食を通して北九州市の良さを伝える書籍「おいしい北九州」の著者、東 恭子さんが新たに開拓した飲食店を紹介する企画【やっぱりおいしい北九州】。北九州市内の“おいしい”飲食店を素敵な記事と写真で紹介します!!
家族や親せきが集まる特別の日や、職場の差し入れに「カワグチ」の大きなアップルパイが登場すると、感嘆の声と共に場が一気に盛り上がったという経験をした人も少なくないだろう。
「大きなアップルパイ」と聞くと普通は丸型のものを想像するところだが、カワグチのアップルパイは丸型ではなく長方形。そして長さが50㎝もあることから初見での視覚的インパクトは絶大だ。
そんな「大きなアップルパイの思い出」をたくさんの人に提供してきた「洋菓子のカワグチ」は、黒崎商店街に店を構える老舗である。1964年に現在の八幡東区で創業。人間でいえばもうすぐ還暦だ。スタート時は饅頭やカステラなどをメインとした和菓子店だったというのはちょっと意外である。
カワグチのアップルパイが長年に渡って愛され続けている理由は、見た目のインパクトだけでなく、味と質に定評があるからこそなのは言うまでもない。
「添加物は加えず、天然の素材ですべて手作りしています。こだわっているというか、うちは昔からずっと続けていることなので、それが普通なんです」
そう話してくれたのは川口小織さん。
よつ葉バターを使用したサクッとしたパイ生地と、ほんのりと洋酒を加えて煮込んだ国産りんごのフィリング。
パイ生地の表面はあんずジャムと、フォンダンという砂糖の衣でコーティングされており、これが甘さのアクセントになりバランスのよい味に仕上がっている。
50㎝のフルサイズのほか、ハーフサイズやカットされたものも販売されているので、少人数やひとりで食べたい場合でも大丈夫。冷蔵なら賞味期限が10日あるので、冷蔵庫に余裕があるならフルサイズで購入して見た目のインパクトも含めて楽しみたいところ。
アップルパイのほかにもバームクーヘンや焼き菓子類も手土産に人気で、クリスマスやバレンタインなど季節のイベントに合わせた商品も販売されている。ケーキ類も含め、いずれもリーズナブルな価格で揃っているのがうれしい。
最近では北九州市外からもアップルパイのイベント出店依頼も増えたが、なにぶん昔ながらの手作り。一日に作ることが出来る数が限られるので、依頼にこたえられないこともあるという。それでも商店街や黒崎駅など地域のイベントには参加するよう努めているそうだ。
「商店街と地域の皆さまがあってこそのお店なので。まちのイベントから出店をお願いされたら断るわけにはいきません」
という川口さん。地域貢献への気持ちも熱い。
「かつてと同じようなにぎわいを、というのは難しい。時代に合わせた形で街が盛り上がるよう、カワグチでも力になれればいいなと思っています」。
この日、店内で話をうかがっている短い時間内に「春の町の店の時からずっと通いよるんよ」という、カワグチのベテランと呼びたくなるような常連客が立て続けに訪れ、実に慣れた様子で買い物をしていった。
ちょっとした歴史を感じるエピソードを聞きながら、これが老舗というものなのだなと実感する。そしてその場にいるみんなから思わず笑みがこぼれる。そんなあたたかさが店内にあふれる心地の良いひと時だった。
主なメニュー(税込み)
アップルパイフルサイズ(50㎝)進物用箱入り 3800円
アップルパイ(ハーフ) 進物用箱入り 1900円 通常箱入り 1750円
和三盆アップルパイ 4000円(※要予約)
オールドファッションドバームLサイズ 進物箱入り 1950円 通常箱入り 1730円
オレンジケーキ(ホール) 1390円 (カット)180円
クッキー各種 450円
営業時間
(月~土)10:00~19:00 (祝日)10:00~18:00
定休日
日曜
アクセス
住所:福岡県北九州市八幡西区熊手1-1-29
TEL:093-642-2828
公式ホームぺージ
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