「走りで自分を表現する」 ギラヴァンツ北九州 山脇樺織選手インタビュー

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今シーズン開幕以来、リーグ戦で苦しい状況が続いているギラヴァンツ北九州ですが、天皇杯1回戦ではJ3で首位争い中の鹿児島ユナイテッドFCをPK戦で破り2回戦に進出。J2ファジアーノ岡山に敗れはしたものの、次に繋がる戦いを見せてリーグ戦でも調子を上げてきています。そんなチームの中、次々と頭角を現す若い選手の一人が今季入団の大卒ルーキー・山脇樺織選手。

ボールを持つと一気にサイドを駆け上がり、相手ディフェンスに絶対負けないという気持ちを走る姿で表現し、チャンスを作る姿が印象的です。

一方、ピッチ外ではふんわりとした雰囲気と高いコミュニケーション能力でギャップを感じさせる山脇選手に、様々な「好きなもの」を中心に話を聞きました。

■サッカー選手になりたいと思ったきっかけは?

子供の頃からずっとサッカー選手になりたいと思ってましたが、他にも色んな夢はありました。「宇宙兄弟」読んで、宇宙飛行士になりたいとか。影響されやすいんで(笑)好奇心旺盛な方なんで、何かやってみたいと思ったら何でもやっちゃうし。色んなものに興味を持つ方なのかなと思いますね。そういう親の教育だったというのもあります。

例えば、上野の美術館でクロード・モネ展やっていて、その展示を親と見に行って、その後今度は絵具を持って自然を写生しに行こうと親が誘ってくれて、姉と一緒に行ったり。僕が面白いって思えるようなものを沢山見つけてくれ、環境も含めて色んな世界を見せてくれる。科学博物館や、お台場の未来館とかに行ったり。夏休みの自由研究みたいなことを一年中親がやらせてくれました。

小学生の頃、サッカーは基本土日しかなかったので、それ以外は学校終わって校庭開放で一人でボール蹴るぐらいでした。後の時間は親とどこか行ったりしてましたね。

サッカーは僕が好きでやらせてもらった感じです。親から言われたわけじゃないですし、だからやめようと思えばいつでもやめられたと思うんですけど、ただ、好きだし、上手くなっていくのが楽しかったのでサッカー続けてきたというのがあって。小さい頃からサッカー選手なりたいというのがありましたから。

幼稚園の時に一人の男の子が5号球を持っていて。幼稚園の子にしては5号球大きいんですけど(笑)ボール蹴ろうって一緒に始めたのがきっかけで、それが楽しくて。小学校に上がるタイミングで地元のサッカー少年団に入って、そこからサッカー楽しくなっていってという感じです。

■クラブ公式YouTubeで、好きな映画に「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」を挙げていて驚いたのですが、かなり多くの映画を見ているなと感じました。

基本的に、映画は映画を作るバックボーンとか、その映画が与える影響や社会的な問題提起とかがどういうものかを探りながら見るのが好きです。

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」だったら、9.11を直接的にはあまり触れずに、でもちゃんと災害被害者を扱ってて、その中で必死にお母さんや息子や周りの人が生きていくというのが見てて単純に感動しますし面白い。あれは号泣しちゃいます。

ああいう子供心って忘れちゃダメだなと思って。ダメっていうか、自分の中でも元々持っていたものなので。そういうのを思い出したい時やそういう気持ちに持っていきたい時に何回も見ています。サブスクにも出てますし、もう4,5回は見てます。内容は知ってても、映画ってその時見る心情によって見方が変わるじゃないですか。

日本映画だったらマイベスト・ワン、ありました。「夜は短し歩けよ乙女」。めちゃくちゃ面白いです。僕、原作の森見登美彦の本が好きなんで。

中村佑介さんっていうイラストレーター、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)のジャケットの絵を描いてる方ですけど、その方のアニメで本当に面白い。あれ京都舞台なんですけど、大学(同志社大学)で京都に行く前にあれを見てて、そこから京都に行ってまちを歩いたり出来てよかったです。

■好きな俳優はいますか?

俳優だと、「ものすごくうるさくて~」にも出ているトム・ハンクスはどの作品でも外れないですけど、あとティモシー・シャラメが好きですね。出てる映画はだいたい見てます。
日本人だったら夏帆さん、満島ひかりさんとか。外れに出ないじゃないですか。演技がすごい方々ですよね。あとは染谷将太さんや池松壮亮さんはめっちゃ見ましたね。「MOZU」とか特に面白かったですね。演技に引き込まれます。

■たくさん本も読まれている中で、おすすめの本はありますか?

さっきの映画の話の森見登美彦で、「ペンギン・ハイウェイ」も大好きです。

読書は完全に母の影響で。母がブックコンシェルジュをやっているんです。昔から絵本とかよく読み聞かせしてもらってて、本に触れる機会が多くて。そこからずっと本の虫って言えるかは分からないですけど、そのくらい読んでいます。家は本だらけなんで。

ゲームとかは目が悪くなるからって買ってもらってなくて。その分サッカーするか本読むか。姉が持ってる面白そうな本も読んだり。今も母から本が送られてくることありますし、自分でもちょっと時間があるなと思ったら本屋に行ったり。でも最近は家にある本も読めてないのが多いんで、積読みたいになってますけど(笑)

■映画や読書もそうだと思いますが、他にオフのリフレッシュ方法はありますか?

この世界に入って、プロサッカー選手になってからは日常的なリフレッシュ方法みたいなのを探してて。あんまりオフの時間を作るのが得意じゃなくなってきちゃって。

サッカー見るのもオフと言えばオフなんですが、ピッチ離れてもサッカーのこと考える時間が多くなって、それでパンクしちゃう時もあったので、今はちょっとオフのリフレッシュの仕方を模索中というか。

本読んだり映画見るというのもあるんですが、それ以外に心が落ち着くとか休まることを探し中ですね。好きなんでオフの時もサッカーの映像見るし、ご飯もサッカー見ながら食べたりするし、嫌じゃないんですけど、ちょっと心休める時も必要なのかなと思うので。

もちろんカフェ巡りとかやったりはするんですけど、エネルギー使う時もあるし、オフをアクティブにっていうのはちょっと厳しいですね。寝ることが多いです(笑)大谷翔平さんが休養日はよく寝てるって言ってて、量より質というのもありますけど、大谷翔平さんはまず量だって言ってたんで。リフレッシュは寝ることです(笑)

最近は本当にオンオフの切り替えが出来ないです。悩みではないけど、リフレッシュ法を探し中です。募集中です(笑)

■北九州に来て約半年ですが、今感じている北九州のいい所と、大学時代を過ごした京都、育った場所の東京のおすすめの場所を教えてください。

北九州は、まず海が近いのがいいです。新門司に行く時も通るし、ミクスタの横とかずっと。山も見えるし、かといって田舎というわけではなくて、自然との共存というか。

あとは美味しいお店が多いですね。確かに前評判がマイナススタートな部分はありますけど(笑)逆に悪い所は探しにいかないとないですね。住みやすいですめちゃくちゃ。こっちだと変に焦る気持ちが出てこないというか。

東京だとせわしない人が多いんですよ。僕自身がせっかちになったのもそのせいです(笑)みんな満員電車に詰め込まれるし、サラリーマンがパソコン開きながら電話してるとか。みんな歩くペースも早いですし。

今『競争』という環境の中にいるからこそ、北九州の生活で心は休まるなと。豊かな時間が流れてるというのは京都に行った時も感じたし、北九州に来てからも感じますね。

東京は何でも揃ってますけどね。コンビニも何軒も繋がってあるとか。こっちだとちょっと歩いたり車で移動したらそこに何かがある。いい意味で集まり過ぎてない。僕的にはその集まり過ぎてないのがいいと思います。どこかに向かってる道中に発見とかもあるんで。その余白みたいなのがあるところが心にもいいのかなって。集まり過ぎてないのが良さかなと思います。

京都のおすすめの場所は多いです。鴨川から30秒くらいのところに住んでたんですが、京都は歴史的に元々長屋暮らしの方が多かったじゃないですか。そうなるとお風呂って銭湯で、京都は銭湯が多いらしくて。銭湯巡りみたいなことを結構やってました。一人の時もあれば、大学の先輩や後輩も一緒だったり。京都の銭湯は一軒一軒味があってめちゃくちゃいいですね。昔ながらの番頭さんが真ん中にいて、両側にお風呂が分かれてて。富士山は描いてなかったですけど(笑)牛乳を番頭さんに頼んで買って飲んでみたり。昔のアニメとか映画に出てきそうなあの世界。

鴨川は行くだけで寝そべったりも出来るし、勉強も出来るし本も読める。僕、何も考えずに時の流れを感じるのが好きなんで。逆にそこで色々考えが生まれるというか、空想したりとか。余計なこと考えずに整理できる。大文字が後ろに見えますし、あそこの景色が僕はすごく好きです。

四条大橋くらいまで行くとちょっと人が多くて、等間隔カップルとかいるんであれなんですけど(笑)鴨川デルタとか、出町柳も風情たっぷりですよね。
あと中学の修学旅行以来で行った仁和寺。コロナあったじゃないですか。あの時東京にあんまり帰らずに京都で過ごしてたんです。部活もなくなった時は体動かさなきゃいけないし、ランニングをしていて。その時は神社仏閣目指して「今日はどこまで行くぞ」と決めて走ったりしてました。

金閣寺も銀閣寺も行って、その中で仁和寺に行った時は中学で行った時より風情を感じて。仁和寺って僕の中では「徒然草」の「仁和寺にある法師」のイメージだったんですけど、改めて行くとすごく奥まで境内が続いてて、昔の人がこれ造ったんだ、こういうところで生活してたんだっていうのを感じ取ったり。

紅葉の時期は高台寺と永観堂は外せないですね。めっちゃ並びますけど。

ずっと住んでた場所だから、逆に東京のおすすめの場所って難しいですね。代官山が一番好きです。ヒルサイドテラスとか蔦屋書店とか帰ったら絶対行きます。

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■最後に、ご自身のプレーでのPRポイントをお願いします。

今年、最初から言っている「走りで自分を表現する」というのが一番の特徴です。前への推進力もそうですし、仲間のプレーを活かすためにも走りますし、自分の走力、スピードを生かすためにも走っているので、そこは見てもらいたいなと思っています。あとは、今はまだ出来ていないですけど、クロスでアシストをとるというところはもっと増やしていきますし、見てもらいたいなと思います。

山脇樺織(やまわき・かおる)
2000年12月17日生まれ。東京都出身。2017年に関東第一高校で全国高校サッカー選手権大会出場。同志社大学では2022年の天皇杯2回戦で名古屋グランパスと対戦した。卒業後の今季よりギラヴァンツ北九州に加入。2023年4月15日のFC琉球戦でJリーグデビュー。