タカギ北九州ウォーターウェーブ ホーム最終戦に勝利 洲鎌監督「“個”ではなく“チーム”でつかんだ勝利」

先制本塁打を放った工藤真依

10月13日(月・祝)、タカギ北九州ウォーターウェーブは北九州市民球場で東海理化チェリーブロッサムズと対戦した。
試合は序盤からタカギ北九州が主導権を握る展開。3回、工藤真依のソロ本塁打で先制すると、続く4回には樋口菜美の2点本塁打などで一挙4得点を奪い、流れをつかんだ。

頼れる主砲・樋口菜美

5回にも3点を追加して9-1とリードを広げたタカギ北九州。最終回に満塁本塁打で4点を失うも、後続を断ち切って逃げ切った。先発・鹿野愛音が5回1失点と安定したピッチングを見せ、投打がかみ合ったタカギ北九州が9-5で勝利した。

タカギ北九州は今季最後の北九州ラウンドを2勝1敗で勝ち越し。秋晴れのスタンドに集まった地元ファンの声援に、結果で応えた。


「女子ソフトボール」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持つだろうか。

スポーツに詳しい人なら、日本代表の上野由岐子選手を思い浮かべるかもしれない。だが、「上野選手が普段どのチームでプレーしているか」と聞かれて、すぐに答えられる人は多くないだろう。

上野選手が所属するのは、JDリーグのビックカメラ高崎ビークイーン。そして、タカギ北九州ウォーターウェーブも同じJDリーグで戦っている。

これで、おおよそのレベル感がつかめたのではないだろうか。

タカギ北九州ウォーターウェーブの前身は、東芝北九州工場の女子ソフトボールチームだ。2012年、工場の閉鎖に伴いチームも解散。その後、クラブチームを経て2017年に「takagi 北九州 Water Wave」として再始動した。

現チームとなって9年目。JDリーグには初年度の2022年から参戦し、3年連続で西地区6位という結果を残している。2025年シーズンもここまで西地区6位。まだリーグ上位の壁を破れてはいないが、強豪相手に善戦する試合が確実に増えている。

チームの目標は「プレーオフ進出」。西地区で4位以内に入ることが条件だ。目標達成のためには、“善戦”を勝利に変える力が求められる。

若手中心のチーム構成は、将来への期待を感じさせる。日本代表候補経験を持つ鹿野愛音投手は、今季序盤は調子が上がらず苦しんだものの、今節で2勝を挙げ自己最多の5勝目に到達。上村紗輝投手も登板機会を増やし、ここまで3勝をマークしている。捕手陣では、2年目の長江乃愛とルーキーの橋崎芽依奈がしのぎを削る。

上村紗輝

打撃陣は、主砲・樋口菜美に加え、今季は細見真由が好調。兼平真咲や細野摩なも要所で結果を残し、打線の厚みを支えている。

打率チームトップの細見真由

今季からチームを率いる洲鎌夏子監督は、元日本代表としての経験を持つ。

洲鎌監督はこの日の試合後、「これまでは個人個人のプレーで戦っていたが、それでは勝てないと思っていた。チームとして次につなげる準備をして試合に臨むことを言い続けてきた」と語った。

「自分たちで準備してきたものが、しっかり試合に出せるようになってきた。まだ足りない部分もあるが、自分たちから動こうとする姿勢が結果につながっている」とも。

個の力を生かしながら、チームとして勝つための意識が確実に根づいてきた。

“個”から“チーム”へ──その変化こそが、今季のタカギ北九州を支えている。