北九州から世界へ。第69代日本フェザー級王者・岡本恭佑、初防衛戦へかける思い

3月9日、後楽園ホールで行われたボクシング日本フェザー級タイトルマッチ。北九州市小倉南区のHKスポーツボクシングジムに所属する岡本恭佑は、判定勝利で第69代日本フェザー級王座を奪取した。福岡県内のジムからの日本王者誕生は、実に24年ぶりのことだった。

戴冠から約2ヶ月後の5月9日、JR九州 ステーションホテル小倉で祝勝会と記者会見が開かれた。100人以上が集まった会場で、岡本は報道陣の質問に答えた。

チャンピオンになって、変わったこと

第69代日本フェザー級王者・岡本恭佑

「変わった?とよく言われるんですけど、自分ではあまり変わっていないんです。周りの反応や言葉はかなり変わって、少しずつ『チャンピオンなんだな』という自覚が出てきた感じです」

街で話しかけられることも多くなったという。「誰が見ているか分からないと思って暮らしています。変なことはできないな」と笑った。

HKスポーツボクシングジムの桑原秀彦会長は「ジムを出して18年かかりましたから、やっとという気持ちはあります。目指しているところはまだその先だけど」と振り返った。

「北九州から世界へ」、その言葉の意味

会場に置かれたチラシには、「北九州から世界へ」と書かれていた。関東・関西のジムに比べて練習環境に差があることは、本人も認識している。それでも、北九州を離れようとは思わない。

「どこにいてもチャンピオンになれる人はなれると思っていますし、なれない人はなれない。僕は絶対なれると思っているんで」

桑原会長は「うちのジムから出た選手を見て、『うちも頑張ろう』というジムが出てきてくれたら、ボクシングも盛り上がるし、レベルも上がっていくと思います」と話した。

HKスポーツボクシングジム・桑原秀彦会長

HKスポーツボクシングジムはジュニア世代の育成でも実績を上げており、全国大会優勝者を毎年複数輩出している。「自分に取材が来るより、ジムの子どもたちが取材を受けている方が嬉しかったです。自分がいることでボクシングを続けようと思ってくれる子が1人でも増えたら」と岡本は語った。

4年間、衣装で支え続けた「みやび」

この日の祝勝会は、貸衣装店「みやび」小倉本店の店長兼デザイナー、池田雅さんが中心となって開催された。北九州市の成人式でオーダーメードの衣装を手がけ続け、2023年にはニューヨークファッションウィークでショーを開催するなど、世界的にも評価を得ているデザイナーだ。岡本恭佑とはアマチュア時代からの付き合いで、試合のたびにリングコスチュームを制作してきた。

「恭佑が世界チャンピオンを目指して、この日本チャンピオンという節目を迎えて、本当に嬉しく思っています。北九州から世界へ行ってほしい。北九州みんなで応援したいと思います」

「触らせないボクシング」を見てほしい

会見では息の合ったところを見せた師弟

初防衛戦の見どころについて、岡本はこう答えた。

「ボクシングというと、顔が腫れたり目がふさがったりするイメージが強いと思います。でも僕の場合は、パンチをもらわず、顔にも触らせません。ディフェンス重視で、そのうえで当てる、倒すところを見てほしいですね」

この日の会見に臨んだ岡本恭佑は、3月の激闘が信じられないほど、きれいな顔をしていた。

「もう一度、ベルトを取りに行く」

初防衛戦の対戦相手は殿本恭平(勝輝ボクシングジム)。岡本恭佑のこれまで唯一の敗戦は、2023年に大阪市で行われた同ジム所属の辻永遠との試合だ。対戦相手は違うが、縁のあるジムとの一戦になる。

「リベンジというか、あの時の負けを払拭できたらという思いはあります。でも、正直相手は関係なくて。これから世界チャンピオンになるためには一戦一戦が大事なので、自分に勝つ、逃げない、ということを大切にしたいと思っています」

初防衛戦については、こう話した。

「取るより難しいと言われている初防衛戦なので、もう一回ベルトを取りに行くという気持ちで臨みます。勝ちに徹するとは言いつつも、その日の自分は、倒しに行っていると思います。チャンピオンになるんだという気持ちを見てほしいです」

桑原会長も「いつも通りやれば問題ないと思います」と太鼓判を押した。

地元・北九州で迎える初防衛戦

この日の祝勝会には多数の参加者が。左から、元WBA世界スーパーフライ級王者・鬼塚勝也さん、岡本選手、元WBO世界ミニマム級王者・福原辰弥さん、桑原会長、武内和久北九州市長

14戦のキャリアの中で、北九州での試合は2025年11月以来今回が3度目だ。それ以外はほぼ東京や大阪での試合で、試合前はホテルで過ごすことが多いという。

「家に帰れるという新鮮さが面白いというか。ホテルにいることが自分の中でのルーティンになっているので、試合前に家にいられるというのが新鮮です」

8月30日、北九州メッセ。地元の声援を背に、岡本恭佑の世界への道が始まる。

HKスポーツボクシングジム:http://www.hk-sboxing.com/