北九州でカウンターを極める【9】~『ドロップ缶』編~

北九州市に来たばかりで知り合いがいない、などの理由で、いわゆるソロ活を余儀なくされる機会も多々あるかと思いますが、初めてのお店に一人で入るのはなかなか勇気がいるものです。

そこで、一人で行っても馴染みやすい、一人なのに不思議とさみしくない!そんな、北九州市のカウンターのあるお店をご紹介していきたいと思います。

店主さんとおしゃべりしたり、他のお客さんと仲良くなったり。 “一人だからこそできる楽しみ方”をぜひ北九州市で極めてください。

【ドロップ缶】

最初の一歩

二度にわたる、旦過市場の火災。新鮮な食材や特産品・新旧個性的な飲食店が立ち並び、北九州市民の食を支えてきた場所だけに、心を痛めている人も多いと思います。
今回ご紹介する『ドロップ缶』は、新旦過飲食街と呼ばれていた頃から22年もの間、新旦過横丁でカフェバーを営んでいましたが、この度、こがね市場の近くに移転オープン!

モノレール香春口三萩野駅から徒歩5分ほどの、そのまままっすぐ進めばこがね市場、という場所にあります。移転先も市場の近く、というのは、長年のドロップ缶ファンの方も嬉しいのではないでしょうか?

しかも、薄れた看板には“黄金横丁”の文字。新旦過とはまた違った雰囲気ではありますが、移転前との共通点をいくつか見つけて、以前の店舗にもおじゃましたことがある私としてもなんだか安心感があります。

かわいらしいライトと、ポップなカラーで目を引くドアが目印。渋い横丁に突如現れるメルヘンチックな世界観がたまりません。いざ、潜入!

レトロ×ポップ=ドロップ缶

店内にはカウンターと、奥にテーブルがひとつ。なんだか懐かしいような、ほっとする雰囲気です。

メニューはおつまみからパスタまで揃っているので、飲みメインでも食事メインでもそのときのニーズによって使い分けできるのが嬉しい。

そしてドリンク。ドロップ缶といえばカクテル!というイメージもあるほど、果汁たっぷりのカクテルがかわいいグラスで飲めるんです。【ドロップ缶】という店名も、果汁を使ったドリンクメニューや懐かしいイメージ、そしてカラフルな色を意識していたことなどから付けたとのこと。
色とりどりのドロップ缶の中のようなカラフルなドリンクやかわいいグラスって、見ているだけでなんだか元気になれるんですよね。

ドロップ缶誕生秘話

店主さんがお店を開いたのは、24歳のとき。バイトしていたイタリアンがお店を閉めることになり、「居抜きでお店したい人いないかな?」と聞かれたのがきっかけ。そのときは「お友達で誰かいない?」というニュアンスだったそうですが、店主さんは「私がやりたい!」と思い、自ら手を挙げました。しかし、知識も経験もなく、まわりもみんな止める中でのスタート。店主さんご自身ですら、「今考えるとゾッとする」とおっしゃっていましたが(笑)、当時はやりたい!という気持ちとその若さゆえに突っ走った、とのこと。もちろんうまくいかないこともたくさんあったそうですが、だんだんお客さまがついてくれるようになり、どんどん楽しくなっていったという店主さん。「これがだめなら辞めよう」と何度も思ったそうですが、そのたびに「やっぱりお店が楽しいから辞めたくない」という思いに至り、今日までお店を続けてきました。

新旦過飲食街とのあゆみ

勢いでお店を始めた二年後、新旦過飲食街に移転。今でこそ路地や横丁がブームとなり各地に飲食街がありますが、当時の新旦過飲食街はもう少し「うらぶれていた」、と店主さん。店主さんはその雰囲気にこそ惹かれたのだそう。結果的に数年後に裏路地ブームが来てお店もお客さんも増えていったそうですが、もともとの雰囲気に惹かれていた店主さんとしては、最初は戸惑ったと言います。ですが、新旦過飲食街はかつては高級なお店が立ち並ぶような一等地だった場所。その栄華が一度失われ、そしてまた復活を果たした。ドロップ缶が新旦過飲食街に入る前からそこにあった老舗店もあり、そうやって守られてきた場所が再び活気を取り戻し、ドロップ缶もその過程の一つとして根付いていくことで、ブームもよかったな、と思えるようになったんだそうです。
そうして新旦過で22年ドロップ缶を営むうちにお店も軌道に乗り、「ぜったいにお店は辞めたくない、おばあちゃんになるまでお店をしていたい」と思うようになります。

そして新天地へ

そんな中起こってしまった旦過市場の火災。店主さんは火災の起きた翌日に、北九州市の相談窓口を訪れました。「何を相談したらいいのかもわからない」状況だったそうですが、そこで今の物件と出会います。実は、おばあちゃんになるまで続ける上で、いつかはこの辺りでお店をやりたいなぁ、と漠然と考えていた場所でもあり、予定より前倒しになってしまいましたが、すんなりと移転が決まりました。

もともと“昭和っぽさ”が好きということもあり、新天地にも新旦過のようなクラシックな雰囲気が健在。

昭和スナックを思わせる店内も素敵です。店内の内装に関しては、天井の柄が決まってから一気にイメージが決まったそう。トイレの天井も同じ花柄なのですが、新旦過時代の店舗も花柄で、それがすごく好きで気に入っていたのでしっくりきたのだそうです。
新旦過から引き続きお店を手伝っているスタッフさんも、お店を見て「新しくはなったけど変わったな、とは思わなかった」とおっしゃっていました。ドロップ缶らしさは引き継がれているようです。

新たなスタート

「新しい場所で頑張っています!」と語ってくれた店主さん。以前のお店を知っている方も違和感なく馴染める、昭和の雰囲気と心が躍るようなポップさが同居する居心地のいい場所です。もちろん初めましての人でも、そんな雰囲気が好きな「空気が合う方と出会えるのが楽しみ」とおっしゃっていました。
近所には人気の老舗も多く、新しいお店もじわじわできている黄金界隈。「ここでずーっとおばあちゃんになるまでお店をやりたい」と語る店主さんと共に、ドロップ缶もまたこの街に根付いて、愛されていくことでしょう。

店舗情報

 

北九州市小倉北区黄金1丁目4-9 山本ビル1階

営業時間/18:00~23:30オーダーストップ

定休日/日・祭日

さいごに

もちろんみんなでわいわいするのも楽しいですが、ひとりの楽しみ方は無限大!特に北九州市は人懐っこい人が多いので、店主さんもお客さんも気軽に話しかけてくれてすぐに打ち解けられる、ソロ活にはもってこいの地域です。これからもひとりで行ってもさびしくない、親しみやすいお店を紹介していきますので、お楽しみに!

協力:門司港ゲストハウスポルト

北九州でカウンターを極める




北九州でカウンターを極める~『そらあるき』編~





北九州でカウンターを極める(番外編)~『Rcafe・つばめドーナツ』編~





北九州でカウンターを極める~『アンドコーヒースタンド』編~





北九州でカウンターを極める~『epidemic』編~

連載記事 やっぱりおいしい北九州




【やっぱりおいしい北九州】 菩提樹(八幡西区)





【やっぱりおいしい北九州】 ごはん屋TAMANOYA(小倉北区)