ピッチを超えて街が動く~ギラヴァンツ北九州が描く地域共創への挑戦~

2024年8月3日(土)、ミクニワールドスタジアム北九州(北九州市浅野)で、ギラヴァンツ北九州主催のフューチャーセッション「ギラヴァンツ北九州と一緒につくる北九州の未来」が行われました。このイベントには、行政、企業、大学生、高校生、ファン・サポーターなど、約60名が参加。サッカークラブを中心とした地域の未来像について、熱い議論が交わされました。

地域愛No.1クラブへの挑戦

冒頭、ギラヴァンツ北九州の石田真一社長は、2030年に向けたクラブのビジョンを語りました。「ギラヴァンツ北九州は日本で一番に地域を愛するクラブになります」と力強く宣言。続けて、「私たちのクラブの取り組みが本当に市民の皆様に届いているのか、常に考えてきました」と述べ、このフューチャーセッションを通じて地域の声を直接聞く重要性を強調しました。

ギラヴァンツ北九州の石田真一社長

Jリーグが描く持続可能な未来

続いて登壇したJリーグ執行役員の辻井隆行氏は、リーグ全体の社会貢献活動と環境への取り組みについて講演しました。特に気候変動問題に焦点を当て、2030年までにリーグ全体でCO2排出量の半減を目指すという具体的な目標を示しました。辻井氏は、「サッカーには人々を集め、ポジティブな変化を起こす力がある」と語り、環境問題に対するJリーグの積極的な姿勢を示しました。

さまざまな属性の約60名が参加

ギラヴァンツ北九州の多面的な地域貢献

ギラヴァンツ北九州の北出尚大社会連携推進部長からは、クラブの地域活動が詳細に紹介されました。特に注目を集めたのは、次世代教育、環境、国際交流、シニア支援という四つの重点テーマに基づく活動です。具体例として、選手が小学校を訪問する「スクール★ギラヴァンツ」や、スタジアムでの環境教育活動、高齢者との交流イベントなどが挙げられました。北出氏は「サッカーを通じて、世代を超えた地域のつながりを創出したい」と、クラブの思いを語りました。

北九州市が掲げる未来戦略

北九州市からは二つの革新的な取り組みが紹介されました。まず、産業経済局未来産業推進課の福田修係長が、GX(グリーントランスフォーメーション)推進の取り組みを説明。北九州市GX推進コンソーシアムの活動や、企業の意識改革の必要性について語りました。福田氏は「GXは単なる環境対策ではなく、産業競争力強化のチャンス」と強調し、参加者の関心を集めました。

続いて、政策局Z世代課の柏木佳奈子課長が登壇。本年度新設された、全国初の「Z世代課」の活動について紹介しました。柏木氏は「若者の視点を市政に反映させることで、より柔軟で革新的な街づくりが可能になる」と述べ、若者参加型のプロジェクトや、デジタルネイティブ世代の特性を活かした施策について説明しました。

北九州市政策局Z世代課の柏木佳奈子課長

未来を描くグループディスカッション

「10年後の北九州」をテーマにグループディスカッション

後半のグループディスカッションでは、参加者が「10年後の北九州」をテーマに活発な意見交換を行いました。サッカーを軸としたコミュニティ形成や、環境に配慮したスマートスタジアムの構想、使わないボールを子どもたちにプレゼントする活動など、多岐にわたるアイデアが提案されました。特に、ギラヴァンツ北九州を「地域のハブ」として位置づけ、スポーツを通じた社会課題解決の可能性を探る意見が多く出されました。

グループディスカッションにはギラヴァンツ北九州の池西希スポーツダイレクターも参加

新たな船出

「今年はチームの雰囲気がとても良い」と石田社長

セッション終了後、石田社長は「今日の皆さんのアイデアやコンセプトは、必ずクラブの未来の取り組みに生かされる」と語り、継続的な対話の重要性を強調しました。また、Jリーグの辻井氏も「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」というアフリカのことわざを引用し、協働の重要性を説きました。

このフューチャーセッションは、ギラヴァンツ北九州が単なるスポーツクラブを超え、地域社会の中核として機能する可能性を示しました。スポーツを通じた地域創生の新たなモデルとして、今後の展開が注目されます。