市民参加の期間限定「キタゲキ劇団」が演劇に挑戦 2月17日、18日に2本立てで連続上演

開館当初より、地域の表現者や市⺠との作品創作を継続して実施している北九州芸術劇場。2019年まで継続的に行ってきた「シアターラボ」で市⺠と期間限定の劇団を結成し、次世代の表現者の発掘や育成に取り組んできました。

劇場が20周年を迎える今年度は、劇場のローカルディレクターである「飛ぶ劇場」代表の泊篤志さん、「演劇関係いすと校舎」代表の守田慎之介さんの作・演出で、期間限定の市⺠劇団「キタゲキ劇団」を結成しました。公募で集った、演劇経験も職業もさまざまな10代〜70 代の市⺠と地域の演劇人が約2ヶ月間の創作活動を経て、教育実習の先生がやって来た学校を舞台に 2 週間の淡い恋模様を描く「もやもや2週間」、自転車に乗ってあてのない旅をする⻘年の思い出が綴られる「やじろべえ。」の2作品を上演します。

今回は、「キタゲキ劇団」の稽古にお邪魔し、作・演出を務める泊篤志さんと守田慎之介さんに作品の見どころなどをうかがってきました。

「もやもや2週間」 作・演出の泊篤志さん

泊篤志さん

ーー「もやもや2週間」のストーリーを教えてください。

泊さん「教育実習で訪れた大学生の先生に恋心を抱く高校生の男子の話を中心に、周囲の先生や高校生のそれぞれのドラマや大人の離婚話など、恋にまつわるモヤモヤした2週間を描いた作品です」

ーー今回「もやもや2週間」を選んだ理由をお聞かせください。

泊さん「9年ほど前に鹿児島で市民とともに作った『smoky 2 weeks』という登場人物10人ぐらいの作品があり、今回のお話を聞いたときにこの作品が最適なんじゃないかと思い選びました」

ーー一般の方々と演劇をする機会はよくあるのですか?

泊さん「北九州では少なかったですが、鹿児島や長崎など九州各地で市民参加の演劇を作った経験があります。ただ今回のように「シニアチーム」と年齢を限定して行うのは初めてなので、非常に楽しみにしていました」

ーー実際に稽古を始めてから大変だと感じたことはありますか?

泊さん「舞台経験が少ない方が大半なので、割と事細かな説明が必要でした。ただ、セリフに関しては皆さん頑張って覚えてくれています。」

ーー一般の方とお芝居を作る際に最も心がけていることは何でしょうか?

泊さん「丁寧に説明することを心がけています。稽古日数も限られているので、自分の劇団ではやらないような、具体的な演出を示して理解しやすくなるようにしています」

ーー出演者の演劇経験について教えてください。

泊さん「出演者のほとんどが演劇経験がないか、非常に久しぶりの参加です。中には大学時代に演劇に参加したり、芸術劇場の「わたしの青い鳥」の公演や赤シャツダンサーズでのダンス経験がある方もいますが、全体としては初心者が大半を占めています」

ーー出演者はどのような年齢層ですか?

泊さん「出演者の年齢は幅広く、最年長は74歳で平均年齢は約60歳です。私が最年長である現場が増えてきましたが、このチームでは私より年上の先輩が多く、その新鮮さが魅力的です。若いころに比べると高齢の方と接することに慣れてきたので、特に緊張感なく取り組めていると感じます」

ーー稽古中に起こった面白いエピソードはありますか?

泊さん「稽古中、元警察官の出演者が過去の経験を活かし、アクロバティックな動きを披露したシーンでは、稽古場が特に盛り上がりました」

ーー他の方も過去の経験を活かした設定になっているんですか?

泊さん「出演者の方にヒアリングを行い、実際のエピソードを盛り込んでいます。
作品では、冒頭のシーンは全員高校生ですが、別途それぞれ背負う役を持っています。教育実習の先生と同僚の先生の2人以外は全員二役です」

ーーいろんな役があって演じる人も楽しそうですね。

泊さん「皆さんとにかく楽しそうにしていますし、稽古前に集まってセリフのすり合わせをするなど、とてもやる気に満ちています」

ーー観る側はどのような点に注目すると良いですか?

泊さん「若い人たちに比べると、年配の方々は皆さん度胸があって堂々と演じているので、そこにおのずと注目してしまうんじゃないかと思います。彼らのそういう演技を見ると、きっと元気がもらえると思います」

ーー最後に一言お願いします。

泊さん「僕より先輩格の出演者の皆さんが、モヤモヤざわざわしている様子がとても楽しいし、勇気をもらえると思います。そこを楽しみにしていただけると嬉しいです」

「やじろべえ。」 作・演出の守田慎之介さん

守田慎之介さん

ーー「やじろべえ。」はどんな話ですか?

守田「中学生の主人公が自転車で旅に出て、道中での小さな出来事や思い出を描くロードムービー風の作品です。これは10年以上前に書かれた台本で、すでに5回以上上演されており、今回は過去最多のキャストで挑戦しています」

ーー今回「やじろべえ。」を選んだ理由をお聞かせください。

守田「応募者の予想を上回る多さから、多様な役割を提供できる『やじろべえ。』を選びました。旅する主人公の感情を群唱で(大人数で一つの台詞を伝える手法)表現するこの演出は、大人数で行うことで一層の迫力を生み出します」

ーー一般の方々と演劇をする機会はよくあるのですか?

守田「北九州市内の高校演劇部の夏期ゼミに10年以上参加しており、他にも長野県上田市で高校生との創作活動を行ったこともあります。その他にも中学生や年配の方との創作経験もあり、比較的一般の方と活動する機会が多いです」

ーープロと一般の方々との創作活動での大きな違いは何ですか?

守田「長年演劇に携わっている方は経験に裏打ちされたことをやりますが、一般の方は突飛なアイデアを持ち込むことが多いです。演劇に携わっている人の妙な常識にとらわれてないというのが新鮮で楽しいです」

ーー一般の方とお芝居を作る際に最も心がけていることを教えてください。

守田「演劇に対するイメージを多少皆さんお持ちだと思うんです。劇=セリフを覚えてそれを発表すること、という印象ではないでしょうか。それは間違いではありませんが、演劇ってもっと自由ですし、豊かな発想でいろんなことを体験できるものだと僕は思っているので、突飛なアイデアが出てきてもそれを否定せずに受け入れ、さらに発展させようとしています。みんなの発想が活発になるような言葉の投げかけを心がけていて、演劇に対する固定観念にとらわれないようにしています」

ーーお芝居の内容も当初守田さんがイメージしていたものと変化しましたか?

守田「はい。変わってきています。これまでの上演経験を踏まえた「説明書」通りに行っても、それ以上のものにはならないと感じています。自分の中の必要な材料は手放さず、みんなの新しい材料を取り入れて大きな作品にすることが、今回のメンバーでの創作の意義だと感じています」

ーー出演者の年齢の幅広さによる難しさを感じていますか?

守田「出演者には、僕よりも先輩の方から大学生や高校生までいるので、コミュニケーションに難しさがあるようです。年齢や性別で分かれてしまうことが悪いとは思いませんが、なるべくいろんな人と交流してほしいと思っているので、稽古のときのチーム分けを工夫して、作品作りをする上での共通言語が増えていけばいいなと思っています」

ーー逆に、年齢差による面白さや期待感もありますか?

守田「作品の中に小学生の頃を描いたシーンがあるのですが、その冒頭で昔遊びみたいなことができないかなと思って、小学校時代に一番好きだった遊びを出演者のみなさんと共有しています。今日の稽古ではゴム飛びをやる予定です。
僕は普段ワークショップをしながら作品を作ることが多いのですが、今回のように幅広い世代が集まると、みんなの発想や持っている思い出の数が格段に多くなるので、それがこのチームの面白さであり強みです」

ーー作品の見どころと記事をお読みの方に一言お願いします。

守田「どの世代の方に見ていただいても、琴線に触れるような一瞬が散りばめられていると思っているので、舞台を見ながら懐かしい気持ちになってもらえるんじゃないでしょうか。大切なものを感じてもらう30分にしたいので、ぜひ劇場に足を運んでください!」

キタゲキ劇団「もやもや 2 週間」 「やじろべえ。」

作・演出

「もやもや 2 週間」:泊篤志

「やじろべえ。」:守田慎之介

出演

「もやもや 2 週間」
アコさん、伊藤圭司、内山郁子、岡崎恵子、下野章江(劇団ひまわり)、田崎由華、濱田いずみ、平嶋晴美、福澤康仁、星乃静月、森永裕美子、山口なお、山本晃子、りゅうちゃん/木村健二(飛ぶ劇場)

「やじろべえ。」
海上尚美、梅屋敷颯哉、Kanoco、Kisato、竹森新紗、中川洋一、橋本幸孝、松本篤志、本村彩乃、森山直子、山根恵、山脇純子、吉原亜海/吉田砂織(演劇関係いすと校舎)

公演詳細

日程

2024年2月17日(土)13:30/17:00、18日(日)13:30
※18日分前売りの販売は終了しています。

会場

J:COM北九州芸術劇場 小劇場

〒803-0812 福岡県北九州市小倉北区室町1丁目1−1−11

料金

日時指定・全席自由

一般:2000円
ユース:1000円(25歳以下、要身分証提示)

※未就学児入場不可

チケット

【北九州芸術劇場】
オンラインチケット 北九州芸術劇場 HP
窓口:リバーウォーク北九州 5 階 Q station 内(平日 11:00 〜18:00 、土日祝 10:00 〜18:00)
電話:093-562-8435(12 :00 〜17 :00/土日祝を除く)

【響ホール】
事務室(9:00 〜17 :00)

お問い合わせ

J:COM北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655(10:00~18:00)

備考

企画・製作/北九州芸術劇場

主催/(公財)北九州市芸術文化振興財団
共催/北九州市

キタゲキ劇団「もやもや 2 週間」 「やじろべえ。」