2022年10月15日(土)に開幕した「第64回 北九州 小倉城まつり」で「小倉城武将隊」がお披露目されました。
「武将隊」とは、日本各地で戦国武将などに扮してPR活動を行う集団(Wikipediaより)のことで、これまで国内では38団体が活動(「城びと」より)。小倉城武将隊は39番目の「武将隊」となります。
小倉城武将隊の大きな特徴
小倉城武将隊の大きな特徴として、以下の2点が挙げられます。
ひとつは、演劇に重点を置いていること。
脚本と演出を担当するのは、小倉出身の俳優・大神 拓哉(おおが たくや)さん。初代小倉藩藩主・細川忠興を演じ、センターキャストも務めます。演劇を通して小倉の街の歴史を分かりやすく伝えるため、その他のキャストにも演劇経験者を多く採用しているそうです。大神さんは「小倉城武将隊のベースは本格的な芝居で、その上に殺陣(たて)や踊りを加えています」といいます。芝居はもちろん、殺陣や踊りも何日も稽古を重ねたとのことです。
なお、小倉城武将隊の舞台演目にはオリジナルキャラクターも出演しますが、舞台では、例えば小笠原忠真と佐々木小次郎といった、時代の異なる武将が同時に出演することはないそうです。
そしてもうひとつは、“実在の役者が武将を演じていることを明らかにしている”こと。
他地域にある武将隊は、“戦国時代からタイムスリップした”という設定が多く、あくまで「武将本人」という位置づけです。そのため、武将を演じている人は他の活動に制約が出ることもあるといいます。
小倉城武将隊は、“役者が武将を演じる”という体裁をとっていることから、出演する俳優さんたちの活動にマイナスの影響が出ることはありません。逆に俳優個人として応援できるというメリットがあります。
ちなみに武将隊には、活動のないときに小倉城で仕事をしているメンバーも多数在籍しているので、お目にかかることもあるかもしれませんね。
小倉城武将隊 誕生まで
大神さんと小倉城武将隊・プロデューサーのKA-TSUさんの出会いが、小倉城武将隊の方向性を決めたといっても過言ではありません。
小倉城武将隊で脚本と演出、そして細川忠興役としてでセンターキャストを務める大神さんは、2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」に黒田長政役で出演したほか、舞台、映画、テレビドラマ等にも多数出演している経験豊富な俳優さんです。この春から活動拠点を福岡に移し、俳優業を続けながら実家である小倉・菅原神社の神職を務めています。
大神さんは、3年前に「役者としての夢」を叶えた後、自分の演技力で子供たちや次世代の人たちにパスを繋げるために芝居を使いたいという気持ちが芽生えてきたそうです。
一方、KA-TSUさんは、3年前に小倉城指定管理者として参画。武将隊という存在が、小倉城の知名度と魅力のアップ、そして地域学習に大きく貢献するという確信を持ちつつも、運営方法で悩んでいたといいます。
このふたりが、今年の春に人を介して出会いました。
大神さんは当初「武将隊」に良いイメージを持っていなかったそうですが、KA-TSUさんから小倉城武将隊の具体的な話を聞くうちに、自分の新たな目標を実現できる可能性を感じ、参加を決意。KA-TSUさんも大神さんと出会ったことで武将隊の運営方針が固まったといいます。
KA-TSUさんは小倉城武将隊の結成について「北九州市の人は地元のことを知らなすぎるんじゃないだろうか、とずっと感じていました。地元のことを分かりやすく伝えるには『武将隊』が適していると考え、企画を温めていました。小倉城武将隊が演劇を通じて小倉の誇らしい歴史を演じていくところに価値があると思っていますし、演劇を見ることで地元を知ることができ、シビックプライドの醸成につながります。将来、『10年前に小倉城武将隊で細川忠興の演技を見て以来憧れを抱き、小倉城武将隊に入りました』ということが起こるといいなと思っています」と話してくれました。
また、大神さんは「これまで芝居を通して学んだことを少しずつ地元に還元していきたいと考えています。小倉城武将隊を見た子供や地元の人が、地域の歴史を楽しくお芝居の中で知って、遠くに行ったとしても将来はまた小倉に帰ってきたいと思ってもらえるような街にしたいんです。今後も小倉城武将隊で、面白いお芝居を作り続けたいと思います」と意気込みを語ってくれました。
大神さんの父方の祖は門司の総氏神と言われる甲宗八幡神社。創建から1160年を超える歴史の中には平家や源氏を始め数多くの武将の名が挙がります。その中には徳川時代、社の再建に大きく助力した細川忠興の名もあり、大神さんは遥かな縁を感じながら名将・忠興公を演じます。
小倉城武将隊は北九州の観光振興、地域学習のキーパーソンを目指す
小倉城武将隊の演目は、今回「小倉城まつり」で演じた、関ヶ原の合戦前後から小倉城築城までを描いた「小倉城ものがたり〜細川忠興列伝〜」を含め全5幕を予定しているとのこと。今後は小倉城で行われる大きなイベントのときに新作を披露していくそうです。
また、地域で行われるイベントへの派遣や、児童ホームなどでの開催も視野に入れているといいます。
今後、北九州の観光振興、地域学習のキーパーソンを目指すという小倉城武将隊。今後の活躍から目が離せません。