ギラヴァンツ北九州3連勝ならず 新監督を迎えた高知に0-2と敗戦

9月27日(土)、ギラヴァンツ北九州はホームのミクニワールドスタジアム北九州で高知ユナイテッドSCに0-2で敗れた。勝てば今季初の3連勝だったが、高知のハードワークに主導権を握れず、勢いにストップがかかった。

ゴール前で攻め込むシーンを作るも…

連勝中で、しかも前節のFC大阪戦では3-0と、たびたび「得点力不足」を指摘されたとは思えないほどの快勝を見せたギラヴァンツ北九州。一方、ピッチ外の出来事がニュースをにぎわし、その影響もあってか6連敗中の高知ユナイテッドSC。対照的な両チームの対戦となった。

試合の4日前の23日、高知の新監督に、欧州での指導経験豊富な白石尚久氏が就任したことが発表された。

https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20250924-OYO1T50076/

試合までの期間は5日間。通常なら新しい戦術を浸透させるには到底足りない時間だ。しかし白石監督は、この短期間で高知に驚くべき変化をもたらした。

それでも、チームとしての勢いはギラヴァンツに分があると思われたが、結果は0-2での敗戦。白石新監督にJ初勝利を献上する結果となった。

試合後の会見で白石監督が明かしたのは、緻密なデータ分析に基づいた戦術構築だった。「データ上北九州の選手はハイスピードランの量が圧倒的に多いです。ただし後ろに戻るハイスピードランは圧倒的に低い」と分析。相手の特徴を的確に把握し、それを逆手に取り「罠にかけました」と話した。

選手には、就任後「毎日サッカー楽しんでるか」と問いかけ続け、そして試合前には「自分のことを信じてプレーすること」「挑戦すること」を伝えたという。自らも初陣への気持ちを問われると「楽しもうかなと」と答えた。

この二つの要素—データに基づいた戦術的準備と、選手に「自分を信じて」「挑戦しろ」と語りかける指導—が見事に機能した結果が、6連敗を止める勝利だった。

試合後、白石監督は試合をこう総括した。 「選手が自らを信じてハードワークしてくれました。自分のことを信じて、最後まで諦めずにピッチで競争してくれたというのは、我々のチームにとって大きな一歩だと思います」

試合後の白石監督

そして最も印象的だったのは、この言葉だった。 「試合が終わった後に選手が開口一番に『楽しかった』と。そのときが一番嬉しかったですね」

わずか5日間で、新監督がチームに与えた変化は予想以上だった。データ分析による戦術的準備と選手の心を軽くするアプローチ。この組み合わせが、サッカーの面白さを改めて教えてくれた。

一方、ギラヴァンツの増本監督は悔しさを隠さなかった。 「前節は非常に良いゲームをすることができましたが、今節はこのような結果になってしまい、非常に残念に思っています。試合前から『前に前に出て行きたい』『相手がキック&ラッシュのチームであっても蹴らせないぐらい前に出て行きたい』と選手たちに話していました。前節でもその姿勢を貫いていたのですが、今節はなかなかそれを実行することができませんでした。準備していた戦術が選手たちにしっかりと落とし込めていなかったのかもしれません。これは僕の反省点だと思っています」

試合後の増本監督

増本監督は、試合後の会見で必ずファン、サポーターに向けてのメッセージを発信する。この日は「こういうゲーム内容になってしまうと、観ている皆さんに躍動感やわくわくするような気持ちをお見せすることができません。こうしたゲームをもうしないよう、負けた後はいつも感じることですが、また次に向けてしっかりと反省し、取り組んでいきたいと思っています」と話し、次戦での逆襲を誓った。

髙橋大悟選手

次戦は10月5日(日)、カンセキスタジアムとちぎで、栃木SCと対戦する。

リーグ戦も残り9試合。J2昇格プレーオフ圏内に進むためには1つでも多く勝ち点を積み上げる必要がある。