インタビュー企画「KITAQ Style 1000 Project ~北九州市の“人”をもっと知る~」

高い熱量で“起業体験”ができる「Startup Weekend 北九州 vol.7」に密着

2022年1月14日(金)~16日(日)の3日間で、起業体験イベント「Startup Weekend 北九州 vol.7」が開催されました。

開催場所である小倉駅前のコワーキングスペース・ATOMicaに集ったのは計52人。社会人が30名、学生が22名と幅広い属性、年代の方が参加していました。

本イベント「Startup Weekend 北九州 vol.7」の魅力を最大限にお伝えするため、キタキュースタイルでは3日間全ての時間帯で会場での取材を行いました。

北九州市随一の「起業体験イベント」の魅力を余すところなくお伝えします。

StartupWeekendとは
スタートアップウィークエンド(以下、SW)とは、週末の三日間を活用してアイデアをカタチにする「スタートアップ体験イベント」です。 SWは初日の夜にみんながアイデアを発表するピッチから始まります。そしてハスラー・ハッカー・デザイナーの役割に分かれてチームを組み、最終日の夕方までにユーザーエクスペリエンスに沿った、必要最小限のビジネスモデルを一気に作り上げます。ハスラーは顧客開発を、ハッカーは機能開発を、デザイナーは使いやすいデザインを担当します。(第7回Startup Weekend北九州 告知サイトより引用)

▼「Startup Weekend 北九州 vol.7」に先立って行われたプレイベントの模様はこちら


「Startup Weekend」では、最終日に各チームによる最終プレゼンテーションが行われます。

今回は1月16日(日)の16時に最終プレゼンがスタート。これまでの約2日間でチームごとに立案したビジネスモデルを披露しました。

話す方はもちろん、聞く方も真剣そのもの。3日間の疲れもものともせずにそれぞれの立場でプレゼンに臨んでいました。

懸命にプレゼンする参加者

真剣にプレゼンを聞く参加者

9チームのプレゼン終了後、審査の後に結果発表が行われました。会場に緊張感が走ります。

Judgeの嶋田瑞生さん(株式会社ATOMica・左)と森正和さん(株式会社DigiDockConsulting)

Judgeの光安都美さん(株式会社SKY・左)と古堂達也さん(山口キャピタル株式会社)

優勝したチームは「とものーと」。

発表の瞬間、「とものーと」のメンバーが見せた驚きの表情が印象的でした。受賞の挨拶では、リーダーのアリスさんが思わず涙ぐむ場面も。

優勝した「とものーと」の5人。笑顔が素敵です。

一方で、悔しそうな表情を隠さない参加者、安どの表情を見せた参加者の姿もありました。それぞれが過ごした3日間がストレートに表情に表れたのでしょう。

結果として順位がついてしまいましたが、Judgeを務めた株式会社ATOMicaの嶋田 瑞生さんは「あくまでこれはStartup Weekendの基準で決まった順位であって、他の物差しで見ると当然順位は入れ替わります」と話していました。

ビジネスプランを詰めていく参加者。真剣そのものです

ビジネスプランを詰めていく参加者。熱が入ります

3日間の取材を終え、「北九州にこんなに濃い“起業体験”ができる場があること」を非常に嬉しく思いました。

起業を目指している人にとっては、自分が考えたビジネスプランについての評価を知ることができる場であり、現時点で起業に興味を持つに至っていない場合でも「起業」や「ビジネス」について体験しながら学べる場といえるでしょう。

リードオーガナイザーを務めた糸川 郁己さんの言葉を借りると、これは単なる“イベント”ではなく、“ムーブメント”であるとのこと。
北九州市にこのような“ムーブメント”があることをもっと多くの人に知ってもらえると嬉しいです。

Startup Weekend 北九州 で得られるもの

金曜夜から日曜にかけて行われる「Startup Weekend」では、さまざまな体験をすることができます。

今回の「Startup Weekend 北九州 vol.7」に密着した中で印象に残った「得られるもの」を3つ紹介します。

1.「起業体験」ができる

Startup Weekendは「起業体験イベント」と銘打ってはいますが、参加すれば必ず自分のビジネスプランを披露できるわけではない、というのが面白いところです。極論、ビジネスプランを持たずに参加することも可能です。

初日の夜に、自分のビジネスプランを1分間で披露する「1min.ピッチ」が行われます。
希望した参加者たちが思い思いのプランを披露しました。

1min.ピッチの模様

Startup Weekendがシビアなのはここからです。

その後、各ビジネスプランへの投票を募ります。
1人あたりの持ち票数は3票。それぞれ自分の気に入ったプランに投票します。自分のプランへの投票も可能です。

今回は、投票で上位に入った参加者を中心に、チームビルディングを行いました。
しかしここで自分を含めて3人集まらないとチームを作ることができないというルールとなっています。2人以下となってしまった場合はチームを結成できず、他チームに入らなくてはなりません。アピールが足りないとチームの結成には至らないため、「自分と一緒にビジネスを考えてくれる人」を皆必死に募っていました。

チームビルディングに伴う質疑応答

結果、3人~8人で構成される全9チームが作られました。

2日目にはコーチングが行われます。コーチに指摘された内容によって、事業をピボット(方向転換)しなくてはいけなくなることもあるそうです。実際、今回のコーチングでも厳しい指摘が飛び交い、事業の路線変更を余儀なくされたチームもありました。

また、過去の「Startup Weekend 北九州」では3日間のうちにチームから離れる人が出てきたり、チームが分裂したりしたこともあったそうです。
驚きですが、これもルール上問題ないそうです。

「Startup Weekend」は、人間関係を含めた「起業体験」ができる非常にシビアな場であることを痛感しました。

2.自分自身が成長できる

3日間通しで取材して、「Startup Weekend」は自分自身を成長させてくれる場所であると感じました。

「Startup Weekend」は金曜夜から日曜夜までの3日間開催されます。同じ目的に向けて全然違う属性の人たちと、上下関係なく意見を交わします。過去には中学生に厳しい指摘を受けた学校の先生もいるとのことです。

仕事で議論をする際はどうしても上下関係がついてきますが、ここではそれが一切ありません。非常に貴重な場所だと思います。

また「Startup Weekend」では、実際にビジネスの世界/スタートアップなどで活躍している人たちから生きたアドバイスをもらうことができます。今回参加されていたコーチ陣も、みな参加者が出した課題に真剣に向き合っていました。

コーチを務めた株式会社クアンドの下岡純一郎さん。参加者の話に耳を傾けています。

同じくコーチを務めた株式会社アジケの梅本周作さん。「この場から起業するというのもありだと思います」と話していました。

公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)の滝本豊樹さんも精力的にアドバイスを行っていました。

もちろん、多額のお金を払えばこのような場に参加できる機会も得られるでしょう。

しかし、「Startup Weekend」の場合、例えば学生の早割チケットはなんと3,500円。
オーガナイザーたちの高い熱量と、地域の企業による支援によって成り立っているイベントなのです。

ちなみに、朝昼晩と提供される食事も、北九州に拠点を置く飲食店のものばかり。

「北九州の企業さんと一緒に地域の経済を回したいんです」とファシリテーターの中村 武さんが話してくれました。

3日目の昼食です。酔小さん提供

朝食は2日間ともクラウン製パンさんから。

最終日の夕食。秘密基地さん特製のお弁当です

3.知り合いが増える

普段の生活の中で多くを過ごす会社や学校には、同じような属性の人が集まってます。会社には同じような経歴を持つ人が、高校や大学には同程度の学力の人が集まります。
なので、知り合いになる範囲はどうしても狭くなりがちです。

会社や学校以外で知り合いを増やそうと考えてちょっとしたイベントやワークショップに行っても、知らず知らずのうちに自分の居心地がいい場所を選んでしまいます。それに、数時間のイベントやワークショップでは、深掘りもできず参加した感すら得られるか微妙です。

しかし、この「Startup Weekend」には、普段の生活ではまず出会わないような人が多数集まっていいます。だからといって接点がないというわけではなく、少なからず起業(またはこのイベントそのもの)に興味を持っている、という共通点があります。

意見を交わすさまざまな属性の参加者たち

「Startup Weekend」に参加すれば、同じ目標に向けて3日間活発な意見交換をするので、チームのメンバーの考え方もよく知ることができるでしょう。ただ知り合いが増えるというだけでなく、同じ思いを持った人と出会えるかもしれません。

Startup Weekend 北九州 はシビアな場

ここまで説明した通り、「Startup Weekend」は学びと出会いの多い場所です。

ですが、生半可な気持ちで参加すると間違いなく痛い目に遭います。

初日夜に発表する自分のビジネスプランが全く支持されない(=一票も入らない)ということを味わうかもしれません。

しかも、そのうえで他人のビジネスプランのブラッシュアップのために自分の力を出さなきゃいけなくなります。非常に複雑な気持ちになるでしょう。

それも含めての「起業体験」です。まさにリアル社会の縮図といえるでしょう。

ビジネスプランへの投票の様子。付箋で投票数が分かるのでシビア!

「Startup Weekend」は、3日間すべての時間帯に出なくてはならないというものではないそうです。
ファシリテーターを務めた中村さんは、前回の「Startup Weekend」に参加した際、ほとんどの時間をリモートで参加したとのことでした。

今回、最終日に姿を現さなかった人もいました。過去にも同様のことはあり、特に珍しいことでもないそうです。
モチベーション高く参加しているはずなのに、心が折れてしまうほど厳しいものだったのでしょうか。

一方で、自分のビジネスプランが採用されなくても、目の前の課題に3日間しっかりと取り組んでいた方もいました。

どんな立場になろうとも、3日間全力で目の前の課題に向き合える自信がある、という方は多くのものを得ることができるでしょう。

 

「Startup Weekend」には何度でも参加することができます。一度参加するとオーガナイザーになることも可能。オーガナイザーを経験するとリードオーガナイザーになれます。

「複数回参加することで、『Startup Weekend』の価値を感じられると思いますよ」と糸川さんは言います。


ファシリテーターを務めた中村さんは最後にこう言いました。

「今、10代の子たちがStartupWeekendを経験し、5年10年と経って大人になったとき、今の自分よりもきっと凄い人になっていて、北九州はもっとすごくなる。だからこのStartupWeekendをこの北九州で続けたいんです。続けることに意味があるんです。」

「Startup Weekend 北九州」は今後、年に一度実施される予定とのこと。この記事が来年以降の参加のきっかけになると嬉しいです。

現在の自分に物足りなさを感じていて、一歩踏み出したいという方は、ぜひ一度体験してみてください。

 

公式のレポート記事もご覧ください。

取材後記

初日の夜、取材しているだけなのに胃のあたりに違和感を覚えました。

「ビジネスプランが支持されなかったらかわいそう」「チームに人が集まらなかったらどうしよう」などと、ネガティブなことばかりが頭に浮かんでいました。参加者でもないというのに。

「Startup Weekend」への参加が初めてだという人はこの厳しさに耐えられないんじゃないだろうか、そんなことまで考えていました。

しかしそんな心配は一切無用でした。

ビジネスプランが支持されなかった人も自分が加入したチームで積極的に活動していましたし、チームへの人集めに苦労されていた方も、必死に声をかけてメンバーを集めていました。

さまざまな属性や年齢の人たちが同じ目標に向かって知恵を出し合う姿に、感動ばかりしていた3日間でした。

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