北九州市に来たばかりで知り合いがいない、などの理由で、いわゆるソロ活を余儀なくされる機会も多々あるかと思いますが、初めてのお店に一人で入るのはなかなか勇気がいるものです。
そこで、一人で行っても馴染みやすい、一人なのに不思議とさみしくない!そんな、北九州市のカウンターのあるお店をご紹介していきたいと思います。
店主さんとおしゃべりしたり、他のお客さんと仲良くなったり、一人きりの時間を思う存分堪能したり。 “一人だからこそできる楽しみ方”をぜひ北九州市で極めてください。
【coffee stand NICO】
最初の一歩
夜の閑静な住宅街を歩いていると、突如、温かい光が漏れる一角が現れ、つい引き寄せられます。場所は足立公園のほど近く、バス停で言うと『第一黒原』が最寄りですが、細い路地に面しているため知る人ぞ知る立地であり、「こんなところにお店が?」というわくわく感、冒険心がくすぐられます。

ガラス扉で店内がよく見えるので入りやすい雰囲気。さっそくおじゃましてみましょう!
コーヒー豆へのこだわり

店内に入るとコーヒーのいい香りが。カウンターに2席、その後ろにソファ席が1つとコンパクトなお店ですが、不思議と落ち着くのはコーヒーの香りが包んでくれるからでしょうか。

アメリカーノ、マキアート、カフェラテをはじめとしたエスプレッソメニュー、ハンドドリップとコールドブリューのコーヒーメニューなど豊富に揃っています。店主さんのおすすめはエスプレッソ。イタリアのエスプレッソ協会主催の品評会でゴールドメダルを受賞した実績もある『クラシックブレンド』という特別な豆を使用しており、深みが強いのが特徴だそう。エスプレッソで抽出した場合はビターチョコのような香りが楽しめ、牛乳と砂糖との相性が良いため苦みがしっかりある分砂糖を入れるとビターチョコレートのようなテイストも味わえるとのこと。北九州ではまだクラシックブレンドを取り扱っているお店はごくわずかとのことですので、コーヒー好きな方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。豆も販売しているので、ご自宅でも楽しめます。

平日は遅くまで営業していることもあってアルコールメニューや、コーヒーに合うスイーツメニューなどもあり、夜カフェとしても重宝しそうですね。
さわれる!買える!本物の化石
さて、お店に入ったときからずっと気になっていたもの。それは…壁にずらりと並ぶ化石たち!化石なんて博物館でしか見たことがなかったのですが、コーヒー屋さんに飾られ、それどころか販売されており、購入することもできます。

化石を担当しているのは、奥様。以前、イベント業の仕事をしていたときに夏休みの恐竜博に参加したのが恐竜との出会いだったそうで、そこから恐竜や化石の魅力にどっぷりとハマったのだとか。コロナ禍でイベントができなくなり、ふと「自分で発信できるものがないな…」「今、自分で何かできるかな」と考えたときに、化石をネット販売してみよう、と思いついたのがきっかけで【化石専門店LOLO】が生まれました。

「化石って売っていいの!?」と驚かれることもあるそうですが、奥様曰く、「ここに並ぶのは水辺に生きていた生物たちの化石の割合が多いです。水辺は保存状態が真空パックのように優れているため、化石として残りやすく、研究用として十分な数が既に確保されていることから、市場にも出回っております。 “かつて命を宿していた証を、そっと手元に感じてもらえたら”――そんな想いで、化石展示、販売をしています。」と語ってくれました。
LOLOの化石は手に触れることもできるため、間近で見て、さわってみると「恐竜ってほんとにいたんだなぁ」と一気にロマンの風が駆け巡り、なんだか感慨深い気持ちになります。
家に恐竜の化石を置けるなんて、わくわくしますよね。
化石はもちろんきちんとしたルートから仕入れているため、品質も保証されているものばかり。ガラスケースに並ぶ化石は、世界でも珍しい貴重なものも!

化石好きにはすでに注目されているようで、大分出身でアメリカに住んでいる男の子がアメリカでSNSを見てくれ、帰省のときに訪れてくれたこともあるそうです。
実際に触れて確かめて購入もできる、化石好きならずとも一度は訪れてみたくなる、希少なお店です。
コーヒー×化石
コーヒー屋さんと化石屋さんのコラボ。そんなユニークなお店が誕生したきっかけを伺いました。
コーヒー担当のご主人は、コーヒーが好きでいろんなお店を巡ってはいましたが、自分でお店を出すことに関しては「仕事を引退したあとにでもゆっくり」と考えていたんだそう。ある日そんなご主人は運命の出会いを果たします。それが、先ほどご紹介した『クラシックブレンド』。クラシックブレンドを飲んでそのあまりの美味しさにガツン、と衝撃を受けたご主人は、「家でも飲みたい、いつでも飲みたい!」と思い勢いのままエスプレッソマシンを購入!そこから数年は家で楽しむだけだったそうですが、現在の『coffee stand NICO』がある物件をたまたま見つけ、ダブルワークにはなってしまうけれど、「規模的にもちょうどいいし…」と背中を押される形でお店を出すことを決意。
奥さまも最初は「コーヒー屋するんだ」と他人事のように思っていたそうですが、「化石も置く?」と提案したことをきっかけにハイブリッド型のお店としてオープンすることに。化石はネット販売がメインですが、「化石を見ながらコーヒーが飲めたらより楽しんでもらえるんじゃないか」という思いもあり、身近で見てもらえる今のスタイルになりました。

ちなみに現在『coffee stand NICO』にあるのは、自宅で研究しつつ楽しんでいたあのエスプレッソマシン。「自分が好きな味を提供できたらいいな」という思いからお店をオープンされたというご主人は、数年間自分が好きな味を探求していたそのマシンで、今はお客さまにその味を伝えています。日々美味しいコーヒーを一緒につくり上げてきたエスプレッソマシンは、相棒のように心強い存在に違いありません。
思い思いの楽しみ方を
現在、奥様は産休中。ご主人もダブルワーク継続中。そんなこともあって、現在は木曜日と金曜日の夜営業、土曜日か日曜日どちらかの昼営業となっています。急なお休みもあるので、「来店前にInstagramを確認してもらえたら」とのこと。
夜営業の日はご近所さんが比較的多く、犬の散歩で通りかかってテイクアウトする人もいるそうです。ちょっとした休憩用にベンチも設置。外で風に吹かれながらの一杯もいいですね。
土日の昼営業時には遠方からのお客さまも多いそうですが、最寄りの駐車場が埋まってしまうこともあるそうなので、車でお越しの際はご注意ください。テイクアウトの方は、お店の前にちょっと停めて受け取るのも可能だそうです。
年配のお客さまも多いそうですが、化石を肴にコーヒーを飲む、というのはなんとも大人で上質な時間の過ごし方なので、それも納得です。
化石を眺めながら味わう、ここだけの一杯を
一人でふらっと来たり、散歩の途中でご夫婦で寄ってくれたり、お店を利用するシーンは様々だそう。コーヒーを嗜みに来る方も、化石目当てで来る方もいて、昨年12月にオープンしたばかりですが、いろんな方に親しまれているようです。
化石だけ見に来るのももちろんOKですが、奥様は現在産休中ですので、化石について大いに語りたい!という方は産休明けをお待ちください、とのことです。
奥様が化石好きな一方、旦那さんは釣り&山登り好き!シャイな性格なんだそうですが、話しかけてくれたら嬉しいそうですので釣り好き、山登り好きな方はぜひ行ってみては?

コーヒーを飲んで「おいしい」と言ってもらえるために、今も研究研究の日々というご主人。
湿度などで豆の状態が毎回変わるので、毎日同じ味が出るように、「“いつもの美味しい味”を大事にしたい」と語ってくれました。コーヒーはとても繊細で、同じ豆でも淹れる人が変わると味も変わるそうで、ご主人が淹れるコーヒーと奥様が淹れるコーヒーの味の違いも楽しんでほしいとのこと。どちらも飲んでみたい!

おしゃれな雰囲気なので緊張するかもしれませんが、「敷居はまったく高くないので気軽に来てください」とのことです。
にぎやかすぎず、気取りすぎず。コーヒーを片手に化石を眺める、そんな静かな時間をぜひ『coffee stand NICO』でお楽しみください。
※一部お写真はcoffee stand NICOさんにご提供いただきました
詳細情報
小倉北区足原2丁目5-29
営業時間/平日 20:00~24:00 土日 13:00~18:00
営業日/基本的には木・金曜日と土・日曜日のどちらか
※営業日の詳細はInstagramでご確認ください
協力:門司港ゲストハウスポルト