ギラヴァンツ北九州 ホーム最終戦1-2で惜敗もJリーグへの残留確定

【ギラヴァンツ北九州1-2福島ユナイテッドFC(11月26日)】

ギラヴァンツ北九州は26日、福島ユナイテッドFCをミクニワールドスタジアム北九州に迎え第37節を戦いましたが、1-2で敗れました。なお、同日開催されたJFL(日本フットボールリーグ)の結果により、来季のJリーグ残留が確定しました。

ホーム最終戦ということで5,000人近くのファン・サポーターがミクスタへ

ギラヴァンツ北九州にとっては、大きく運命が変わる可能性のあった一日でした。

今季のJ3リーグ最下位は確定していますが、同日のJFLの試合結果次第で、JFL2位チームとの入れ替え戦が行われる可能性がまだ残っていました。

JFL2位の可能性を残している、J3ライセンス保有のチームはレイラック滋賀とラインメール青森の2チーム。レイラック滋賀が2位となるには勝利が条件、ラインメール青森が2位となるには、この日の試合に勝利したうえで、滋賀、ソニー仙台の両チームが引き分け以下の結果となることが必要でした。

JFLの試合は13時キックオフ。早々にレイラック滋賀が2点を先制したことで記者間で入れ替え戦の条件を確認しあうなど、記者控室もざわついていました。

ミクニワールドスタジアム北九州は14時03分キックオフ。

この日は福島ユナイテッドFCを迎えてのホーム最終戦でしたが、ミクスタには主催者発表で4,799人のファン、サポーターが詰め掛けました。

バックスタンドもいつも以上に埋まっていました

ギラヴァンツは前半、高昇辰(#29)が何度となくシュートを放つも、相手キーパーに阻まれ得点を奪うことができませんでした。一進一退の攻防が続く中、前半35分に福島に先制点を献上してしまいます。

前半積極的に福島ゴールを脅かした高昇辰

0-1でハーフタイムに突入。「残留はハーフタイムの間にスタッフから聞きました」と試合後に岡田優希(#10)が振り返ったように、滋賀が試合終了間際に同点に追いつかれ引き分けで終了、青森も敗戦したことからこの時点でギラヴァンツ北九州の来季Jリーグ残留が確定しました。

あとはホーム最終戦で有終の美を飾るだけ、といきたいところですが、後半9分に2点目を奪われてしまいます。

しかし大勢のサポーターの声援を背にしたギラヴァンツはここで踏ん張ります。後半17分、前川大河(#18)からのパスを受けた途中出場の中山雄希(#18)が左脚を振りぬき1点を返します。

得点を決めた直後の中山雄希
中山雄希は今季2ゴール目でした

その後も再三チャンスを作り同点を狙うギラヴァンツですが、福島の守りにも阻まれ追加点を挙げることができず、そのまま試合が終了。惜しくもホーム最終戦を勝利で飾ることはできませんでした。

試合後にはセレモニーが行われ、ギラヴァンツ北九州の石田真一社長、今季限りで退任する小林伸二監督兼スポーツダイレクター、そしてキャプテンの夛田凌輔選手が挨拶を行いました。

ギラヴァンツ北九州の石田真一社長

石田社長は関係者への感謝の気持ちを述べた後「今シーズンはなかなか皆様の期待に沿うような結果を出せず、本当に申し訳ないと思っております。監督、コーチ、選手、そしてスタッフ全員が各々の持ち場で役割を全うし、全力でその職務に取り組んでいきました。しかしながら、代表である私の力不足でこのような結果を招いてしまいましたこと、本当に申し訳なく思っています。この苦しい経験を無駄にすることなく、来季に向けて改めてクラブが成長軌道に乗るように取り組んでまいります」と来季への意気込みを語りました。

小林伸二監督兼スポーツダイレクター

小林監督兼スポーツダイレクターは「難しい局面で監督に復帰しましたが結果を出せると思っていました。外部から見たときの評価とピッチで見たとき評価が一致せずに苦労しました」と話した後、5年間の活動を通して感じたことを率直に語り始めました。

「5年前に来た選手が今は我々のクラブに1人しかいないんです。このJリーグの移籍の早さに我々は、なかなかついて行けてないんです。

北九州にはいい選手が育つ土壌があり、このピッチでプレーしたいっていう選手は本当にたくさんいます。皆さんの声援で本当に選手は伸びています。ですが、選手を引き留めることができないんです。もっといろんな部分でクラブが魅力を作れるようにならなくちゃいけない。それは、選手も我々スタッフも同じだと思うんですね。うれしいことに、北九州を出ていった選手は活躍しています。ですが、それだけでは地域に根ざしたものになるんだろうか、と感じています。いろんなスポンサーの方に声援してもらって、やっと選手の名前を憶えてやっと好きになった選手が出ていくんですね。これをどうかして止めたい。止められないいんだったらもう一度今年みたいに、自前のチームを作ろう、と考えています。

選手は頑張ってくれてます。若い選手も伸びてます。ただ、今の北九州はチームにいる選手の年齢ではなく組織を作るのに若いんです。いろんな繋がり、いろんなもめ事があってチームはできると思うんですけど、そこがなかなかできていないんではないでしょうか。今シーズンの苦しい思いを胸にオフを過ごして、もう一度我がチームでチャレンジする選手が何人いるんでしょうか。この思いを持った選手を抱えたい、来年一緒に戦ってみたい、と思います。そうしないともう、このチームはJリーグの選手の移動の渦に巻き込まれてしまいます。ここからどうにか脱却したいですね。

この5年間で選手が変わらなかったのは初めの2年間だけで、あとの3年間は多くの選手がチームを移りました。素敵なスタジアム素敵なサポーターの前で何年もいられる選手をどうにか作っていきたい。そう思っています。

ただ、私は去ります。この5年間、すごく楽しくていろんな思い出があります。アカデミーのときの自分に『伸二さん伸二さん』って声をかけてくれる子どもたちも増えてきました。そういう選手がトップに上がったり、ジュニアユースの選手がユースに昇格したり、少しずつトップチームを支えてくれる選手が出てきたりすればいいなと思ってます。ありがたいことに私も2ヶ月前に現場に戻りました。とても刺激的で、すごく若くなったような気がします。どういう形でかわかりませんが、北九州での経験を次のステップにつなげることができれば、北九州への皆さんへの恩返しができるんではないかなと思ってます。チームが好きになるといつも去らなきゃいけないんですけど、今まで仕事をした中で一番長い5年間という仕事ができました。本当にありがとうございました。」

キャプテンの夛田凌輔選手
今日は途中出場の夛田選手

最後に夛田キャプテンが「一年間ご支援、ご声援ありがとうございました。最下位という本当にふがいない結果で、申し訳ございません。ですが、JFLの結果で何とか残留することができました。この1年、本当に苦しくてつらくて、皆さんも本当に悔しい思いをしたと思います。その思いを来シーズン、またJリーグという舞台で戦うことができるので、その思いを原動力にして、もう一度J2に復帰できるギラヴァンツにしていきたいと思うので、これからも皆さん熱いご声援よろしくお願いします」と話しました。