子ども食堂支援の協定を結んでいる九州栄養福祉大学(小倉北区)と響灘菜園株式会社(若松区)は2022年初頭から、同社で発生する約100トンの肌荒れトマト等を活用したカレーの開発に取り組んでいます。
同社の生鮮トマト生産量は、年間およそ3,000トン。しかしその中で約3%を占めている肌荒れ・空洞果などのトマトは、店頭での日持ちがしないなどの理由により廃棄を余儀なくされています。
このプロジェクトで開発されたカレーは、若松区のモンゴルカレー(株式会社マル商)のサポートによりレトルト化し、北九州市内の子ども食堂への支援を予定しています。
市内の子ども食堂で毎年食べ続けられること、そして子どもの卒業後にお土産として配ってもらったり、懐かしんで食べてもらったりすることが、このプロジェクトの最終目標です。
- 九州栄養福祉大学食物栄養学部と響灘菜園株式会社のコラボ企画により「食でつながるフェスタin北九州」でトマトカレーを披露(2022年3月)
- 九州栄養福祉大学と響灘菜園 肌荒れトマトを活用したレトルトカレーを子ども食堂へ(2022年9月)
前回の記事から3カ月が経過しました。
この間に商品名も決定。「トマトのおんがえしカレー」と名付けられました。廃棄されるトマトがレトルトカレーになり、
”子ども食堂等で食べてもらう=復活しておんがえしする” 様子をイメージしてつけられたものです。
プロジェクトも進行中です。
10月29日(土)、30日(日)には西日本工業大学 第55回大学祭「美夜古祭」で、11月3日(木・祝)、4日(金)には九州栄養福祉大学 第51回大学祭「輪駆」にて、来場者向けにカレーの試食会を行いました。食後の感想とカレーのネーミングをアンケートで集計。着々と準備が進みます。
そして12月1日(木)、九州栄養福祉大学にてパッケージデザインの方向性を決めるミーティングが行われました。当日は、デザインを担当する西日本工業大学の梶谷先生と梶谷ゼミの学生が案を複数出し、参加者の意見を聞きながら、デザインの方針を固めていきました。
その後、12月14日(水)には、パッケージのデザインをブラッシュアップするミーティングを西日本工業大学で開催。パッケージデザインの監修を行う、株式会社岡崎デザインの岡崎友則さんが参加しました。
ミーティングを終えた岡崎さんにお話を伺いました。
西日本工業大学デザイン科の学生さんと、新たなパッケージのデザインを共同製作するにあたり、私は監修という立場で関わりました。
まずはこれまでのストーリーをもとに、学生さんが感じた通りのデザインを出してもらうことにしました。この時点では、特にアイデアに関するアドバイスなどは行っていません。
最初に出されたアイデアは「トマトカレーである」という部分から、それ以上のアイデアとして大きく飛べていない状態だと感じました。
今回のプロジェクトは、傷んで廃棄されるトマトを活用して、その材料を使用したカレーを作り、子ども食堂に配布するという大きなコンセプトがあります。
このストーリーをデザインに載せないことには、ただのトマトカレーという風に見えてしまいます。
そこで、デザインを作り込む前に、もう一度このストーリーを乗せたアイデアが見られるラフを見せて欲しい、と学生さんにお伝えし、仕切り直しすることにしました。
何日か経って新たなアイデアを見せてもらったところ、前回に比べ格段に面白いアイデアを複数見せてもらうことができました。
美しいデザイン・正しいデザインということは人によって感じ方は違うかと思いますが、実際に食料品店に設置された時のインパクトを考えると、他にはない独自性を打ち出す必要があると思いますので、今回新たに出してもらったアイデアで、今後ブラッシュアップしていこうということになりました。
私も普段は専門学校でデザインを教えていることもあり、授業中の課題と捉えるのではなく、世に出ていく商品である、ということを考えてもらえる良い機会になったと思っています。
今後のデザインの完成までとても楽しみになりました!
カレーの具材やパッケージデザインの方向性もほぼ固まり、さらにプロジェクトは進んでいきます。
年末には、北橋北九州市長へのお披露目会の実施も予定されています。
本プロジェクトの進行の模様は、引き続きキタキュースタイルでお伝えします。
「ベジホーム!」でミニトマト“ぷるりん”を育てよう
「ベジホーム!」とは、響灘菜園が提供しているトマト栽培アプリです。
水を与える量や、実や葉を残す量などをアプリ上で指示すると、スタッフの方がその通りに育ててくれます。
トマトの生育状況は毎週アプリ上で公開されるので、自分のトマトの育ち具合を確認することができます。
そしてなんと、アプリ上で自分で“育てた”ミニトマトは、月に1度箱詰めされて送られてくるんです。
まさにリアル果物育成ゲームですね。