昨シーズンはテゲバジャーロ宮崎で14得点と活躍し、今シーズンからギラヴァンツ北九州に加入した岡田優希選手。エースナンバーの背番号10を背負い、開幕2戦目のホーム讃岐戦では2得点を挙げるなど期待通りの活躍を見せています。早くもプレーで北九州のファン・サポーターの心をつかんだ岡田選手ですが、ピッチ外ではサッカー専門のネットメディアでサッカー関係の書評を連載し、執筆活動でも才能を発揮しています。まさに文武両道の岡田選手に、今回はピッチでのプレーを少し離れ、執筆に関する話を聞きました。
ーーサッカー専門のウェブメディアで書評を書くようになったきっかけは?
こういう話があるけどやってみる?と紹介していただいたのがきっかけです。去年の4月くらいに話をいただいて、7月の末に(株)カンゼンさんの「フットボールチャンネル」で最初の書評を出しました。僕のペースでいいですよというカンゼンさんのご厚意で、不定期で連載をやらせていただいています。
昔から本を読むのは好きでしたし、あとは大学の入試で小論文に取り組んだというのもあったので、書くのを苦にすることはなかったです。でも実際に書評というのを書いたことはなかったですし、今の自分の立場で何をどうやって伝えたらいいんだろう?何を求められているんだろう?というのはすごく考えました。
ーーとても整理された文章で、紹介された本を実際に読んでみたくなる書評です。学生時代もレポートなどをしっかり書いていたことが伺われますが、卒論は何をテーマにしましたか?
卒論は日本人のスポーツ観の変遷について調べました。ちょうどハリルホジッチ(元サッカー日本代表監督)が解任されたり、レスリングや相撲などでパワハラとかの問題が話題に上ったり、僕が卒論書いた年の18年はちょうどそういうパワハラやモラハラとかが閉鎖的なコミュニティーの中で出ていた時で。「それって何でだろう?」と感じたこと、僕が大学で感じたもの、閉鎖的なコミュニティーで旧態依然とした価値観の中で物事が進んでいる感じがあったこと。でも、例えばパワハラが告発とかで表に出てくることによって「日本人のスポーツ観が以前とは変わって来たのではないか?」と思ったのをきっかけに色々調べていって。スポーツが日本に輸入された時「スポーツ」が「体育」という教育ベースになり、そこから時代の流れで少しずつ日本人の中でもスポーツの楽しみ方だったり、価値観が変わってきている渦中なのではないかと。そういうことを書きました。
ーー書評を書く上で意識していることはありますか?
現役のサッカー選手としての視点でより多く対象の本を読んでいただけるようにという思いで書いています。もちろん読んで感じたものはあるんですけど、コラムというよりも、あくまでも本の紹介として書くこと。僕はプロサッカー選手で、ピッチでプレーすることを仕事にしているので、そこに自分の主張や考えを書くのは違うフィールドなのかなと。そこの線引きはしっかりするようにしています。自分の経験を書いたりこういう風に感じたということは書いてるんですけど、あくまでその本を広めるためという思いで書いています。
ーープライベートではどういった本を読んでいますか?
その時気になった物を読んでいます。ヨーロッパの中世キリスト教の話の本を読んだり、経済、お金、消費税とか税金の本もあります。あと最近だったら佐藤満春さんっていう僕が好きな芸人さんのエッセイ「スターにはなれませんでしたが」とか、自分のバイブルになるような感じで読んでましたし、ジャンルを問わず気になった物とかこれいいよっておすすめされた本を読んでいます。
ーー最後に、北九州に来て約4か月ですが、今の印象はいかがでしょうか?
月並みな話になるんですけど、やんちゃな人もいて活気のあるまちですし、歴史的にも労働者の人が多いみたいなこともあり血気盛んなまちという印象があったんですけど、僕が住んでいる所とかすごい落ち着いた部分もあって、外から見た印象と住みやすさが全然違いましたね。栄えてるところもあれば自然が多い所もあるし、住んでてすごく楽しめるまちだなと思います。僕の地元の川崎とかだと自然がここまでなくて。自然と都会が融合されてる感じが住みやすいなあと実感しました。
クレバーでしっかりとした受け答えと端正なルックスで好感度が高く、これまで所属してきたチームのファンやサポーター達からは王子と呼ばれてきた岡田選手ですが、その凛とした雰囲気や果敢にゴールに向かう姿は若武者のようでもあります。
今季J2昇格を掲げながらも現在厳しい状況のギラヴァンツ北九州。岡田選手の活躍と共に、チームにはここからの巻き返しが期待されます。
岡田優希(おかだ・ゆうき)
1996年5月13日生まれ。神奈川県川崎市出身。U12からU18まで川崎フロンターレのアカデミーに所属。早稲田大学では4年次の2018年に関東大学リーグ1部で優勝。得点王受賞。卒業後に町田ゼルビアに入団。22年はテゲバジャーロ宮崎でプレーし、今季ギラヴァンツ北九州に移籍加入。