濃密な「起業体験」ができるスタートアップ体験イベント・Startup Weekend 北九州 vol.8 開催レポート

2022年6月24日(金)~26日(日)の3日間、小倉駅新幹線口・AIMビル6階のCOMPASS小倉で、起業体験イベント「Startup Weekend 北九州 vol.8」が開催されました。

今回の参加者は計48人。社会人が37名、学生が11名と前回の「Startup Weekend 北九州 vol.7」同様に幅広い属性、年代の方が参加していました。初めて参加したという方が7割以上を占め、本イベントへの関心の高さが伺えました。

参加する理由もさまざまです。

「前回(第7回)に参加して、自分のITリテラシーの低さに気づかされましたが、イベント自体は面白かったのでまた参加しました」と話すのは、参加者のひとり、「まっすー」さん。初参加の「よへ」さんは「知人が何度も参加しているので内容を知りたいと思いました」という理由で参加したそうです。

また、自分の仕事や学んでいることに関しての課題解決を形にしようと参加する方も少なくありません。
病院に勤務する「にっちゃん」さんは、職場で感じる課題を解決するアイデアを、大学で水産学を学ぶ「ごっち」さんは水産が抱える課題を解決するアイデアを形にしようとしていました。

今回、リードオーガナイザーを務めたのは、「ぽんちゃん」こと本田 忠さん。
第6回のStartup Weekend 北九州に参加し、多様な価値観に触れたことがきっかけで、Startup Weekend 北九州というコミュニティの運営に携わりたいと考え、リードオーガナイザーを務めようと考えたといいます。

リードオーガナイザーの本田 忠さん

StartupWeekendとは
スタートアップウィークエンド(以下、SW)とは、週末の三日間を活用してアイデアをカタチにする「スタートアップ体験イベント」です。 SWは初日の夜にみんながアイデアを発表するピッチから始まります。そしてハスラー・ハッカー・デザイナーの役割に分かれてチームを組み、最終日の夕方までにユーザーエクスペリエンスに沿った、必要最小限のビジネスモデルを一気に作り上げます。ハスラーは顧客開発を、ハッカーは機能開発を、デザイナーは使いやすいデザインを担当します。(第7回Startup Weekend北九州 告知サイトより引用)

▼「Startup Weekend 北九州 vol.8」に先立って行われたプレイベントの模様はこちら


「Startup Weekend」は「スタートアップ体験イベント」と銘打たれていますが、“それっぽい”体験をして終わりではなく、しっかりとビジネスモデルを構築します。

したがって、本当にそのビジネスが成立するのかを判断するために「顧客の声」を集めるチームが大半を占めます。Facebookを活用してアンケートを取るチーム、外に出て街の人の声を聞くチームなど、方法はチームによってさまざまです。これが「Startup Weekend」の特徴のひとつといえるでしょう。

もうひとつ特徴として挙げられるのが、オーガナイザーや参加者が冗談交じりに「苦行」と表現する「コーチング」。2日目の午後に行われます。ここまでに各チームが考えたビジネスモデルに対して「コーチ」から厳しい指摘が飛んできます。ここで落ち込む参加者の姿も珍しくはありませんが、この「コーチング」により、ビジネスモデルがさらに研ぎ澄まされていきます。

2日目にコーチを務めた中田 佳孝さん(株式会社ハピクロ 代表取締役社長)

2日目にコーチを務めた服部 祐一さん(株式会社セキュアサイクル 代表取締役)

Startup Weekend 北九州 vol.8 結果

最終日、6月26日(日)の16時に最終プレゼンがスタート。これまでの約2日間でチームごとに立案したビジネスモデルを披露します。

最終日に行われる最終プレゼンを待つ参加者たち

今回優勝したのは「ガチャっと(チーム名、サービス名とも)」。小さなお子さんを持つ親御さんのお悩みを解決するビジネスを起案しました。売り方まで考えていることを審査員が高く評価し、優勝を勝ち取りました。

優勝した「ガチャっと」。左からやまさきさん、ツイシさん、ほんちゃんさん(リーダー)、ヤマダさん、TOMIさん、ユジさん

優勝チームコメント

ほんちゃんさん(リーダー)「まさか優勝できるとは思わず驚きました。2日目はすごく大変でしたが、いい賞を獲ることができてホッとしています」

やまさき「初参加4人のチームでで優勝できるとは思いませんでした。光っているアイデアを生かすことができて良かったです」

ツイシ「初参加です。コーチングのあとリーダーの心が折れたときはどうなるかと思いましたが、メンバーの力で頑張ることができました」

ヤマダ「優勝は想像していなくてびっくりです。今朝喫煙所でこのサービスについて知らない人に話したところ『使わないよ!』と言われました(笑)」

TAMI「一番わくわくするビジネスを選んでチームに参加しました。まさか優勝するとは思わず驚きました。参加して良かったです。」

ユジ「今回はオーガナイザーとして参加しました。アンケートを始めて担当したのですが、子連れの女性に声をかけるのは勇気が必要でした」

ジャッジを務めた又江原 恭彦さん(株式会社ラック 新規事業開発部 部長)、白石 裕子さん(株式会社夢をかなえる研究所 代表取締役)、井上 創造さん(合同会社AUTOCARE CTO)

Startup Weekend 北九州 で体験できること

金曜夜から日曜にかけて行われる「Startup Weekend」では、さまざまな体験をすることができます。

1.「起業体験」ができる

“スタートアップ体験イベント”の「Startup Weekend」に参加しても、必ず自分のビジネスプランを披露できるというわけではない、というのが面白いところです。極端な話、ビジネスプランを持たずに参加することも可能です。

初日の夜に行われる「1min.ピッチ」で、希望した参加者たちが自分のビジネスプランを1分間で披露し、各ビジネスプランへの投票を募ります。
1人あたりの持ち票数は3票。それぞれ自分の気に入ったプランに投票します。自分のビジネスプランへの投票も可能。

その後、投票で上位に入った参加者を中心に、チームビルディングを行います。自分を含めて3人集まらないとチームを作ることができないというルールがあるため、2人以下しか集まらない場合はチームを結成できず他のチームに入らなくてはなりません。

2日目には、実際にビジネスの世界/スタートアップなどで活躍している人たちから「コーチング」を受けます。ここでコーチに指摘された内容により事業をピボット(方向転換)せざるを得ないケースも少なくありません。

2日目にコーチを務めた尾山 一志さん(MHCF株式会社 代表取締役)

2日目にコーチを務めた福岡 佐知子さん(株式会社三角形 代表取締役)

また、過去の「Startup Weekend 北九州」では開催期間内にチームから離れる人が出てきたり、チームが分裂したりしたこともあったそうです。驚きですが、これもルール上問題ないそうです。

「Startup Weekend」は、人間関係を含めた「起業体験」ができる貴重な場所といえるでしょう。

2.自分自身が成長できる

議論を重ねることでビジネスモデルをブラッシュアップします

「Startup Weekend」は、自分自身を成長させてくれる場所であると感じました。

金曜夜から日曜夜までの3日間、同じ目的に向けて全く異なる属性の人たちと、上下関係なく意見を交わします。過去には中学生に厳しい指摘を受けた学校の先生もいたとのことです。

仕事で議論をする際に邪魔になる「上下関係」はここには存在しません。非常に貴重な場所だと思います。

2日目にコーチを務めた松本 一哉さん(株式会社MBBR・松本一哉公認会計士事務所 代表)

3.知り合いが増える

普段の生活の中で多くを過ごす会社や学校には、似た属性の人が集まっているので、知り合いになる範囲はどうしても狭くなりがちです。会社や学校以外で知り合いを増やそうと思いちょっとしたイベントやワークショップに行きはじめても、知らず知らずのうちに自分の居心地がいい場所を選んでしまいます。それに、数時間のイベントやワークショップでは、深掘りもできず参加した感すら得られるか微妙です。

しかし、この「Startup Weekend」では、普段の生活ではまず会わないであろう全く別の属性の人と出会うことは決して珍しくありません。

さまざまな属性の人が集まる「Startup Weekend 北九州」

「Startup Weekend」に参加すると、同じ目標に向けてチーム内で3日間活発な意見交換をするので、他の参加者の考え方もよく知ることができるでしょう。ただ知り合いが増えるというだけでなく、同じ思いを持った人と出会えるかもしれません。

Startup Weekend 北九州は「地域の経済を回す」イベント

「Startup Weekend 北九州」では朝昼晩と食事が提供されます。どれも北九州に拠点を置く飲食店のものばかり。北九州の企業と一緒に地域の経済を回すことを目的としているそうです。

小倉・海老善屋さんのお弁当(2日目昼食) ※提供写真

小倉・KUROCAFEさんのお弁当(2日目夕食)

「Startup Weekend 北九州 vol.8」を終えて

「Startup Weekend 北九州 vol.8」を終え、リードオーガナイザーの本田さんは「最高のイベントだと改めて感じました。参加者のみなさんは、ビジネスモデルの構築や検証を行う中で、起業のリアルな体験を経験でき、さまざまな価値観を吸収できるので、着実にステップアップされたとことでしょう。私自身も、イベントの準備や運営を通じて、インプットしていた知識をアウトプットすることで、新たな発見がありました」と振り返ります。

高い熱量で“起業体験”ができる「Startup Weekend 北九州」。

自分のビジネスプランが採用されなくても、参加したチームのビジネスプランをより良いものとするためにどの参加者も3日間しっかりと取り組んでいました。
どんな立場になろうとも、3日間全力で目の前の課題に向き合える自信がある、という方はこの「Startup Weekend」で多くのものを得ることができるでしょう。

今回の参加者のひとり、トーヤさんはこの場を「大人の文化祭」と表現しました。

現在の自分に物足りなさを感じていて、一歩踏み出したいという方は、ぜひ一度体験してみてください。

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