ギラヴァンツ オープンマインドプログラム (GOP)とは
ギラヴァンツ北九州が取り組む社会貢献活動のひとつに「ギラヴァンツ オープンマインドプログラム (GOP)」というものがあります。
北九州市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」と連携して実施する、ひきこもりがちな方々、不登校気味な方々を支援する事業で、Jリーグのクラブでは唯一の取り組みです。
「すてっぷ」のホームページには以下のように記載されています。
本プログラムは、ひきこもりがちな方々を対象とし、スポーツを観る、楽しむ(する)、支える体験活動を通して参加者の心の扉を開き、社会活動への参画を促すプログラムです。
2017年より実施しており、昨年までの3年間で延べ279名の方が参加。就労・就学につながった人も出ています。
そして2019年には「2019北九州SDGs未来都市アワード」企業部門にて「SDGs賞」を受賞。
昨年の活動には本メディアも同行させていただきました。
GOP公式アンバサダーに川島 大地コーチが就任
このたび、GOP公式アンバサダーにギラヴァンツ北九州・普及事業課の川島 大地コーチが就任します。
川島コーチはギラヴァンツ北九州に2014年から2019年シーズンまで6シーズン在籍。リーグ戦の通算出場は115試合、うちギラヴァンツ北九州では100試合に出場しました。
こちらは川島コーチがギラヴァンツ北九州に移籍後、初先発を果たしたジュビロ磐田戦のダイジェスト映像。この試合のことをよく覚えているサポーターの方も多いのではないでしょうか。
川島コーチは「選手のときに応援していただいた北九州の方々へできる限りの恩返しがしたいと考えています。現役中のさまざまな経験を伝えつつ、参加者とコミュニケーションを取りながら自分自身も学びたいですね」と意気込みを話してくれました。
川島コーチがGOPのロゴマークをデザイン
また、GOPのロゴマークは川島コーチによるデザインです。
頭文字のGとPをそれぞれG(ギラヴァンツ北九州)、P(パーソン:一人ひとり)に見立てて、人と人とが手を伸ばしあう様子をイメージしたそうです。GOP を通じてギラヴァンツ北九州と人、そして地域社会が交わり、人と人が想いで繋がる未来を目指したい、という願いを虹色で表現。
ギラヴァンツ北九州が“ひきこもり”支援に取り組むきっかけ
GOPの仕組みを作ったのは、ギラヴァンツ北九州・育成本部の下田本部長、北九州市地域引きこもり支援センター 前センター長の田中美穂さん、そして一般社団法人「街に心の栄養を」の代表理事を務める中川康文さんの三人です。
前社長の縁で下田本部長と知り合った田中さんは、「はじめはサッカーと引きこもり支援の接点がどこにあるか分からなかった」と当時を振り返ります。
しかし下田本部長の話を聞くうちに「ひきこもりがちな人たちにも、スポーツの力で心が動くことを体験してもらえるのではないか」と考えるようになったとのこと。
とはいえ、“引きこもり”支援はJリーグにも前例がありませんでした。
下田本部長は3つの不安を持っていたといいます。
「前例がないこと」、「全く異なるジャンルに入っていくことの怖さ」そして「3つの体験(運動体験、観戦体験、ボランティア体験)が機能するか」
その反面、田中さんや中川さんのような専門家がいたことは心強かったそうです。
「専門のことは専門家に任せよう」と考えることができたと。
中川さんは「3つの体験」のうち「ボランティア体験」を重視していたといいます。
「『運動体験』『観戦体験』だけをやるイベントはどこにでもある。社会と接点を作ることがポイントだと考えていたので『先に貢献して喜ばれた実感』が大切なんじゃないかと思っていました」
中川さんは続けます。
「ひきこもりがちな方々を『できない人』と扱う世界に不満があるんです。決して『できない人』じゃないんですよね。たまたま機会がなかっただけで」
そこで中川さんが作成したのが以下のような約30枚の資料。
Jリーグの理念に寄り添うことが重要だと考え、イベントの内容を設計したそうです。
活動4年目を迎えたGOPですが、中川さんは初年度を振り返って「1年目は何とかやり遂げられたがとにかく苦しかった」といいます。
しかし、本山選手(当時ギラヴァンツ北九州在籍)の「こんな素晴らしい企画をやっているんですね。応援します」という言葉、そして玉井社長の「ギラヴァンツに関わってくれてありがとうございます」との言葉に励まされたそうです。
GOPを通して実現したい社会
GOPという活動をどうしていきたいか、そしてGOPを通してどんな社会を実現したいか、お三方に伺いました。
下田本部長は「このGOPという活動を将来にわたって長く続けたいと考えています。その上で、新しい方向性がないか探りたいです」と。ホームタウン活動のひとつとして、GOPを大切に考えていることがよくわかりました。
中川さんは「この活動を通じて、お互いの存在を認知しあっている状態が濃くなってほしいですね。僕はそれが地域の中で濃くなるほどいい地域だと思っています」と話してくれました。
田中さんは「均一なものを良しとするだけでなく、今まで体験してないものに対する興味関心をもち続ける人の社会、そして違う人を排除するのではなく理解しようという勇気を持てる社会につながっていくと嬉しいですね」と考えているそうです。
最後に中川さんがこう付け加えました。
「この活動を通して、ギラヴァンツ北九州がJ1で優勝したときに喜びあえる人を増やしたい、そのときに『街にギラヴァンツがあってよかったね』と言い合えるようになってほしいと思います」
本年のGOPの活動は、9月25日(金)からスタート。
小学生~高校生を対象を対象とした「GOP-J」(主催:ギラヴァンツ北九州、小倉東ロータリークラブ)は計4回、18歳以上を対象とした「GOP」(主催:北九州市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」、子ども・若者応援センター「YELL」)は計3回の活動を計画しています。
参加希望の方(またはそのご家族等)や事業内容についてのお問い合わせは、ギラヴァンツ北九州ホームページに記載の、担当・下田さんまでご連絡ください。
J2リーグで首位を快走する(注:記事執筆時点)ギラヴァンツ北九州が取り組む「ギラヴァンツ オープンマインドプログラム (GOP)」という活動もより多くの人に知っていただけると幸いです。
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【取材協力:ギラヴァンツ北九州】