あるボランティアスタッフがいいました。
「北九州フードフェスティバルに参加して、自分の街についての“気づき”を得られました」
彼女が得た“気づき”がどこにあるか、読み進めてみてください。
ナリシゲ(@nari_104)と申します。
2019年10月5日(土)、10月6日(日)の2日間、小倉北区の船場広場とクロスロード(井筒屋の前)にて「北九州フードフェスティバル2019」が開催されました。
「北九州はおいしくて、たのしい。」というコンセプトのもとに行われたこのイベントに2日間密着。
結論からいいますと、「北九州は本当においしくて、たのしかった。」
シェフ’s ライブキッチン
今年の「北九州フードフェスティバル」の目玉はなんといっても「シェフ’s ライブキッチン」。
会場に設置された調理スペースでシェフが料理の実演を行い、そこで作ったものをその場でお客様に提供するというものです。
製作過程は場内2か所の画面でも流れており、来場者はシェフの動きを食い入るように見つめていました。
日本料理 川蝉
かしわすきとおばん菜の店 家酒場 小倉家
小倉炊き肉 一富士
Cafe&kitchen SELAM
おいしいを描く食のアトリエ BlueOcean
タグボートFC
料理の実演の前後には、シェフの人となりの紹介や料理へのこだわりを聴くことができるトークを開催。
シェフの皆さんはトークもうまく、思い思いの話を軽快に披露していました。
6人のシェフの個性を引き出したのは、地元で活躍するフリーアナウンサーの西口久美子さん。
与えられた素材(シェフ)を的確にさばいて、良質なトークを提供する様子は、いわば「7人目のシェフ」。
どの回も、お店の常連さんがステージ前に陣取り、トークの盛り上げに一役買っていました。
目の前に知った顔がいることで、シェフの皆さんも話をしやすかったのではないでしょうか。
「シェフ’s ライブキッチン」の盛り上がりは、この常連さんたちの存在によるところが大きかったのではと感じています。
特設の調理スペースにて作られた料理を求める人たちの列です。
列が人を呼ぶという良い状況に。各回とも長い行列ができていました。
筆者は「シェフ’s ライブキッチン」で提供された6食全てを食べました。笑
コンプリートしたのは私だけという話も。
かつての人気テレビ番組「料理の鉄人」っぽさもある、ライブ感あふれる企画でした。
実行委員の岡浩平さんによると「この『シェフ’s ライブキッチン』で料理人の個性を出せたのではないか」とのこと。
確かに、各シェフの話を聞くことで、もっとシェフのことを、シェフのお店を、そしてシェフの作る料理を体験したくなりました。
この企画はぜひまた見てみたいですね。
音楽ステージ
井筒屋側には音楽ステージを設置され、2日間で12組のアーティストが歌を披露しました。
「遠くまで響く音につられてやってくるお客様もいましたよ」とは実行委員のしらたま音楽堂・しらたまさん。
筆者も確認しましたが、魚町交差点そばの「ツルハドラッグ」あたりまでは歌声が響いていました。
10月6日(日)の15時からは、人気モデル・ゆきぽよこと木村有希さんのトークショーが行われました。
何重もの人垣を見て、「誰が来るん?」などとボランティアスタッフに話しかける人も。
TGC北九州の前日には小倉でお酒を飲んだ、というゆきぽよさん。北九州の街を随分と気に入ってくれているようです。
あと、「撮影禁止といわれると写真を撮りたくなる」という謎理論をかましながら写真を撮っていた男性の方は、自分がルールを犯していることを自覚してくださいね。
10月6日(日)18時半からの「ミリオンロッカーズ」のライブが、ある意味この「北九州フードフェスティバル」を体現しているのでは、と感じました。
“一人ひとりは無名だとしても、1000人いれば世界は変わる。考えつくあらゆる可能性を現実にしていく”というミリオンロッカーズの演奏に会場は大盛り上がりでした。
北九州フードフェスティバルの個人的クライマックスはミリオンロッカーズだった。
地元ミュージシャンを始め、多様な仕事をしてる人たちから、ライブキッチンの料理人までがステージに飛び込んでひとつの曲を歌う。(白い割烹着、タグボート廣口さん)
おいしくて、楽しかった。 pic.twitter.com/3lO089CbVg
— 中川康文@創生塾 (@YappyHappy0712) October 6, 2019
その他個性的な店舗の数々
焼うどん、カレーライス、唐揚げ、コーヒー、スイーツなど、あらゆるジャンルのお店が多数出店していました。
お店は全て白いテントで統一されていたこともあり、全体的にすっきりとした印象になり、街によく馴染んでいました。
「露店っぽくならずによかった」とは、ある市職員の方の言葉。
取材を終えて
2日間にわたる取材を終えて感じたことを挙げていきます。
スタッフ全員が楽しそう
まず初めに思ったことは、「運営側がみんな楽しそうだな」ということ。
イベントのスタッフといいますと、妙にピリピリしたものを想像してしまいますが、「北九州フードフェスティバル」のスタッフの皆さんの表情はとても和やかなものでした。
訪れてきた友人と談笑する方の姿も。
前述の「ミリオンロッカーズ」のライブでは、一緒になって踊るボランティアスタッフも多数見かけました。
まるで、悪天候のため中止となった昨年の分も楽しんでいるよう。
ボランティアスタッフのひとり・九谷和未さん(18)は「音楽が流れていたり、笑い声が聞こえてきたりするので、きつくなかったです」と話します。
同じくボランティアスタッフの戸田椋也さん(20)は「お客様にどうやったら楽しんでもらえるかを学ぶことができました」と笑顔で語ってくれました。
だからといってだらだらと働いているわけではなく、自主的にテキパキと動いている姿を見て「ああ、スタッフの皆さんもまた北九州フードフェスティバルの主役なのだな」と。
実行委員のしらたま音楽堂・しらたまさんも「スタッフ全員が楽しんでいましたよ」と言っていましたが、この“スタッフが楽しめる”という要素が、イベントの面白さを決める分かれ道ではないかと思います。
“当事者”の多さ
広告代理店やイベント屋による「お仕着せのイベント」ではなく、地元の人たちだけで創りあげるイベントであることを強く感じました。(北九州は地元の人が運営するイベントのほうが圧倒的に多いですよね)
ボランティアスタッフの江口正幸さん(19)は「違う業界の人とのコミュニケーションについて学びました」と語ってくれましたが、実行委員の方の顔ぶれを見ていると、ほんとうにさまざまな業界からたくさんの人が集まっていました。
この“当事者”の多さも、「北九州フードフェスティバル」の特徴であり、魅力なんだろうなと。
実行委員、ボランティアスタッフを合わせるとかなりの数になりますし、「シェフ’s ライブキッチン」に出演したシェフの方、そしてシェフを盛り上げたお店の常連さんももちろん“当事者”です。
言ってみれば、お客さんも“当事者”でしょう。
当事者が多いイベントは、その分周囲に伝わる熱量も多くなります。
私も取材という立場ではありましたが、「フェスに参加している感」がありました。
誰もが当事者であるイベントであり、誰でも当事者になれるイベントであることを実感。
“歌”の存在感
美味しい食べ物を食べることができるイベントは他にもたくさんあります。
それだけでなく、“歌も聴ける”というのが「北九州フードフェスティバル」の特徴のひとつでしょう。
北九州フードフェスティバル
KFFといえばミリオンロッカーズ😆🎶
みんなで歌って演奏して楽しんじゃいましょう😁#北九州フードフェスティバル#ミリオンロッカーズ pic.twitter.com/UWW6sq556w
— しらたまともこ (@siratamatomoko) October 6, 2019
某アニメに「歌はいいね。歌は心を潤してくれる」というセリフがありましたが、この潤いが「北九州フードフェスティバル」を「北九州フードフェスティバル」たらしめるものではないかと感じました。
私がイベント会場を出るときに、実行委員長の杉野重人さんと少しお話をしたのですが、このときの杉野さんの笑顔がこの「北九州フードフェスティバル」の結果を物語っているのではないでしょうか。
こちら、杉野さんのツイート。↓
たった2日間に、沢山の力が集まってくれました!
最後は泣けるかなぁって思ってたけど、楽しさが上回ってました!『北九州フードフェスティバル2019』
関わってくださった全ての人へ、
ありがとうございました! pic.twitter.com/3qTgEVTxms— 杉野 重人@Freeなシェフ暮らし (@shige3rdhkc) October 7, 2019
来年も「北九州フードフェスティバル」に期待しています。
みんなで当事者になりましょう。
インタビュー協力:高井 瑠一朗さん