
10月25日(土)、ギラヴァンツ北九州はホームのミクニワールドスタジアム北九州でFC琉球と対戦した。
0-0で迎えた後半64分、ギラヴァンツはホームの大歓声を背に岡野凜平が豪快に右足を振り抜き先制した。その後1-1と追いつかれるも、90+2分、高昇辰が勝ち越しゴールを決め、試合の行方を決定づけた。
この勝利でチームは暫定8位。日本文理大学出身の同級生コンビが、昇格プレーオフ圏内を再び射程に入れた。

試合そのものも熱かったが、この日のミクスタには、ひとつの“再会”があった。
退団した選手が、古巣の試合を見に来る——。
それ自体は珍しいことではない。
ギラヴァンツと同じく北九州市をホームに活動する北九州下関フェニックスの選手を、球場のスタンドで見かけることも少なくない。
しかしこれが「ゴール裏で声援を送る」となると少し話は変わってくる。
ゴール裏に現れたのは、昨季までギラヴァンツに在籍していた高橋隆大選手。
現在はブラジルでプレーしている高橋選手の突然の来場は、スタンドを驚かせた。
増本監督もこの来場を事前に知らされていなかったと、試合後に明かしている。
そして——。
得点を決めた岡野選手、そして高昇辰選手がゴール裏の一角へ一直線に走った。
その先にいたのは、高橋隆大選手。昨季、同じユニフォームを着て戦った仲間の姿だった。

高橋選手がチームを去って半年ほど経過している。
彼の姿を見たとき、ふと昨季の光景がよみがえった。

思えば2024年の新体制発表会のとき、最も注目を集めていたのが、ニックネームが「シャンシャン」(同名のパンダに由来)であることを披露した高橋選手だった。
名門・静岡学園で10番を背負った彼がピッチに立つと、何かを起こしてくれそうな期待がミクスタに満ちていた。
リーグ戦出場は14試合にとどまったものの、その存在感は確かなものだった。

話をこの日の試合に戻そう。
前々節の試合後、増本監督は「フォワード陣の状態がいい」と語っていた。
「堅守」と呼ばれてきたギラヴァンツに、いま攻撃の勢いが加わっている。
この日も途中出場の渡邉颯太選手の動きが目を引いた。
得点こそなかったが、高昇辰選手の決勝点を呼び込んだ要因のひとつだったことは間違いない。

2得点はいずれも選手交代直後。試合を動かす意志が結果につながった。
増本監督の采配も、勝因のひとつと言っていいだろう。


今月だけで3得点と好調の高昇辰選手。試合後、増本監督に聞いた。
「(高昇辰選手は)トレーニング中の意識も変わってきました。去年は甘さも感じるところがありましたが、近頃はプロ意識が整理されてきた印象です。
そこに関しては(髙橋)大悟の影響が大きいのかなと感じています。仲が良くいつも一緒にいるので、いろんなことを伝えてくれているのだと思います。

あと今シーズンは(永井)龍がケガで出場できない期間が長かったですが、その間に(渡邉)颯太や(河辺)駿太郎といい競争をしているうちに(駒沢)直哉も加わり、1トップを5人で争う状況になった。
そうした競争の中でいい状態を保てていることが、今日、今月の結果につながっていると思います。
でも褒めるとまたちょっと調子に乗ると思うんで(笑)、そこはまた手綱を締めていきたいなと思います」
次戦は11月2日(日)、アウェー・プライフーズスタジアムでヴァンラーレ八戸との一戦に臨む。現在、J3リーグ首位を走る八戸との一戦が今シーズン、そして来シーズンの行方を左右する。


