「海猿」「MOZU」など多くの映画作品を北九州市内で撮影 羽住英一郎監督インタビュー

提供:北九州市市民文化スポーツ局

2023年11月11日(土)、北九州市立中央図書館(北九州市小倉北区)で、「市制60周年記念図書館まつり」と「北九州国際映画祭」とのコラボ企画として、映画監督羽住英一郎氏のスペシャルトークショー「本と映画と北九州」が開催されました。

羽住監督はこれまでに『海猿』『MOZU』」など10本の映画作品を北九州市内で撮影しており、北九州市文化大使も務めるなど、市と深い縁を持つ映画監督です。この日は応募総数282人から抽選で選ばれた120人が来場し、会場は開演前から熱気に包まれていました。

トークショーは定刻の15時にスタート。北九州市立中央図書館長からのあいさつの後、「羽住監督を歓迎し、一言お礼を申し上げたい」と武内和久北九州市長が登場しました。

その後、羽住監督が登場。武内市長から花束を受け取りました。

武内市長は「羽住監督には、大ヒットした『海猿』シリーズや綾瀬はるかさん主演の『おっぱいバレー』、大規模アクションシーンが話題となった「MOZU」、そして、昨年公開された橋本環奈さん主演の『カラダ探し』など、これまでに10本もの映画を北九州市で撮影していただいています。

そして、羽住監督とともに日本では実現不可能といわれるようなハードな撮影にチャレンジする中で、北九州フィルム・コミッションも成長してきました。

多くの市民がエキストラやボランティアスタッフとして羽住監督の撮影に参加したことで、市民の撮影に対する理解も深まり、映画関係者からは“日本一”と評されるほど撮影しやすいまちになりました。まさに羽住監督なくして、“映画のまち北九州”はありえませんでした」とあいさつ。

そして、最後に武内市長が「ぜひ次回作も北九州市で!」とお願いしたところ、会場からは大きな拍手が。羽住監督からも「分かりました」と力強く約束していただきました。

提供:北九州市市民文化スポーツ局

そしてトークショー本編がスタート。まずは羽住監督がこれまでに北九州で撮影した映画の予告編を流しながら、思い出話や秘話を交えて作品を紹介しました。

続いて、この日のテーマ「本と映画と北九州」に合わせて「本」に関する話題が展開されました。

羽住監督は幼少期の夢が映画監督ではなく小説家であったことを明かしました。土曜の夜に学校の図書室で借りてきた本を遅くまで読んでいたそうです。お気に入りは江戸川乱歩の少年探偵シリーズ(ポプラ社)で、読みながら感じる「ワクワク感」を自分で作って人に見せたいと考え、小説家を目指し始めたといいます。小学生から中学生の間、冒険小説や推理小説に触れながら、自分で小説を書いていたとも述べました。「青春時代に印象に残る一冊は?」という質問には、太宰治の短編集「晩年」を挙げました。

映画監督を目指すようになったきっかけは、中学2年生の時に観たミステリー映画『第三の男』で、あるシーンに触れたことだったと羽住監督は振り返りました。ストーリーや音楽、芝居、ライティングなどで表現される映画に出会い、「自分がやりたいのはこれだ」と感じたそうです。

羽住監督が特に印象深い北九州市での撮影として挙げたのは、『おっぱいバレー』での萩原(八幡西区)での撮影です。萩原で街なかを大封鎖してロケを行うにあたっては、住民の方や商店街の方に多大なるご迷惑をかけてしまうため、監督自ら萩原に出向いて説明とお願いに行ったそうです。監督の説明が進むにつれ、商店街の人々も「面白そうだしやってみようよ」という雰囲気に変わっていったことが印象的だったと振り返りました。

羽住監督は今後も北九州市での撮影について「これまでに北九州市内のさまざまな場所を見てきたので、もう知らない場所はないだろうと思いながらいつも訪れていますが、毎回『まだこんなところがあったんだ』と新しい発見があります。きっとまだ知らない場所がたくさんあると思うので、ぜひまた北九州市で撮影したいと思います」と語りました。

また、映画化したい作品として、北九州を舞台にした小説「ぐるぐる猿と歌う鳥」を挙げました。「北九州のロケ地が思い浮かぶので、いつか実現したい」と羽住監督は話しました。

最後に、羽住監督に「北九州市はどんな街ですか?」という質問がされました。

「『ホーム』のような場所です。北九州で映画を撮影する時には、うまくいかない気がしない。そんな感覚を持てる街です」と羽住監督は答え、会場から大きな拍手が沸き起こりました。

約1時間のトークショーが終了した後、羽住監督にお時間をいただきインタビューを行いました。

ーー北九州でロケを行うようになったきっかけをお聞かせください

2002年に放送された、中山美穂さん主演の月9ドラマ「ホーム&アウェイ」のときに初めて監督として北九州市に訪れました。
連続ドラマのため撮影の期間が短く、1日のロケハンで撮影場所を決めなければなりませんでした。そのときに、北九州フィルム・コミッションが素晴らしいスピード感で協力してくれました。東京からわざわざ来て撮影するに値する景色もたくさんあり、北九州は普通の都市とは異なると感じ、そのことが北九州市に来るきっかけになりました。

ーー北九州市に対してはどのような印象をお持ちでしょうか?

助監督のときに初めて北九州市に来ましたが、まだ路面電車が走っている時代でした。その時は「血の気の多そうな街だなあ」という印象でした(笑)

北九州市の街自体には、いろんな景色があると感じています。僕はもの作りの片鱗がたくさん見える街の景色がすごく好きなんです。

「OVER DRIVE」はメカニック達の話だったので、工場を背景にラリーカーを走らせましたし、「おっぱいバレー」で主人公の美香子先生が子供との約束を校長に咎められて打ちひしがれて帰宅するシーンでは、「工場でものを作って煙突から煙が出るのは当たり前、子どもを育てるときにも何かひずみが出るのは当然のことだ」という思いを込めて、煙突をバックに歩かせました。

ーー北九州の「人」に関してはいかがでしょうか?

本来、撮影隊から見ると都内近郊で撮影をした方がお金が掛からないんです。遠くで撮影すると、交通費や宿泊費もかかります。そういう意味では、北九州まで来るのってすごくカロリーが必要なんですよね。

北九州空港は深夜まで飛行機が飛んでいるので、夜7時ぐらいに撮影が終われば、忙しいキャストでも翌朝の東京での生放送に出ることができます。東京から始発便で来れば、午前10時ぐらいにはメイクを済ませて、午前中のうちに撮影を始められます。高速道路も発達していて移動がスムーズなどいろんなメリットがあるんですが、やはり北九州市で撮影をする一番の理由は「人」なんですよね。

北九州には責任感のある人が多いと感じています。責任を負わないためには、何事も「やらない」のが一番なのに、北九州の人たちは、撮影への協力というある意味面倒なことを気持ちよく請け負ってくれます。撮影に参加してくれるボランティアの方々のテンションも高く、一緒に楽しんでより良い映画を作れるという点が一番大きいですね。

エンターテイメント映画を作るにあたっては、作る方が楽しまないと見てくださるお客さんも楽しめないだろうと思っています。なので、僕たちは楽しみながら撮影をしているんですが、同じように、北九州の人たちも楽しみながら参加してくれていると肌で感じています。

ーー北九州にお越しになったときはどんなものを食べていますか?

しょっちゅう北九州で宿泊して食べたり飲んだりしてるんで、行きつけのお店はたくさんありますね(笑)
ロケハンで来るときはあまり時間もなくて、駐車場に車を停めてすぐ食事することのできる『資さんうどん』に行くことが多いです。

ーー監督から見て北九州の魅力はどんなところですか?

映画を作るときに、企画の段階から北九州での撮影を想定するとスケールが大きくなりますし、きっとこの映画がうまくいくだろうなという思いにさせてくれる街です。いつ来ても皆さんがいつも温かく迎えてくれ、楽しんで撮影に参加してくれる、その安心感が大きな魅力だと感じています。

僕は北九州出身ではありませんが、北九州という街を「ホーム」だと思っていて、中途半端なものは作れないぞという気持ちで、いつも撮影に臨んでいます。

ーーありがとうございました。次回の作品を期待しています!