食品ロス削減でSDGsにつなげるトマトカレー【食でつながるフェスタin北九州】

提供写真 ⓒ九州栄養福祉大学食物栄養学部

2022年3月19日(土)に小倉北区の九州栄養福祉大学で開催された「食でつながるフェスタin北九州」で九州栄養福祉大学響灘菜園株式会社のコラボ企画により、トマトカレーの試食会が行われました。

実はこのトマトカレー、廃棄予定のトマトを使って開発したものなんです。

今回、トマトカレーを作った九州栄養福祉大学食物栄養学部・スマートダイエットクラブ部長の吉田 そよかさんよりご寄稿いただきました。


若松区にある響灘菜園では、年間100トンものトマトが廃棄されているという。

※響灘菜園では、年間3,000トンの生鮮トマトが生産される。そのうちの約3%=100トンは、肌荒れ・空洞果などのトマトであり、店頭での日持ちがしない等、廃棄せざるを得ない。

私たちは、子ども食堂と響灘菜園さんからお話をいただき、廃棄されるトマトを活用してカレーの開発をすることになった。子ども食堂への参加経験がある私たちは、子どもたちが笑顔になれるようなおいしいものを作りたいと思い、試作に取りかかった。
コロナ禍でサークル活動が制限されるなかでの活動となった。各自で冷凍のトマトを持って帰り、自宅で試作をしてオンラインで味の感想や改善点などを話し合った。始めはドライカレーを試作していたがトマトから水分が出るのでドライカレーは難しいという話になり、キーマカレーへと変更した。

新型コロナウイルスの感染状況が少し落ち着いたところで、ようやくみんなで試作ができた。
1回目の全体での試作ではコーンやごぼうを入れ、ミキサーにかけたトマトを加えた。この試作でごぼうは繊維が多く、カレーには向いていないこと、トマトをミキサーにかけて入れると水分が出ないことが分かった。ルウは中辛を使用したが子どもには辛いのではないかという意見も出た。

2回目の試作では、かぼちゃを入れたものと大学の農園で収穫したさつまいもをいれたものの2つを比較した。ルウはベースを甘口に変更。トマトは冷凍したものをざく切りにして入れることで、細胞が破壊され水分が多く出ることがわかった。中濃ソースや醤油を加えることでコクを足し、さらにはちみつを入れることで食べやすいカレーになった。
最終的なカレーは、農園で収穫したさつまいもを使用することになった。かぼちゃよりもさつまいものほうが色味が良く、トマトの酸味を和らげてくれたからだ。トマトは皮までおいしく食べてほしいので皮ごと使用している。にんじんは苦手な人が多いので小さめに切り、さつまいもは食感を残すために大きめに切るようにした。また、にんにくやしょうがをみじん切りにして入れることで塩分の多いルウの使用量を抑えることができた。

試作の際には盛り付けにまでこだわった。見栄えが悪いとおいしいものもおいしくなさそうに見えるからだ。ごはんを丸く盛り付けたり、パセリをかけたりと彩りよくなるように工夫した。
今回の活動を通して、食品ロスの多さを知ることができた。また、食品ロスを減らすことは、北九州市が力を入れているSDGs活動にもつながっている。私たちの活動が少しでも食品ロスの削減につながればいいなと思う。カレーを通して食品ロスについて子どもたちにも知ってもらいたい。

レトルト化することで防災意識の向上につながることも知ることができた。レトルト化して販売することで子ども食堂を知る良いきっかけになるのではないだろうか。子ども食堂の各施設での大量調理は設備や場所の問題もあり難しいところが多いと思うので、レトルト商品を使用することで子ども食堂を開ける場所を増やし、ひとりで食事をする子どもが減ればいいなと思う。
また、さまざまな人が関わってひとつの商品ができていることも知ることができた。今回のカレー製作にあたり、学校の先生だけでなく、子ども食堂や響灘菜園さん、商品化してくださる方、記者の方、パッケージを考えてくださる方など多くの人が関わってできていると知った。普段何気なく食べているものもたくさんの人が関わってひとつの商品として販売することができるのだと思うと感謝の気持ちでいっぱいになる。

このカレーは、子どもたちにおいしいものを食べてほしい、野菜をたくさん食べてほしいという思いで作ったので、見かけた際にはぜひ手に取っていただきたい。そして、子ども食堂や食品ロスについて知ってもらいたいと思う。

提供写真 ⓒ九州栄養福祉大学食物栄養学部

提供写真 ⓒ九州栄養福祉大学食物栄養学部

【制作協力】

九州栄養福祉大学 食物栄養学部
北九州市 子ども家庭局子育て支援部子育て支援課
響灘菜園株式会社
株式会社マル商