小倉商業高校の生徒がデザインする北九州モノレールの新しい車窓風景 4月から8月まで運行

「見慣れた日常の風景がほんの少しおもしろくなる」。そんな思いでデザインされた車両が北九州モノレールで走ります。

3月3日(月)、北九州市小倉南区の企救丘駅で「モノレール車窓デザインプロジェクト」の集大成となるステッカー貼り付け作業が行われました。

このプロジェクトは合同会社kitaya505、小倉商業高校、北九州高速鉄道株式会社による産学連携の取り組みです。「見慣れた日常の風景がほんの少しおもしろくなる」をテーマに、小倉商業高校の生徒たちがデザインしたステッカーをモノレール車両の窓に貼り付けます。

本プロジェクトを企画した合同会社kitaya505の藤本瑞樹さんは、実家が企救丘駅近くにあり、子どものころからモノレールの「ヘビーユーザー」とのこと。北九州モノレールが柔軟な企業であることを知り、この企画を立案したといいます。

「最初はお金もかけずにできる企画を五つほど考えてプレゼンに行ったんです」と藤本さんは振り返ります。その中で一番コストがかからない案である「モノレールの車窓にステッカーを貼ると、乗客の行動が変わるのではないか」という発想に北九州モノレール側が興味を示しました。同社がこれまで行ってきた産学連携の一環として、小倉商業高校の生徒たちとの協働が実現したのです。

藤本さんはプロジェクト全体のディレクターとして、企画をスムーズに実施できるための下地作りに徹しました。できるだけ生徒たちのアイデアをよりよく形にできるようにサポートしたといいます。

「種をまいたら5倍ぐらいに膨らみました」と藤本さんは手応えを語ります。

小倉商業高校商業科の担当教員によると、このプロジェクトでは4つのチームを編成し、それぞれ異なるターゲット層を設定したといいます。

「子どもたち、生徒たちと同じ若者世代、20代後半から40代の働いている人たち、そしてシニア層の4つのターゲットをイメージして、車窓のデザインを考えました」と担当教員は説明します。

「生徒たちがアイデアを出す際、一番難しかったのは、お客さんの目線で考えることでした」と担当教員は指摘します。学生たちは自分たちの好きな「かわいいもの」や「おしゃれなもの」を作りたがったそうですが、利用者の視点から見たときに「大きすぎて、窓に貼ると邪魔になる」などの問題も考慮する必要がありました。

「この授業の目標は、自分たちがやりたいことだけではなく、ちゃんと世の中に受け入れられるものを作り上げようということ。何回もブラッシュアップを繰り返してきました」(担当教員)

このプロジェクトの狙いの一つは、スマートフォンに夢中の乗客に「窓から外の景色を見る」きっかけを提供すること。

「スマホばかり見るんじゃなくて、ふっと窓から外の景色を見るきっかけになることを意識しながらデザインしました」(担当教員)

このデザイン車両は、2025年4月から8月末までの期間、北九州モノレールの路線を運行する予定です。生徒たちも「自分たちが作ったものがこんなにかわいくできるとは思ってなかった」と完成を喜び、実際に運行する車両に乗るのを楽しみにしているといいます。

引き続き、地域と学校、企業の連携から生まれる新たな取り組みに注目です。