リーグ参入3年目で念願の初優勝を果たした北九州下関フェニックスが、栃木県小山市で行われた独立リーグ日本一を決める大会「日本独立リーググランドチャンピオンシップ2024」(以下グラチャン)に臨みました。
◎【北九州下関フェニックス 3-5 栃木ゴールデンブレーブス(2024年9月28日) 小山運動公園野球場】
初のグラチャン出場、初の関東圏での試合、初の対BCリーグ……と初物尽くしの北九州下関フェニックスでしたが、一塁側ベンチ、ホーム用ユニフォームの着用、そしていつもと変わらぬスタンドからの応援と、普段通りに戦える要素も多数ありました。スタメンも、リーグ戦と同様のもので試合に臨みました。
今季のフェニックスは、リーグ戦で残した数字だけを見ると打力のチームだという印象を受けますが、投手陣も踏ん張りを見せました。
3年間フェニックスの投手陣を支えてきた荒巻千尋、北九州市立大出身のルーキー左腕・川﨑大輝、そして昨年度の関西独立リーグのMVP・西垣彰太がローテーション投手として2桁勝利を挙げ、前広島東洋カープの行木俊がセットアッパーを、火の国サラマンダーズから移籍の中村総一郎がクローザーを務めました。
就任1年目のシーズンをリーグ優勝という申し分ない成績で終えた、松本直晃監督がグラチャン初戦の先発に指名したのは荒巻。
荒巻は初回にワンアウトを取った後、連続安打と四球で満塁のピンチを迎えます。しかし続く打者を三振とレフトフライに抑え、初回を0点に抑えました。
「うちの打線は点を取られても取り返す自信がある」とナインが口をそろえる打力自慢のフェニックス打線ですが、栃木先発・竹本の前に初回、2回かなと三者凡退に抑えられます。
しかし3回、一死から藤木貫太が振り逃げで出塁すると、続く漁野海人のライト前ヒットで一、三塁のチャンスを作ります。2番・横山晴人の打席でワイルドピッチの間に藤木が生還。フェニックスが先取点を挙げます。
その後、荒巻、竹本両先発の好投で両チームともスコアボードに0を並べます。
しかし7回、ここまで毎回走者を許しながらも得点を与えなかった荒巻が、栃木のコウチーニョに一発を浴び、1-1の同点とされます。
フェニックスは8回に行木、9回に中村総一郎と勝ちパターンの投手をつぎ込み、栃木に追加点を与えません。8回表には、藤木が二盗を阻止する好送球を見せました。
一方フェニックス打線も、栃木の寺内監督(元巨人)が繰り出す細かい継投の前に勝ち越し点を挙げられず、試合は延長戦に突入しました。
ここからは、規定により無死一二塁からのタイブレーク方式となります。
10回の表、松本監督がマウンドに送ったのはタバーレス。タバーレスはこの大会好調の1番・武蔵にタイムリーツーベースを許します。ここから踏ん張ってツーアウトととするも、その後連打を浴び、1-5と4点のリードを許します。
ここからフェニックスは北九州から大勢詰めかけたファンの前で粘りを見せます。
一死後、代打の薮 怜汰が死球で満塁のチャンスを作ります。続く代打・宮原滉希の打球はショートへ。万事休すと思われましたが、薮の好走塁でゲッツーを阻止。1点を挙げます。次打者・中田航大は三振に倒れるも、捕手が捕球できず。振り逃げが成立する間に1点を加え、3-5とします。
二死一、三塁と一発が出れば逆転サヨナラという場面で打席に入ったのは横山。今季大躍進を見せた北の好打者に期待がかかります。しかし横山は三振に倒れゲームセット。フェニックスは3-5で敗れ、決勝進出はなりませんでした。
試合後コメント
松本直晃監督
ーー今日の試合の振り返りをお願いします。
相手ピッチャーが良かった、に尽きます。うちのチームは中田、横山、平間あたりがポイントゲッターでありチャンスメーカーなので、ここをしっかり抑えられたっていうことと、得意の足を生かした攻撃ができなかったことが反省点です。ピッチャーはよく頑張ったんで、9回までに仕留めきれなかったっていう部分と、何かしらこっちからアクションを起こせなかったという部分も、僕もちょっと反省しています。一発勝負の難しさを痛感しました。
ーー「グラチャン」という全国の舞台で戦ってどのように感じましたか?
すごくいい経験でした。一つ負けたらおしまいという状況の中でやはり先手を取っていきたいと思っていたんですが、経験不足もあってどうしてもできませんでした。勝ちたかったのはもちろんですが、この敗戦も今後の糧になると思います。
栃 木 0000001004 │5
北九州 0010000002 │3
【栃木】竹本、齊藤、横尾、嶋田、堀越、吉川 – 田代
【北九州】 荒巻千尋、行木俊、中村総一郎、タバーレス、伊藤秀樹 – 藤木貫太
[本塁打]コウチーニョ(栃)
[二塁打] 武蔵(栃)