ですが、まさに「アターブルに来たらいい気持ちになって帰ってほしい」という願いに通じるものがあります。
アターブルで楽しい時間を過ごして、気分良くお店を出るときにかけられるその言葉で、さらに背中を押されたような心強い、そして希望に満ちあふれた気持ちになれる。
素敵な一日を過ごしたいという方、まずはカフェアターブルの扉を開けてみてください。きっといい一日があなたを待っています!
※一部お写真はカフェアターブルさんにご提供いただきました
詳細情報
北九州市戸畑区天籟寺1丁目4−12
営業時間/9:00~16:00(モーニングは9:00~12:00)
定休日/日・月・火曜日
※臨時休業などの情報はInstagramをご確認ください
これからも一人でも初めてでも行く価値のある、そんなお店をご紹介していきますので、お楽しみに!
協力:門司港ゲストハウスポルト